シド・カゲノーは『ディアボロス教団』から目を付けられている。特にシド・カゲノーは獣人の国の戦乱鎮圧に協力し、実質的な外交役を担当しているし、魔剣士としての実力もミドガル王国にて最強を示したアイリスより強いと噂されているほどなのだから……。
文武両道であり、鬼才としか言えない絶大的な才能の持ち主をどうにか自分たちの元に取り込めないか、あるいは敵対するようなら失墜や抹殺まで考えられているのだ。それとは別にクレア・カゲノーは<悪魔憑き>ではないかとも疑っているのだ。
そうした諜報や情報集、必要とあらば様々な活動をさせるためにオルバ子爵は〈悪魔憑き〉となった娘を見逃し、治療のために研究するという条件……実質的な人質として『ディアボロス教団』の手先にされ活動していた。
しかし……。
「ふっ!!」
ミドガル王国王都の地下にて身を潜めながら暗躍する『ディアボロス教団』の施設を黒獅子の鎧騎士にしてオーバーボディ状態のシドは強襲していた。
瞬間的にして限定的な身体強化とそれに伴い、敵と敵の行動に対しての処理能力を割きながら思考の加速をする事でシドの体感では相手が止まっている状態となる。
そして行動を許さないままにシドは剣を振るい、直後、剣閃が距離など関係無しに縦横無尽に乱れ舞い、ディアボロス教団の者達を自分の行動も攻撃も意識させないままに斬滅していく。
そうして……。
「う、うぅ……」
「ミリア嬢……今、助けるからな」
シドは〈悪魔憑き〉が進行し、肉体が変異しつつ腐りかけているオルバの娘であるミリアへと声をかけながら右手を出し、オーバーボディとなっているスライムを変化させながらミリアの体に付着させ魔力を流し込みながら、荒れ狂っている魔力の制御と肉体の治療をする。
「これで大丈夫だ。オルバ」
治療を終えるとシドはこの施設の情報を提供し、同行したオルバを呼ぶ。
「……ん、お、お父さん?」
「お、おぉ……そうだぞ、ミリア……お前の父だ……良かった、本当に良かった」
ミリアは目を覚まし、オルバに質問するとオルバは涙を流しながら、ミリアを抱き締める。
そんな中、シドはとある場所で足を止めていた。
「酷い事をしやがる」
だが、実験材料にされていたのはミリアだけでは無かった。他にも『正教会』の部隊として活動しながら、各地で買い取ったり、犯罪組織の助けを借りて持って来させた〈悪魔憑き〉の者が症状の大小も様々に多くいたのだ。
「当然、お前たちも助けてやる」
シドはその全員を助けると外の動きを見張らせつつ、脱出できるように状態を整えさせていたユキメ達に手伝ってもらいながら、施設自体は破壊してミドガル王国王都の闇に紛れて撤退する。
「安心しろ、この俺が責任もって保護してやる。その代わり、働いてもらいはするけどな」
自分の領土のとある秘密施設にてミリア含めて治療した〈悪魔憑き〉の者達にシドは呼びかけた。
『全て、シド様の意のままに』
ミリア達もそして、オルバも片膝を着き、頭も深く下げてシドに従う事を誓ったのであった……