七十八話
ミドガル王国では二年に一度の夏の時期、国内外の魔剣士たちを集めて武闘大会である『ブシン祭』が開催される。
そして、今年はその『ブシン祭』が開催される年である。それが故にこの夏はミドガル王国王都は大いに盛り上がっていた。なにより毎日、多くの魔剣士が王都を訪れる。その中には当然、この世界にて名を馳せる魔剣士の姿も幾つかあったりする。
そうして次々に闘技場の受付で登録をしていくのだ。
「俺も油断なく頑張らないとな」
シドはミドガル魔剣士学園の『選抜大会』で優勝しているので学園枠で参加する事になっている。それは本戦からの参加するという事だ。
なのでそれまでの間にシドは鍛錬を積む事としていた。
「で、これをこうやると……」
とりあえず、スライムの身体とそれに蓄えられているシドの魔力によって、実体化しているアウロラからディアボロスの力の使い方を改めて習っていた。
まずは『女神の試練』にてアウロラがやってみせた自分の血を赤い槍や赤い触手に変化させて伸ばしたり、多数出して自由自在に操ってみせたり、あるいは巨大な剣に変えたりなど血を武器として操る方法を学んだのである。
もっともこれらの事は元からスライムを駆使してやっているので習得は早かった。
更には魔力で体の負傷の自己再生をやったりもしたし……。
「これは中々、面白いな」
「でしょう。吸血鬼が良く使う技だけどね」
アウロラは更に自らを霧化し、周囲を移動しながら霧から元に戻る戦法のやり方もシドに教えた。
「これを応用すれば……」
シドが霧に変化すると次の瞬間、満を超える小さな刃が作り出された。
「うん、中々面白い技が出来た。ありがとうな……レイ達にも教えてやってくれ」
「喜んでくれたなら良かったわ。あの子達も覚えが良いからすぐに出来るわね」
シドはアウロラに自分と同じようにディアボロス細胞を持つ者(シドは後天的だが)であるレイ達に技を教えるように頼むとアウロラは微笑んで頷いた。
「とはいえ、ブシン祭じゃなくあくまで実戦用にしか使えないがな」
血を武器とし、操る技に霧化して動く技も正直、反則であるし文字通り、怪物扱いされてもおかしくないものだ。
なのであくまでブシン祭では魔剣士としての技で勝負する事に決めている。なのでマイが開発した身体に重量、動きの制限に呼吸の制限、魔力の制限などをするトレーニング用のアーティファクトをつけてシドはまず、仮想的を頭の中に思浮かべながら、実際に剣を振るって戦うイメージファイトであり、基礎的な鍛錬を始めるのであった……。