魔剣士学園においては午後に実技科目を行なっている。それは数多の武器流派の中から自分に適した物を選ぶ選択式でクラスも学年も関係なしで一緒になって行う者だ。
シドにアレクシア、クリスティーナは王都ブシン流一部での実技科目を受けている。その顧問を務めるのは剣術指南役のゼノン・グリフィであるが……。
「今日は光栄な事にとても素晴らしい方が来て下さった。ルスラン副学園長だ」
「いやいや、私など大した存在じゃないよ。」
今日の授業においてはゼノンの傍に長身で白髪交じりの髪をオールバックにまとめた男がいた。
この学園の副学園長であるルスラン・バーネットであり、シェリーの義父でもある人物。何と過去においては『ブシン祭』で優勝経験を持っていたりもする剣豪である。
そんなルスランは好々爺とした態度で苦笑をする。
「何をおっしゃいます。ブシン祭での優勝経験を持つ方が……そんな貴方に指導を受ける事は生徒にとって励みになりますよ」
「優勝など過去の話だよ……ごほ、ごほ……こんな身体だしね」
ゼノンの言葉にルスランは咳をしながら、自嘲する。
そう、ルスランは確かに優れた剣豪であり、この国にとって凄まじい剣士として君臨すると思われたが、難病を患ってしまい現役を引退するしかなかった。
ともかく、授業は始まり……。
「ほう、皆……基礎が出来ている。特にシド・カゲノー君。話通り、素晴らしいね」
基礎練習が始まったが生徒達は皆、しっかりと基礎を積み重ねたが故の物を出しており、その中でも基礎を極めつくしているのがシドであった。
そもそもシドの様子から皆、基礎を積む事の重要性を学んだのだから当然であるし、しかもシドは他の生徒達においても教えを請われれば、嫌がりもせずに指導をしているので皆が実力を伸ばし続けていた。
そうして、手合わせの時間。
「……素晴らしい、本当に素晴らしいよ。私が現役ならば今すぐにでも勝負を挑みたくなるほどだ」
シドの鋭く流麗な剣舞を目撃してルスランは敬意を込めた瞳で見ながら、言う。
今日の実技科目は終わり……。
「皆、大変素晴らしかった。これは選抜大会も楽しみだ」
ルスランは笑みを浮かべながらそう言った。
魔剣士学園では『ブシン祭』において設けられている学園枠、それに参加しうる者を選抜するための大会があるのだ。
「シド・カゲノー君。娘であるシェリーと仲良くしてくれているのは知っている。あの子は色々と辛い目にあっていてね。だから、今後もどうかよろしく頼むよ」
「はい、よろこんで」
ルスランはシドを呼び出すと実力を褒めながら、次にシェリーの事について言及し、シドは頷いたのだった。
生徒たちがいなくなると……。
「事を成すなら、かなりの戦力と準備を整えた方が良い。人質もいるな……」
「はい」
ルスランとゼノンが悪意に塗れた会話をしたのだった……。