シド達が『聖地リンドブルム』にて活動している間、ベガルタ帝国の辺境マドリーでも『シャドウ・ガーディアン』の活動はあった。
活動しているのは『ミツゴシ商会』の会長であるユキメとルーナことアイムである。
このマドリーにミツゴシ商会の新規店舗を開店するという事で領主の長男、ルードと交渉している。
立地だけなら最高であり、少し古いが三階建てで広さは文句なし、構造も頑丈。
改装すれば商会として十分使え、建物は取り壊して新築にしても良い。
「ユキメさん、ルーナさん。この物件はおすすめです。大通りに面した立地、日当たりも良く、間口も広い。土地も含めて本来なら一億四千万ゼニーですが、ミツゴシ商会のブランドは凄い。そうしたことも踏まえて特別に一億二千万ゼニーでお譲りしましょう」
ルードはユキメとアイムへ積極的にこの地を売り込んでいた。
本当に立地だけなら破格の値だ。これがミドガル王国の王都なら軽く十倍はするし、此処と同じ規模の地方都市でも五倍はする。
そんな土地が安値であっても、売れ残っているのには当然、理由があるのだ。
このベガルタ帝国の辺境であるマドリーは率直に行って過疎化が進んでしまっている。
大きな理由としては二つ。
一つは都市の立地が悪い。マドリーから最寄りの都市まで荷物を積んだ馬車で一カ月以上かかってしまう。時間とコストがまず、商売に向いてない。
二つ、ベガルタ帝国の帝都が好景気なので若者や商人は皆、帝都に行ってしまうのである。
もっともベガルタ帝国が好景気なのはミツゴシ商会ベガルタ帝都支店の出店とそれに伴う再開発が関わっているが、そこはどちらも触れようとしなかった。
ともかく、マドリーという都市には魅力が無いのである。
「ぜひぜひ、こちらにミツゴシ商会新規店舗を!!」
だからこそ、ルードは必死だ。帝都を好景気に導いたミツゴシ商会があればマドリーの過疎化は無くなり、財政が逆転して潤い続けると希望的観測をしているのである。
「この土地自体は悪くありんせんけど……」
「どうしようかしら……」
「わ、分かりました。ここはもう、私も男です。一億ゼニーで売ろうじゃありませんかっ!!」
煮え切らない態度のユキメとアイムへルードはかなり思い切った値で商談を持ちかけるがユキメもアイムも値下げ程度で答えを出すつもりは無い。
一週間以上、この辺りの物件を見てユキメとアイムは煮え切らない態度を装っていた。
二人とも待っているだけなのである。
「調査が終わりました」
「結果は?」
「可能です」
「例の物は?」
「間違いありません。石油です」
調査の結果を知らせに来た者の言葉を聞いたユキメとアイムは……。
「買いましょう」
「この通りの物件、全てを」
「え?」
戸惑うルードを放ってユキメとアイムは不動産バブルに備えた立ち回りをし始めたのである。
「良くやった、流石だなユキメ、アイム」
「ひゃう、あふ、し、シドはん……」
「やう、ふく、主様ぁ……」
上手く商談を纏めて商会発展を成したユキメとアイムにシドはたっぷりと愛と快楽を与えて心身から蕩けさせては至福の絶頂を何度も体験させたのであった……。