ミドガル魔剣士学園に通う生徒たちの中には熱意を燃やしている者がいた。
それは夏にこの国で開催されるうえ、出場する者は国内外を問わない魔剣士による武闘大会である『ブシン祭』に設けられた学園枠。
その枠に選ばれるための『選抜大会』があるからだ。そして、その大会にはアレクシアにローズ、クレアとクリスティーナも出る。
「(楽しみだな)」
一週間後に行われるその選抜大会には当然、シドも出るが彼もアレクシア達もそれぞれ、仕上げに向け、独自での鍛錬をしているのであった。
そんな中で……。
「ほらほら、どうした。そんなんじゃ一回戦でも勝てねぇぞ」
「うげぇっ!!」
「ぎべやぁっ!!」
シドはヒョロとジャガに鍛錬を代わらず、してやっているし勉強も同様だ。
理由は勿論、少しでも目を離せばすぐに怠けるからである。今まで散々、鍛錬やら勉強やらをサボったらどうなるか思い知らせたのに隙あらば、サボろうとする意欲を見せるのは逆に凄いと感心してやっているほどだ。
そして、選抜大会もヒョロとジャガはシドからの命令により強制参加である。
「言っておくが、一回戦も勝てなかったら罰を与えるからな」
「ええっ、き、厳し過ぎないかっ!?」
「そうですよ」
「俺が鍛錬やら勉強やら教えてやっているのに不甲斐ないところを見せてもらっちゃ困る」
「でも、アレクシア様たちやシド君のお姉さんとか強い人多いじゃないですか」
「まずは勝つために努力しろ。話はそれからだ……なにより、お前達は追い込みに追い込みまくってようやく成長するくらいなんだからな」
シドからの要求にヒョロとジャガは反論するものの、シドは平然と返す。
まあ、実際のところは頑張り次第では罰を与えるのは勘弁してやるつもりではあるが、ともかくまず、ヒョロとジャガは追い込みに追い込まないとやる気すら出さない。
対応としては飴が一なら、鞭が九の割合である。
飴としてのそれは十万ゼニーだったり、凄く美味しい店での食事をおごる等、普通ならば十分有難いものではあるのだが……。
「さあ、ともかく打ち込んで来い。選抜大会で勇姿を見せれば女子の一人くらいにはモテるかもしれんぞ」
「っ……うおおおおお、も、モテてやるーっ!!」
「絶対、絶対彼女を作ってやるんだーっ!!」
シドが発破をかける事を言えば、瞬間的にモテる妄想をしたヒョロとジャガは気合を入れてシドへと攻めかかる。
「(本当、こいつらのモチベーションはどうなってんだ……)」
結局はモテたいというのが一番なのかとヒョロとジャガの気合のスイッチにシドは溜息を吐くのであった……。