強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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十七話

 

 

 シド・カゲノーはカゲノー領から連なる国境付近の土地を『辺境伯』への地位を得ると同時に与えられた。更に『獣人の国』の部族たちに対する外交の全てを任されてもいる。

 

 故にシドは自分と獣人達、レイたちにも手伝ってもらいながら任された領地の経営をしている。無論、自分の目的である強さを窮める求道の道も歩み続けていた。

 

 しかして、数年経ち、成長していく中で……。

 

「シド……好き、大好き……家族だけど本当に大好きなの、愛してる。ううん、貴方しか愛せない」

 

「ふあ、んく、ね、姉さん……そこまで言うなら、俺も」

 

 十二歳となり、男としての機能を得たシドはクレアと彼の価値観では禁断の関係へと至った。もっともこうなる事を予感していたので魔力による性機能の抑制による避妊、本当に子どもを設ける際、DNAやら染色体を変化させられる術を得ている。

 

 ともかく、一人の男と女としての関係を結んだ。

 

 また、それだけでなく……。

 

「シド様……ずっと、この時を待っていました。助けられた時から、ずっとこの身を捧げたかった」

 

「ユキメ……」

 

 最初に出会って彼を支えてきた事でサラにリリム、レイたちよりも立場の強いユキメがシドと繋がり……。

 

「ボス、大好きなのです……これからもずっと……」

 

「主……心の底から愛してます」

 

 サラにリリムとも……。

 

「貴方がいなかったら、私はあのまま腐り果てて死んでいたわ……だから、私の身は貴方の物よ……シド」

 

「主様、どうか私の全てをお受け取り下さい」

 

「主様、私に寵愛をお願いします」

 

「魅力に乏しい身ですが、どうか私の愛を……」

 

「マスター……愛してる」

 

「ああ、俺もお前たちを愛しているよ」

 

 レイにフミカ、アイムにエレナとマイらエルフたちも繋がっていく。そうして、関係を密接にしていく中……。

 

 シドはとある組織と戦っていた。それは無論、『ディアボロス教団』である。領地経営や強さを窮めていく中で邪魔な組織であるのもあって、戦っているのだ。

 

 そんなシドの力になりたいとユキメ達はシドの戦いを支えるための組織を創設し、シドに名付けてもらった事で世界に潜んで活動している教団から世界を守るという事で『シャドウ・ガーディアン』という組織を創り上げる。

 

 そして、ユキメはコードネームとしてギリシャ数字で無を表す(ギリシャ数字に0は無いため)『シューニャ』を与えられる。

 

 残りは話し合いの結果、壮絶な規模のじゃんけんが始まり、そうしてレイがアルファ、フミカがベータ、アイムがガンマ、サラがデルタとなり、エレナがイプシロン、リリムがゼータ、マイがイータとそれぞれのコードネームを得たのであった。

 

 ともかく、そうしてディアボロス教団に関わる部隊や他の犯罪組織などを襲撃し、討伐する。

 

 

 

 

「おいおい、本当にどこにもいるな」

 

 その中でディアボロス教団の組織力自体には驚いた。本当にどこにでも構成員や関係者がいるからだ。ミドガル王国にすらいるのだから油断も隙もあったものではない。

 

 ディアボロス教団と戦う中でシド達は〈悪魔憑き〉を救出して保護もしていった。

 

 そして、実はクレアも〈悪魔憑き〉で初期症状である身体と魔力のバランスを崩すそれがあったのですぐさま魔力暴走を抑えて、魔力を馴染ませる事で治癒したが……。

 

 

 

「張り付くとは鬱陶しい奴らだ」

 

自分の領土内周辺にシドはディアボロス教団の者達が潜んでいる事を察知し、13歳となったシドは潜んでいる者の元へと行き……。

 

「き、貴様が我等に対抗している者か……」

 

「これは驚いた。まさか貴方がディアボロス教団と繋がっていたとは……オルバ子爵」

 

 シドはオーバーボディを解除しながら残り一人となっている男――30半ばを過ぎているが鍛えられた体躯に鋭い眼差し、灰色の髪をオールバックにしたオルバ子爵へ語り掛けた。

 

 

 

「っ、なっ!? シド・カゲノー辺境伯だとっ!!」

 

 シドの姿にオルバは驚愕する。

 

 今のミドガル王国では今年、行われた『ブシン祭』で優勝したアイリスより強い、真の最強魔剣士と言われているのもあるのだ。

 

 年齢の関係で参加できなかったのである。

 

 因みにオルバは近衛であり、ブシン祭にも参加したが決勝にてアイリスによって負けた。

 

 

 

「ああ、そうか……娘であるミリア嬢が<悪魔憑き>になったんだな? それで娘の延命の代わりに協力する事にした訳だ」

 

「っ……ふ、ふふ……そ、そこまで見抜くか……やはり、鬼才だな」

 

 スライムを通常のサイズの獅子を象ったフルフェイスの兜、全身鎧に変化させて纏いながらシドが訪ねれば、オルバは頷く。

 

 

「こうなった以上は仕方あるまい。もはや幾つも手を汚した身……ならば最後までっ!!」

 

 そうして、オルバは錠剤を懐から幾つも取り出し、呑み込んだ。

 

 

「グウゥゥオオオオオオアアアアアアッ!!」

 

 彼の魔力が濃密に圧縮され、肉体に内包される中で血管が破裂し、血を吹き、筋肉が裂け、骨が折れるも瞬時に修復し自身の限界を超えてその身に莫大な魔力を宿した。

 

 その姿は異形にすらなっている。

 

「その気概に免じて聞こう、何か望みはあるか?」

 

「……可能ならば、ミリアを……」

 

「良いだろう……後の事は任せろ」

 

「っ……感謝する」

 

 話を交わしながらシドはスライムの剣を自然体にて構え、オルバは大きく構える。

 

 

 そして……。

 

 

 

 

「いくぞおおおっ!!」

 

 オルバはシドへと突撃し、全力の魔力を込めた剣により、轟閃を放つが……。

 

「ふっ!!」

 

「がっ……」

 

 シドによる超絶な剣閃がオルバが放った剣閃ごと彼を切り裂き、そして背中から地に倒れ伏させる。

 

 

 

 

「では、約束通り俺に委ねてもらう」

 

 シドは倒れているオルバに左手を翳す。実は仮死状態になるよう加減をしていたのだ。

 

 

 

 そして、魔力を送り込み……。

 

「っ、はっ……こ、これは……いや、何故生きてっ!!」

 

「オルバ子爵、ミリア嬢にはあんたが必要だ。そして、救いに行くぞ」

 

 〈悪魔憑き〉の要領で暴走した魔力を馴染ませながらの治療をしたオルバの姿を元に戻しつつ、強化もしたシドはオルバに話しかけ……。

 

「よろしくお願いします、シド様……」

 

 オルバはシドの言葉に頷き、乞うのであった……。

 

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