強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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五十三話

 

 『ミドガル魔剣士学園』にて開催されているブシン祭の学園枠を勝ち取るための『選抜大会』は三回戦が行われていた。

 

「はあっ!!」

 

「うぐっ!!」

 

 クレアは今までと同じように一閃を振るう事で対戦相手を切り伏せる。

 

 

 

 そうして……。

 

「全力でいくからね、シド」

 

「勿論だ、遠慮なく来い」

 

 自然体で剣を構えながらアレクシアは言い、シドも又、それに対して自然体で剣を構えながら応じる。

 

 そうして、直ぐにぶつかり合うと観客たちは思っていたが二人は動かない。

 

 いや、正確には静かに身じろぎしたり、足を動かしたり、剣先を動かしたりする。

 

『(えっ、これは……)』

 

 やがて観客たちは剣舞を交わし合うシドとアレクシアの姿を幻視する事で理解した。二人は技と駆け引きの読み合いであり、一つの対話を繰り広げていて自分たちはその残滓を視認したのだと……。

 

 

 

 そう、戦いとは読み合いであり、一つの対話だ。

 

 相手の剣先の揺れ、視線の向き、足の位置、息遣いなど相手の行動の意味や相手の意図を察し、そうして相手の行動を先読みしてそれに対処し、そうしようとする相手の行動を先読みし、対処する駆け引きをし合うのだ。

 

 

 

 シドとアレクシアがしているのは相当に高度な読み合いであり、対話であり、駆け引きだった。そうして……。

 

 

 

「はあっ!!」

 

 アレクシアが静かに、だが激しく魔力を噴出しながらも緻密に制御すことによる超強化をした状態でシドへと向かっていき、鋭く流麗な剣舞を繰り出した。

 

「ふふ、強くなったな。アレクシア」

 

 シドはアレクシアの剣舞に対し、やはり鋭く流麗な剣舞にて捌きながら彼女を賞賛する。

 

 

 

 

「いいえ、まだまだよ。貴方の婚約者として相応しく、あれるよう強くなるもの」

 

「なら、俺は更に強くならないとな」

 

 シドからの称賛に笑みを浮かべながらも挑戦的にアレクシアは誓いを言い、シドも又、誓う。

 

 

 

 そうして刹那の間に数十、数百、数千、数万、いやそれ以上の剣閃による応酬と縦横無尽の舞をシドとアレクシアは繰り広げ……。

 

 

 

「やあっ!!」

 

「ふっ!!」

 

 二人は次の瞬間、一閃を振るうと共に相手の傍を通り過ぎ……。

 

 

 

「うくっ……私の負けよ。本当に強いわよね、シドは……」

 

 アレクシアの剣は砕け散り、彼女は膝をつく。

 

 

 

「どこまでも強くなる事を目指しているからな」

 

「じゃあ、私も強くなり続けるわ。必ず、貴方に追いついてみせるから」

 

「それは魅力的な言葉だ。流石は俺の婚約者だな」

 

「えへへ……大好きよ、シド」

 

「俺もだ、アレクシア」

 

 シドはアレクシアに近づき、手を差し伸べるとアレクシアはそれを手に取り、そうして抱き締め合いながら愛の言葉を交わしながら、口づけを交わし合った。

 

 

 そうして、いよいよ決勝が行われる事になるのであった……。

 

 

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