アーティファクトの中には途轍もなく凶悪な性能を有する物がいくつか存在する。
その一つが周囲の魔力を吸収し溜め込む『強欲の瞳』である。登録した魔力の波長は吸収しないので扱いやすくはあるし、何より溜め込んだ魔力を利用する事も可能なのだ。
因みに阻害されても極めて微細な魔力に強い勢いの魔力は吸収できない。
その『強欲の瞳』をゼノンがこっそり王国の保管場所から盗み出し、ルスランに与えた事は『シャドウガーディアン』は掴んでいた。
「(ま、大分機会を窺ったじゃないか)」
『強欲の瞳』を使った事に対してそう思いながら、シドはルスランにゼノンと何名かが待つ学園から離れた場所にある大講堂へと向かう。
「こんにちはルスラン副学園長、ゼノン先生」
『っ!?』
大講堂へと入ると即座に仮面や鎧で姿を隠したルスランとゼノンに告げる。他にもかなりの実力者だろう者たちがかなりの数いたが……。
「まったく、驚かされるな。もしかして最初から私達の正体は気づかれていたのかな?」
「本当に危険人物過ぎるな、君は」
ルスランもゼノンも仮面と鎧を外し、その正体を明かした。
「どっちが危険かと言えば、そっちですけどね。『ディアボロス教団』の手先になってるんですから」
『本当に危険だ』
ルスランは赤い錠剤を取り出し、飲みこむと更に『強欲の瞳』と制御装置を組み合わせた物を自分の胸に埋め込み、そうして魔力が強大となった。
ゼノンも又、赤い錠剤を飲みこみそうして異形染みた姿、『覚醒者3rd』の状態となった。
「へへ、俺達も手柄を上げて昇格だぁっ、『
くすんだ赤髪の男でディアボロス・チルドレンの1stのネームドであるレックスが喜々とした様子で得物である剣を持ってシドへと先陣を切りながら、突撃する。無論、他の2ndと1stの者たちもだ。
「遊び甲斐も無いな」
シドは魔力も使わずに剣を踊らせていけば……。
『ぐあああっ!?』
シドへと襲い掛かったレックスたちはシドが魔力無しで披露するどこまでも限界知らずに鋭く流麗な剣閃の舞に対処できずに切り伏せられていった。
「魔力も無しで……」
「この化け物がぁぁぁぁっ!!」
ゼノンとルスランがそれぞれ、シドへと襲い掛かり……。
「鏡を見ろよ、あんた達の方がよっぽど、化け物って面だ」
シドは空間すらも切り裂く剣閃を乱舞させ、ゼノンの肉体を元の姿が分からぬほどに解体した。
更に……。
「う、ま、魔力が……」
ルスランに対しては魔力のみを斬滅してみせたのだ。
「さて、チャンスをくれてやろうか?」
「チャンスだと……」
「ああ、今から俺が言う質問に答えるなら、生きるチャンスを与えてやっても良い」
「……何が知りたい?」
「シェリーの母親であるルクレイアさんを殺したのは貴方ですね?」
「……ああ、そうだよ。研究が好きなようだったからその場を与えてやったというのに私の病を癒したこの『強欲の瞳』を取り上げようとしたのだ。だから、殺してやったのだ体の先から中心へ突いていき、最後は心臓を突き刺し捻じ切った。そして、ルクレイアの娘であるシェリーを利用してやったのだ」
ルスランはシドの質問に対し、全てを話した。
「だ、そうですがどうしますか、シェリー先輩?」
シドは携帯出来る通話型のアーティファクトを懐から取り出し、話しかける。
そう、シドはシェリーの元へ『シャドウガーディアン』の者たちを向かわせ、通話型アーティファクトでルスランの言葉を聞けるようにしていたのである。
『殺してください』
「分かりました……だ、そうです、残念でしたね」
「なんて男だ……」
「それはこっちの台詞ですよ……それと貴方がルクレイアさんにやったような事が生ぬるいと思える殺し方をしますね」
「う、うああああああああっ!!」
そうしてシドはルスランをゆっくりと切り刻んで苦しめていき、最後には断末魔の叫びを上げるようにしてゼノンと同じく、元が誰かも分からぬほどに切り刻んだのであった……。