この世界においてどの国々とも対等かそれ以上の権威や勢力を有する宗教である『聖教』。
それを隠れ蓑に『ディアボロス教団』は世界に散らばっている〈悪魔憑き〉を回収し、様々な実験材料に使っている。しかし、そんな『ディアボロス教団』にとっては厄介な下部組織が聖教には存在している。
宗教国家オルム直属にして聖教における異端審問を担当する組織が『テンプラー』だ。
『テンプラー』は異端認定した対象を暗殺する権利を有しているので『ディアボロス教団』でさえも異端認定されると逆らう事が出来ない。
更に異端認定の対象は〈悪魔憑き〉が主だ。よって、『ディアボロス教団』はやはり、困るし『シャドウガーディアン』にとっても困る事になる。
しかし、『ディアボロス教団』を牽制出来る『テンプラー』の権威は欲しいものではある。
そうして、シドは動き出し……。
とある日の夜中……宗教国家オルムが『テンプラー』の本部。
一人の男が門番が立っているのも構わず、建物へ近づいていき……。
「おい、貴様……それ以上は近づくな」
「じゃあ、止めてみろ」
そうしてスライムを変化させた闇夜に同化する程の漆黒の獅子戦士の鎧を纏った男――通常サイズのシド・カゲノーが門番へ告げて次の瞬間、シドが姿を消すと同時に門番の身体が粉砕し、砕けると共に衝撃波によって門が粉砕される。
「侵入者だっ!!」
「止めろぉっ!!」
次々と『テンプラー』の暗殺者がシドの前に姿を現していくが……。
「どうした? 侵入者一人を止められないとはなぁっ!!」
シドが手足を振るい、戦舞を披露すれば立ち向かってくる暗殺者たちは次から次へと粉砕され、あまりの破壊力に消滅していく。
そうして……。
「あ、貴方は一体……」
「『聖女』ウィクトーリア、お前の間違いを正しに来た」
オルムにおいて『聖女』と呼ばれているアッシュブロンドの長髪にエルフとしての尖った耳、目にマスクをした女性の部屋までシドは『テンプラー』の全構成員を粉砕しながら、辿り着くとウィクトーリアの質問に応じる。
「間違い……」
「ああ、そうだ。〈悪魔憑き〉は異端なんかではないという事を証明しに来た」
「いえ、〈悪魔憑き〉は異端です。そして、貴方もっ!!」
そうして、暗殺組織『テンプラー』のリーダーで最強の戦士でもあるウィクトーリアが剣を抜き、シドへと切りかかったが……。
「かはっ!?」
彼女が剣閃を振り下ろした瞬間、それは砕け散り、ウィクトーリアは腹部に強烈な衝撃を受けながら吹っ飛ぶ。
「とりあえず、その目で見てもらおうか……後は頼んだぞ」
『はい、シド様』
気絶しているウィクトーリアを抱えつつ、傍に潜ませていたユキメにレイたちへ『シャドウ・ガーディアン』が『テンプラー』を乗っ取るための工作を始めさせた。
そうして、シドは自分たちが掴んでいる〈悪魔憑き〉を確保している『ディアボロス教団』の拠点の一つへと向かい……。
「しっ!!」
ここではスライムを変化させ、オーバーボディとしての黒獅子戦士の鎧を纏ったシドがその一部を切り離し、剣に変化させたそれにより、剣舞を披露し斬滅していく。
そうして……。
「あ、あぁ……これは……」
「〈悪魔憑き〉は魔力暴走による特殊な病気のようなものだ。制御してやれば治せる」
ウィクトーリアの目の前でシドは〈悪魔憑き〉たちの治療をし、完全復活をさせた。
「私は間違っていたのですね……」
「ああ、だがやり直せる。真の聖女としてな……」
「分かりました、どうか私を導いてください」
「良いだろう」
ウィクトーリアはシドと手を取り合い、こうして『シャドウ・ガーディアン』は聖教の動向を探れるうえに『ディアボロス教団』を牽制出来る『テンプラー』を自分たちの元に掌握する事が出来たのであった……。