この世界の貴族は15歳になると3年間、王都の学校に通う事になる。
当然、現在15歳となっているシドの姉であるクレア・カゲノーもミドガル王国王都にある魔剣士学園に通う事になっており、準備が進められていた。
そして、そんなクレアに対し……。
「クレアさん、もう少しで魔剣士学園に通う時期ですね。おめでとうございます……クレアさんならきっと、学生のトップになれるでしょう」
「私は2年先ですが、後輩としてよろしくお願いします。クレア姉様」
「私も1年後、留学生として通う事になるのでよろしくお願いします。クレアさん」
友人としてクレアの魔剣士学園の入学をアイリスとアレクシア、ローズがそれぞれ祝いに来た。
「ありがとう、アイリス、アレクシア、ローズ……2年後に入学するシドの姉として誇れるような学生になるわ」
クレアは入学を祝う3人へプライベート時の対応をしながら礼を言う。
「張り切り過ぎないでくれよ、姉さん。アイリス、アレクシア、ローズ……3人ともわざわざ、祝いに来てくれてありがとう」
シドは苦笑しながらクレアに言いつつ、言ってくれた3人に対して頭を下げながら言う。
そうして……。
『はあああっ!!』
縦横無尽、自由自在に超速で動き回りながら、激烈な勢いでありながらしっかりと制御されて凝縮されている魔力を込めた剣閃乱舞を放つ者達。
シド一人に対し、クレアにアイリス、アレクシアにローズらがそれぞれの方向から剣閃乱舞を繰り出しているのだが、それら、全てシドの体を擦り抜けるようにして接触出来ず、あるいはシドが僅かに剣を当てただけで逸らされ、あるいは受け流されていく。
「(やっぱり、シドさんは凄い。それに……)」
アイリスは自分の全力全霊で繰り出す数々の斬撃が簡単にシドに対処される事にやはり、シドは格が違うと認識しながらも更に別の者へ視線を向ける。
「っあああっ!!」
アイリスが視線を向けたのはクレアであり、彼女の魔力とその制御力、剣技は唯一、シドに対抗出来る可能性がまだある程のものだった。
もっともレイ達のように『ディアボロス細胞』を有した英雄の子孫の一人であり、シドが肉体に馴染むように調整したので彼女の魔力は安定しつつ、普通の者達とは比べ物にならない程の成長をするようになっていったのだから当然だが……。
「(クレア姉様もどんどん、実力上がっているわ)」
「(私達も負けられないっ!!)」
クレアの成長ぶりにアレクシアもローズも驚きながら、アイリス含めて負けられないと気合を入れて武威と戦技を振るっていく。
「(切磋琢磨ってのも中々、良いもんだな)」
自分に負けないと磨き続けている力と技を振るう四人に対し、手合わせしながら強さを追い求めていく事の良さをシドは楽しんでいた。
因みに強さを求める彼もレイ達への治療の際などに『ディアボロス細胞』の一部を身体に融合させているスライムを緩衝材として自分の肉体に取り込んでいるのでシドの魔力も超絶的に増大するようになっていった。
レイ達が先天的な英雄の子孫なら、シドは後天的な英雄の子孫とも言えるだろう。
そうして、クレアたちが体力に魔力を消耗しきるまでシドは剣閃乱舞の応酬を楽しんだのだ。
その後はパーティなどもあり、時間も経過しクレアが翌日、学生となるために旅立つので……。
「んく、ふ、ちゅ、ふぁ……シド、シド、大好き……本当は離れたくないわ」
「俺だってそうだよ……でも、王都には度々呼ばれるだろうし、なるべく行くようにもするから我慢してくれ」
「あく、シドが言うなら我慢してあげる」
「ありがとう」
シドはクレアと会えなくなる間の埋め合わせを先にするように愛を身と心を通じて交わし合った。
「それじゃあ、行ってくるわね」
「行ってらっしゃい、姉さん」
そうして、シドは馬車で旅立つクレアを見送り……。
「さて、俺たちは俺たちでやるべき事をやろう。ディアボロス教団と戦っていこうじゃないか、〈悪魔憑き〉とされた者達を救いながらな」
『はい、シド様っ!!』
シドは『ディアボロス教団』と戦っていく事、〈悪魔憑き〉とされた英雄の子孫たち救っていく事を仲間たちへと告げるのであった……。