シド・カゲノーが『獣人の国』を訪れて一年の時が流れた。そう、十歳になったのである。
「それじゃあ、後は頼みます」
「ああ、任せてくれ」
獣人の国の戦乱を治め、全部族を纏め上げる王となったシドは統治者として生産や外交といった獣人の国の欠点であった部分を発展させた。そうして、カゲノー領へと戻るときには獣人の部族の中でも格式の高い『金豹族』の長とその妻に王としての座を引き継いだ。
それと同時に自らは獣人たちの要望もあり盟主という立場になる。更にカゲノー領へと自分の手紙を出しており、そうしてカゲノー領内に『獣人の国』による大使館やら商店やらを設けた。
それらを通して、獣人の国と自分との情報のやり取りを円滑とするためでもある。
因みにカゲノー領へと手紙を出した途端、両親であるオトンとオカンからの手紙は勿論、姉のクレアや王女であるアイリスとアレクシア姉妹、オリアナ王国のローズ王女から凄い想いの籠った手紙が結構な頻度で獣人を通して送られてきたのだ。
恐怖すらしたが、そもそも自分が勝手に出た身なので受け入れるし罰が与えられるなら、甘んじて受け入れる事を決めている。
「じゃあ行こう、皆」
そうして王の座を引き継ぐなど自分が獣人の国を去る際の引継ぎを終えるとカゲノー領内でのシドの世話などをするため、共に行く事になったユキメにリリム、サラ達へとシドは呼びかけた。
「はい、シド様。よろしくお願いします」
「よろしくなのです、ボス」
「向こうでも精一杯、お役に立てるよう頑張ります」
ユキメ達はそう、返事を返しそうして、獣人の皆に見送られながらシドはカゲノー領への帰還を始めたのであった。
こうして、カゲノー領の街の出入りを管理する『門』の手前へと辿り着くと……。
数人の者達が待ち受けていた。
シドはその者達へと近づき……。
「獣人の国での問題を解決し終え、外交も結べるようにしました……ただいま、父さん、母さん、姉さん、アイリス王女、アレクシア、ローズ」
そうして挨拶をすれば……。
『…………』
クレアにアイリス、アレクシアにローズは何も言わずに一年もの間、獣人の国へと言ったシドに対し色々と想いを募らせたり、拗らせていたが確かに成長し、獣人の国の王をしていたからこそ、『王』としての風格を身に着けたシドを目にして彼女たちの想いは全て『好意』へと変換された。
『お帰りなさい』
そして、クレアにアイリス、アレクシアにローズらはシドへと駆け寄り、皆でシドを抱き締めたのであった……。