シドとクレアは周辺国が魔剣士ギルドに出した吸血鬼の始祖である『血の女王』とその眷属討伐を果たすために無法都市へと入った。
その最中に無法都市の『黒の塔』を管轄しているジャガノート一派に経営させている『娼館』を利用しようとヒョロとジャガの二人が無法都市を訪れているのを発見したのだ。
ヒョロとジャガは『ブシン祭』でシドの試合に賭けた金を使おうと考えたのだ。
しかし、そんな甘い目論見は絶対に通じない。今は『赤い月』が夜空に君臨しようとしているし、赤い月が君臨すれば強力となった吸血鬼が暴れるようになるし、その吸血鬼に人が噛まれればグールになってしまう。
それが多ければ多い程、グールが生まれ、あっという間にグールの軍勢が生まれてしまうのだ。
そう、吸血鬼に襲われる可能性が高いのだ。そして、無法都市では吸血鬼は関係無しに犯罪者が大勢いる。簡単なものではスリが多いし、暴力を振るう者もいるし、そうやって倒し、臓器を抜き取る奴もいる。
そうじゃなくても奴隷にされたりだってするのだ。
ヒョロとジャガについては命に関わること以外は痛い目に遭えば良いという事にしたのだ。
ともかく、シドとクレアはまず、『血の女王』討伐を出した魔剣士ギルドであり、魔剣士協会の拠点に行って情報収集しつつ、色々と話をしようとした。
そうして、無法都市を進んでいると変な食べ物や怪しい薬に盗品、ペットが並ぶ露店があった。
「そこの美しいお嬢さん、お兄さん、見ていきなよ。丁度、活きの良いペットが入荷したんだ」
露店の一つより、店主が勢い良くクレアとシドに売り込んできた。
「俺達か?」
「そうそう、君たちだよ。さあ、見て行ってくれ」
店主の売り込みにシドはとりあえず見てみる事にすると……。
「お前ら……なに、奴隷になってんだよ」
「貴方達、『ブシン祭』に出ていたゴルドー・キンメッキにクイントンじゃない」
「し、シド・カゲノー……た、助けてくれ」
「助けてくれたら、本当に何でもする」
店主がやっていたのは奴隷販売であり、買うように進めようとした奴隷はなんとゴルドー・キンメッキにクイントンである。
「魔剣士協会より先に『血の女王』を討伐しようとしてやられたな。まったく……」
シドはゴルドーとクイントンの声に応じ、奴隷として買ってやる事にした。
「あ、ありがとうございました」
「本当、助かったぜ」
「奴隷として買った以上、お前達には死ぬほど働いてもらうからな。これから」
とりあえず、シドはゴルドーにクイントンを三千七百万ゼニ―で購入したのでその代金、つまりはローンを返してもらうまで奴隷として服従を命じたのであった……。