強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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三十八話

 

 シド・カゲノーは十五歳となり、ミドガル王国王都内にある魔剣士学園での学園生活を送る事となった。

 

 

 

 「この問題は……」

 

 魔剣士学園での授業初日、この魔剣士学園においては午前にクラスごとでの基礎科目の授業をする。

 

 基礎科目は基本的な学問もあれば魔力操作理論など魔剣士に関する学問の授業をしたりするのだ。

 

 

 

「では、この問題分かる人……」

 

「はい」

 

 そうして、教師からの言葉にシドは手を上げ、そうして黒板の元へと向かって問題の答えを書いた。

 

「うん、流石だ」

 

 そもそもシドは十五歳になる前からカゲノー家の領地の経営は勿論、獣人の国の運営にも関わり、『ミツゴシ商会』の経営とあらゆる事に関わっているし、日々勉強もしているので魔剣士学園での授業など余裕であった。

 

 

 

「流石ね」

 

「これくらい、アレクシアだって余裕だろ」

 

「勿論」

 

 

 隣の席のアレクシアが軽く言葉をかけてきたので軽く応じる。王女としての教育を受けているアレクシアも又、学園での授業は余裕であった。

 

 

 

「お疲れ様、シド」

 

「お疲れ様です、シド君」

 

「お疲れ様。姉さん、ローズ」

 

 こうして午前の授業は終わり、昼休憩の時間にシドはアレクシアと共に食堂へと向かい、クレアにローズと合流する。

 

 

 

 そうして、全員で日替わり定食10万ゼニー超金持ち貴族コースを頼む。

 

 

 

「え、えへへ……美味しそうですね」

 

「良ければ、毒見をしましょうか」

 

「それは学園に失礼だろう。まあ、これくらいは恵んでやるよ。さっさとどっか行け」

 

『ありがとうございます』

 

 見るからに卑しい態度で近寄って来たヒョロとジャガの二人へ料理が乗った何皿か恵んでやると二人は消えた。

 

「何なの、あいつら。シド、あんなのを取り巻きにするつもり?」

 

「面倒見るって約束したからなぁ……まあ、飴と鞭は必要だろう。ちょっとは良い思いもさせてやるんだよ。その分、きつい思いもしてもらうけどな」

 

「そうね、人を使うってそういう事だし」

 

「流石は領地経営していただけはありますね。参考になります」

 

「ふふふ、流石はシドだわ」

 

 不満げなクレアに応じれば、アレクシアにローズがそれぞれ納得いった表情を浮かべる。

 

『あーん』

 

 その後、クレアにアレクシア、ローズからそれぞれ料理を箸によって与えられ、食べさせてもらったりしながら話をする。四人だけの世界を形成したりしたのであった……。

 

 そうして、午後において魔剣士学園では実技科目を行う。

 

 これは選択式であり、クラスも学年もごちゃまぜで数多の武器流派から自分に合った授業を選ぶ。

 

 

 

 シドとアレクシア、クレアは自分が元から習っている王都ブシン流である。

 

 王都ブシン流は人気であり、1部50人で9部まで設けられている。

 

 当然、実力毎に分けられるのだ。

 

 教室も分かれていて、『特待生』で入った者はクラス分けの試験も受ける事無く、王都ブシン流1部の教室へと向かう事が出来る。

 

 その教室は例えるなら大きな体育館であり、更衣室や風呂、軽食堂他色々完備という仕様で扉はメイドが開けてくれるというものだ。

 

「うおっ、すげえ」

 

「……おお」

 

 王都ブシン流の道着、これの色は色ごとに強さが分かれており、一番上の一部は黒、一番下の9部は白である。

 

 そして、男子更衣室で道着へと着替える際にシドが見せた筋骨隆々ながら、それを凝縮している引き締まった肉体を目の当たりにした他の男子学生たちは思わず、驚嘆の声を上げてしまったのだった。

 

「よろしくお願いします、シド君」

 

「ああ、よろしくクリスティーナ」

 

 女性用の道着で深いスリットの入ったスカート姿のクレアとアレクシアの二人と一緒に侯爵家のクリスティーナが頭を下げてきたのでシドも頭を下げる。

 

 彼女とは何度かパーティなどで会ったり、軽く魔剣士としての手合わせをした事もあるのでそれなりの仲である。

 

「じゃあ、軽く体をほぐすか」

 

 そうしてストレッチをしていくシド、そしてシドから教わっているクレアとアレクシアにクリスティーナたちのそれを他の1部の生徒達も真似していった。

 

「久しぶりだね、シド君」

 

「はい、久しぶりです。ゼノン先生」

 

 1部の顧問はこの国の剣術指南役となっているゼノン・グリフィだ。

 

 その後は瞑想魔力制御に素振りなどの基礎的な鍛錬を行う。シドがそれを行えば基礎を極め続けているのが窺えるので全員がそれに倣っていく。

 

「今日は私ね」

 

 お互い攻撃は当てずに技や返し、流れの確認をするのが目的な実戦形式の稽古のマス。

 

 クレアとアレクシアはじゃんけんをし、アレクシアが勝ったのでマスをする事になった。

 

 二人のマスは攻撃を当てずとも次の瞬間には壮絶なる剣舞の応酬を繰り広げる事が窺える程の威風を発していた。

 

それを参考にしながら全学生がマスを真摯に行うのであった。

 

 こうして初日の授業は終わり……。

 

「ほらほら、予習と復習は毎日やらないと意味ないぞっ!!」

 

「ふ、ふぎいいっ!?」

 

「ぎえええっ!?」

 

 放課後になるとヒョロとジャガを連行して学術学園と併設されている図書館にて予習と復習を開始した。

 

 そして、更に……。

 

「今まで何をやってきたんだ。そのだらしない肉体毎造り直してやる」

 

『うぎゃあああっ!?』

 

 1部の教室を借りての王都ブシン流のスパルタ鍛錬をヒョロとジャガに行い、精魂尽き果てた姿に変貌させたのであった……。

 

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