日が沈み、闇夜に包まれた『聖地リンドブルム』は多くの人で活気立っていた。
何故なら、今日は一年に一度ある『女神の試練』が開催されているからだ。腕に覚えのある魔剣士が競技場に現れ、その者の実力が古代の戦士の記憶に見合う者だと試練に挑む資格ありというように古代の戦士は現れる。
そうして戦い合うのだ。
勝てば、自分の実力を高く評価してもらえる一つの指標となる『メダル』が貰える。
因みにこのメダルを売ればどうなるかというと……その瞬間、間違いなく『教会』の敵となってしまい下手をすれば、裁かれる事になる。
ともかく、百五十人を超える魔剣士が『女神の試練』に参加している。参加費は十万ゼニ―なのでこれだけでも教会は大儲けだ。
そうして、多くの魔剣士が古代の戦士の記憶と戦う事も出来ず、競技場から無念の表情を浮かべて去っていく中、八人ほど、古代の戦士の記憶を召喚できたが、勝つ事は出来なかった。
夜は更けていき、終わりの雰囲気が漂ってきた中で……。
「次はミドガル魔剣士学園からの挑戦者、シド・カゲノー!!」
シドの出番となり、シドは競技場へと歩く。
試練の場に立つと、その瞬間、古代文字が反応して人の形を形成し始めた。そして、形成し始めている古代文字は四人分である。
「ああ……一人だけってのは言われてなかったな」
シドはその様子を見ながら、呟く。実力に応じて戦士の記憶が呼び出されるなら、あまりにも高ければ必然、複数の戦士が呼び出されるのだろう。
そうして、呼び出されたのは長い黒髪に鮮やかなヴァイオレットの瞳、薄い黒ローブ、深い紫のドレスを着た容姿もスタイルも抜群で美しい女性、そしてレイに似た戦士とリリムに似た戦士、髪こそ短く切り揃えられているがアレクシアと似た戦士の四人が現れる。
「(『災厄の魔女』アウロラにエルフの英雄、オリヴィエに獣人の英雄、リリに人間の英雄、フレイヤ……シチュエーション的には超絶な実力者に対してラスボスと主人公パーティが手を組んだみたいで燃えるんだがなぁ)」
シドは全員の事を知っていた。特に『災厄の魔女』アウロラは古代の歴史を読み解く度に現れる者でかつて世界に混乱と破壊を招いた者だとされている。
そして、オリヴィエにリリ、フレイヤは魔人ディアボロスを倒したこの世界における三英雄だ。
「(まあ、俺はこの世界にとっては異次元の強者だからな)」
そう思いながら、シドは剣を抜き放って自然体にて構える。
そんなシドに対して……。
「ば、馬鹿な複数の戦士が呼び出されるどころか……それがアウロラと三英雄だと……な、何者なのだシド・カゲノーは」
『この世界、史上最強の魔剣士よ』
驚愕するネルソンに対し、来賓席にいる女性陣全てがシドの事をそう評したのであった……。