強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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六話

 

 

  様々な部族に溢れている『獣人の領域』――獣人の国々を一つにまとめていた大英雄であるシヴァが亡くなった事で『弱肉強食』の理が前提であるため、シヴァの後釜を狙った獣人たちによって戦乱が訪れていた。

 

 他の部族からの侵略を防ぎ、平穏に生き抜こうと『妖狐族』と『大狼族』は繋がり合った。妖狐族の長の娘であるユキメと大狼族の長の息子である月丹は婚約関係になったのである。

 

 二つの部族が繋がった切っ掛けは元々、襲われていた妖狐族を大狼族が救出した事であり、その際にユキメも月丹に救われた事で慕うようになったのである。

 

 しかし、大部族同士の争いに巻き込まれ、どちらの味方もしなかったからこそ標的とされ大部族の一つに襲撃された。

 

 そうして、全滅しようとしたところでシドが介入した。

 

 

 自分の領地に獣人の野盗やらが頻繁に入り出した事から獣人の領域が荒れているのを知り、修行も兼ねて戦乱を終わらせるのと獣人たちと関わる事で今後、信頼が出来る獣人に国を納めてもらいながら自分の領地やミドガル王国と良い関係を築けるようにという事でシドは自分の領地にある山を越えたところにある獣人の領域へと踏み入ったのだ。

 

 そして、大部族に襲われていた妖狐族と大狼族を救った訳だが完全ではなく、どちらともの長始め、多くの者が亡くなり救えたのはほんの少し。しかも、ユキメの母親であり妖怪狐族の長を殺したのはユキメの婚約者の月丹でシドが助けなければユキメを殺すところでさえあった。

 

 ともかく、ひとまずの事態が終わると……。

 

 

 

「……シド・カゲノーです。完全に救う事が出来れば色々と良かったんだけど……すまない」

 

 シドは兜と鎧をスライムに変化させて自分の素顔と体を見せながら、獣人たちに自分が此処を訪れた経緯を説明し、完全に救えなかった事を謝る。

 

「とんでもありません。貴方のお陰で全滅するところだったのを救っていただきました。貴方様は私達の恩人です、シド様」

 

 シドの正体に獣人たちは驚愕したがしかし、彼が漂わせる力の気配は兜と鎧を纏っていた時と変化は無い。それになにより、生き残った妖狐族と大狼族合わせて二十人の恩人には変わりない。

 

 ユキメが代表してお礼を言い、彼女と共に獣人たちは頭を垂れた。

 

「どういたしまして……とはいえ、まだ終わった訳じゃない。さて、次は貴方達だ」

 

 襲撃を任された大部族の者たちはシドによって多くが打ち倒され、リーダーも倒された事で生き残っていた者達は降伏した。そうして今は沙汰を待つ状態であり……。

 

 そうして……。

 

「ふっ!!」

 

「が、あ……へへ、俺の負けだ。あんたに従う」

 

 降伏した者から集落の場所を聞き、単身侵入すると『出来るだけ命は救ってほしい』という懇願を聞いて加減をしながらシドは己の本領である格闘技によって打ち倒していき、大部族の長も爆発的な蹴りの余波による衝撃波を炸裂させる事で打ち倒し、降伏させた。

 

 

 更に……。

 

「ふしっ!!」

 

 もう一つの大部族の集落へと攻め込んだシドは兜と全身鎧に変化させているスライムから一部を切り離したそれを剣に変化させ、流麗な剣舞を繰り出し切り伏せていく。

 

 強さを探求する上で何より効果があるのは実戦を積む事。

 

 なのでシドは獣人たちとの実戦を通して自分の本領である格闘技や剣術は勿論、様々な戦闘技術を磨き、戦闘経験を積み、強さを探求していくのである。

 

 

「うがあっ!!」

 

「あ、ああ……こ、降伏します」

 

 

 シドに剣舞により彼に挑んだ者達と長が切り伏せられた事で残りの者たちは降伏。

 

 こうして妖狐族と大狼族を争いに巻き込もうとした二つの大部族はシドによって征服されたのである。

 

「お、おお……これは良い感じの……」

 

「ふふ、堪能していただいてなによりです(っ、可愛いお人……)」

 

 ひとまず、大部族を征服する事でこれ以上、妖狐族と大狼族が襲われる事の無いようにしたシドはユキメ達にお礼をしたいと言われていたので興味本位から獣人の耳と尻尾を触ってみたいと言い、ユキメがそれを引き受けた。

 

 良い感じの毛並みの感触をシドが見た目通り、少年らしい顔で堪能している様子に胸打たれながら微笑み……。

 

「すぅすぅ」

 

「お休みなさいませ、シド様」

 

 膝枕も促し、それに応じたシドの身体に尻尾を当てながら頭や顔を撫でるユキメは気持ち良さそうに寝ているシドに笑みを浮かべて声をかけ……。

 

「私や皆の命を救っていただいた恩、この身を持って返させてもらいます」

 

 ユキメはシドに対し、誓いを述べたのであった……。

 

 

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