ミドガル魔剣士学園での目的は当然、生徒達を優秀な魔剣士として育てる事である。とはいえ、戦闘能力だけを重視している訳でもない。
「なんでこれくらいの問題も解けないんだ。ちゃんと授業聞いてるのかお前らぁっ!!」
学問である基礎科目も当然あって、ヒョロとジャガの面倒を見ているシドは魔剣士としての鍛錬でなく、勉学の面倒も見ていた。
だが……。
「ひいっ、で、でもよ。仕方ねぇだろ。分かんないところが分からねぇんだから」
「そうですよ、分からないのは仕方ないじゃないですか」
「根本的に馬鹿ななのか、というか分からないなら先生に聞けよ。分かるように努力しろ、まあ、良い。まずはその意識から改造してくれる」
『ヒギャアアアアッ!?』
こうして魔剣士としての鍛錬だけでなく、勉強を教えるそれもシドはスパルタにやり始める。
そんな中で……。
「ふ、んうぅ……」
「この本ですか?」
学術学園と共有である図書館でクレアたちと勉強しているシドは本を取ろうとした際、短いピンクの髪に小柄な体型の生徒が何とか本を取ろうと背を伸ばし、手を伸ばしているのを見て彼女へと近づき、彼女が取ろうとしていた本を取って、差し出す。
「あ、ありがとうございます。確か、貴方はシド・カゲノーさんでしたよね? アイリス王女にアレクシア王女、ローズ王女の婚約者の」
「はい、そうです。貴女は学術学園二年のシェリー・バーネット先輩ですね。アーティファクトの研究では王国一の頭脳と呼ばれる程に名高い貴方に見知っていただけて光栄です。この間の論文、見させていただきましたが大変、素晴らしかったです」
シドが出会った女性はシェリー・バーネットであり、もっと言えば副学園長のルスラン・バーネットの養女でもある。
「あ、ありがとうございます……論文読んだってシド君もアーティファクトに興味が?」
「興味というか、あらゆる知識を持っておけば何かと役立つので……色々と手を出しているだけですよ。今度、研究室にお邪魔しても良いですか?」
「あ、はい。別に構いませんよ」
「では、またその時に……」
そんな挨拶を経て、シドはシェリーの元を去っていく。
こんな感じでシドはクレア達やジャガ達とは別の学生とも交流をしていく。
そんな日々の中、とある日の実技科目の授業にて……。
「ふっ!!」
「しっ!!」
模擬戦の時間にて対峙しているシドとクレア……二人は縦横無尽に動き回りながら、凄絶にして流麗なる剣舞の応酬を繰り広げる。
『す、凄い』
その超絶なる領域の模擬戦に他の生徒達、顧問であるゼノンも目を奪われた。剣舞もそうだが、もっとすごいのは剣舞の一つ一つにおいて、一瞬だけ放たれる超常ならざる濃さと強さあるクレアの魔力の動きが静かである事、それに対しシドの魔力の動きがほとんどないという事である。
しかし……。
「やああっ!!」
「む……」
一瞬、シドの魔力が動きを見せつつシドとクレアはすれ違い……。
「また腕をあげたな姉さん、まさか一撃当てられた上に魔力を使わせるなんて」
「当てたと言っても掠っただけじゃない。相変わらず届かせてくれないんだから」
シドはクレアへと笑いかけ、クレアは崩壊していく模擬剣を見ながら苦笑を浮かべるのだった。
その翌日は休日であり……。
「それじゃあ、今日は姉さんの騎士団への体験入団が決まったお祝いといこう」
「喜んで」
「おめでとうございます、クレアさん」
「私もお祝いします」
シドは騎士団の体験入団が決まったクレアを祝うため、『ミツゴシ商会』に来ていた。
クレアの他にはアレクシアにローズ、クリスティーナがいて、更に……。
「こんなにも祝ってくれる弟君がいて良かったね。クレア」
「でしょう、シドは私の自慢の弟よ。ニーナ」
長いワインレッドの髪、小柄だがスタイルは抜群の美少女であり、クレアの同級生で友人でもあるニーナの声にクレアは頷きながら、言った。
そうして、ミツゴシ商会を渡り歩くシド達。
因みにヒョロとジャガも連れて来ていて、小遣いとしてそれぞれ十万ゼニー程、渡して楽しむように言うと『うおおお、ありがとうございますシド様ぁぁぁっ!!』と涙を流して感激しつつ、どこかへと消えたりしている。
その後、割とすぐにシドの元へとやって来て十万ゼニー無くなったから、またくれとか舐めた事を抜かしたのでそれはもう、凄惨な仕置きをしたのは別の話なのだった……。