強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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六十九話

 

 『女神の試練』をクリアしたシドに対し、『聖域』は応えて『聖域』に繋がる『扉』を出現させた。

 

 会場内に大きなものを一つ、そしてシドの近くに彼一人が通れるだけのサイズの物を一つだ。

 

 その自分の近くに出現した扉を潜ると聖域に拘束された状態の『災厄の魔女』であるアウロラがいたので助けつつ、共にこの『聖域』を巡る事とした。

 

 

 

 そうして、アウロラが拘束されていた部屋に唯一あった扉を抜ければ……。

 

「この記憶はお前のか?」

 

「見覚えはあるわ」

 

 扉を抜けた二人の視界に広がった光景は早朝の森――日の光が木々の隙間から降り注ぎ、朝露に濡れた草が輝いていた。

 

 そんな中、見覚えがあると言ったアウロラは森の中を先に進んでいき、シドはその後に続く。そうして森が開けた広場に髪色は黒だが、アウロラの少女時代としか思えない容姿の少女が膝を抱えて座っており、良く見れば泣いていた。

 

 

 

「ろくでも無い事をされたようだな。酷い奴がいたもんだ」

 

「まったくよね」

 

 少女に近づけば、身体に青痣がいくつかできており、目立っていた。

 

 

「それでどうするんだ?」

 

「先に進みたいなら、この記憶を終わらせれば良いの」

 

「どうやって?」

 

「こうやって」

 

 アウロラは少女の顔を持ち上げ、そうして頬を叩いた。

 

「酷いな」

 

「良いのよ、自分だし」

 

「やっぱり、そうか」

 

 シドの言葉にアウロラは軽く応じた。そうして鏡が割れるように二人が今いる世界は割れてしまい、深い闇の奥に消えていく。

 

 

 

 そうして二人は何も無い暗闇に立っていた。

 

 

 

「行きましょう」

 

「仰せのままに」

 

 アウロラの言葉に応じて彼女とシドは暗闇の中を進んでいく。すると茜色の光が暗闇差し込み、そうして世界が変わる。

 

 夕日に染まった戦場の光景が二人の視界に入る。

 

 地平線まで兵士の死体が転がっており、どす黒い血も大地に広がっていた。

 

 

 

「さっきの光景とは極端に血生臭い光景だ」

 

「戦場だものね」

 

 そうして文字通り、死屍累々の戦場をアウロラの先導により、シドは進んでいく。

 

 

「また泣いているな」

 

「泣き虫だったの、か弱いって言ったでしょ。剣を貸して」

 

「どうぞ」

 

 死体の上で膝を抱えている泣いている血塗れの少女を見つつ、アウロラに鞘から剣を抜きながら持ち手の方を差し出す事で貸した。シドから剣を受け取ったアウロラは剣を構えて少女の前に立つ。

 

「おっと、危ない」

 

 兵士の死体が動き、アウロラを斬ろうとしたそこに割って入り、アウロラの腰を抱いて後ろへと飛んだ。

 

 

 

「死体がっ!? 聖域が拒んでいるのね」

 

「中心に近づかれるのが嫌みたいだな」

 

 アウロラとシドが会話する中、兵士の死体の群れは立ち上がり続けた。

 

「手早く済ませないとな」

 

 シドは自分の身体と融合させているスライムを操り、右手の部分から外に一部を解放させながら、剣に変形させていく。

 

 

「ふっ!!」

 

 そうして超速で走りながら、剣を使った凄絶なる戦舞を舞い踊り、兵士の死体を解体しながら少女の元へと進み……。

 

 

 

「悪いな」

 

 少女を深々と突き刺し、その直後に剣を引き抜く。

 

 これにより、シドとアウロラは死体の群れの渦に呑み込まれ、世界は割れる。

 

 再び暗闇の世界にシドとアウロラはいた。シドはスライムを剣に変形させたそれを元のスライムに戻しながら再び、自分の肉体に融合させる。

 

 

 

「本当、頼りになるわね。守ってくれてありがとう、ナイト様」

 

「それがナイトである私の役目ですので」

 

 アウロラの称賛に応じつつ、二人は再び暗闇の世界を歩いていくのであった……。

 

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