シドとクレアは『無法都市』にある魔剣士協会へと行き、『血の女王』討伐に向けた情報収集をしたり、必要とあらば作戦会議に臨もうとしていた。
そうして無法都市内を歩いていると奴隷を扱っている店にミドガル王国で夏に開催された『ブシン祭』にも出場したゴルドー・キンメッキとクイントンが奴隷として売られていた。
シドは二人を奴隷として購入し、負傷も完全回復した。二人で三千七百万ゼニーという結構な大金だったのでこのまま、自由にするつもりは無い。
シドは代金分、しっかりと奴隷として働いてもらう事にした。
そして、二人から話を聞くとゴルドーにクイントンは『血の女王』討伐をしようと『紅の塔』へと攻め込んだのだが、紅の塔には『番犬』の魔剣士がいた。
その番犬に二人はやられたのである。番犬の正体は過去に『白い悪魔』と呼ばれた男である。
元々、とある国で騎士団長をしていた彼は白い制服を着て、白く美しい髪を靡かせて市民を守る理想の騎士のようであった。
しかし、それは偽りであり、彼の本性は夜な夜な街で人を斬り続けるのが大好きな殺人鬼だったのだ。彼は生まれながら人を斬る事が好きなサイコパス。
赤い血を浴び、悲鳴を聞き、絶望の顔を見て、他人の命を奪う事で自分が生きている事を実感していた。
しかし、そんな事を続けていれば当然バレる。ある日、同僚に犯行がバレた事で彼はその瞬間に『白い悪魔』となった。
偽る必要も無くなった事で凶悪さも残忍さも全て解放。
一夜にして、騎士団員全員を斬殺し、逃亡。逃亡先でも殺人を繰り返して行方を晦ましていたのだ。
だが、『白い悪魔』自身がゴルドーとクイントンに語った事によると四年前に無法都市に流れ着き、『紅の塔』に挑んだが負けて右の肩から先を失いながら、番犬になったのだという。
そんな話を二人から聞きながら、シドは魔剣士協会が血の女王討伐に向けて用意した拠点へと向かう。
「『血の女王』討伐に参加しに来たシド・カゲノーだ」
「私は姉のクレア・カゲノーよ」
二人は有力な魔剣士を集めた会議室に通される。
「おお、『超越武神』が来てくれるとは……」
「これなら、負けは無いぜ!!」
ブシン祭で優勝し、更に初代ブシン祭優勝者である『武神』の異名を有するベアトリクスにも勝ったシドの参戦を魔剣士達は喜ぶ。
「シド・カゲノーさん、クレア・カゲノーさん。二人の参戦、大変心強いです。よろしくお願いします」
長い黒髪、容姿も整い、スタイルも抜群で眼鏡をかけた魔剣士協会のエリート職員であるクローディアがシドにクレアと握手を交わしたのであった……。