百十九話
ミドガル王国の王都から馬車で二日離れた場所――大量の荷物が積まれた馬車が数十台、置かれていて数十人の者がその近くで野営をしていた。
この馬車を運搬している集団はミドガル王国の商売の世界で頂点の権威と勢力を有している『ミツゴシ商会』の輸送隊である。
ミツゴシ商会の荷は一台で一億ゼニーを超える価値があり、それが数十台も並んでいるとあれば圧巻であり、まさしく宝の山が並んでいる状況だ。
この荷が王都に運び込まれて店頭に並び、人々は我先にと買い漁って商会を潤すのである。
そんなミツゴシ商会のニーズは絶大であり、生み出している商品の原産地は謎で技術も謎で独占しているし、他の商会組合に属していないとあればミツゴシ商会を危険視する者達は出て来る。
というより、商会連合においては『ディアボロス教団』も絡んでいたりもするのだ。
ミツゴシ商会の体制は盤石なのでそれを崩して自分達の支配下に置くべく、大商会は束になり、手を打つ事にした。
これにより、まずミツゴシ商会の輸送隊を襲うために小国の軍事力に匹敵するガーター商会の私兵団にして、山賊に扮した魔剣士達が差し向けられ、今、彼らはミツゴシ商会が野営しているのを見ていた。
そうして野営地に忍び寄り、野営をしている者達に襲い掛かろうとすると……。
「は、人形?」
さっきまで動いていた筈の人影は動きを止めており、近づいて良く見れば沢山の人形であった。
「これはまさか……」
戸惑いながらも自分達が嵌められたのだと察し……。
「さあ、悪党どもよ。俺の華麗なる剣で成敗してやるぞ」
「ご主人様の期待には応えねぇとなあっ!!」
「そもそも、こんなことしている時点で言語道断よ。外道共」
「逃がさない」
天幕の中に潜んでいたゴルドーにクイントン、アンネローゼ、ベアトリクス等、『ミツゴシ商会』の護衛部隊がガーター商会の私兵団へと襲い掛かり、それぞれ鍛え上げられ、磨き抜かれた剣舞によって倒していく。
「さて、貴方達の主が誰か……それに私達を襲う目的、色々聞かせてもらうわよ」
レイがベアトリクスに抑えられている男に対して言い、そうしてミツゴシ商会は襲い掛かってきた『ガーター商会の私兵団』を全員捕虜としつつ、この近くに密かに設けている拠点へと連行していくのだった。
『うぎゃああああっ!!』
そうして、皆を尋問に拷問していき、必要な情報を聞き出した後はマイの研究の実験材料として有効利用される事となったのであった。
「いよいよ、ディアボロス教団と繋がっている大商会連合が私達に手を出してきたわ」
「最初は高を括っていたが、余裕がなくなってきたんだな……どのみち、臨む所だ」
ディアボロス教団を介した大商会連合とミツゴシ商会を介したシャドウ・ガーディアンの戦いがこうして、始まる事になったのであった……。