強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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八十一話

 

 ミドガル王国王都では国を挙げての魔剣士の武闘大会である『ブシン祭』が始まる時が近づいており、賑やかになっていく中でシドは一旦、鍛錬を切り上げてとある場所へと向かっており……。

 

 

 

「シド君、すみません。『ブシン祭』に向けての鍛錬でお忙しいのに」

 

  そして、近くで待っていたローズがシドに対し、頭を下げた。

 

「いえいえ、俺の義父さんになる人が話そうって言ってるのにそれを迷惑だなんて思ってませんよ」

 

 シドはローズに対し、そう言って苦笑した。

 

 今からシドとローズはこのミドガル王国王都で『ブシン祭』を観戦するために訪れたオリアナ王国の王であり、ローズの父でシドにとって、義父になるラファエロとに会いに行き、会食をするのである。

 

 一つはこのミドガルの魔剣士学園に留学している娘と再会、そして彼女の婚約者であるシドが『ブシン祭』に参加するので応援をするためである。

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 ローズはシドに対し、笑みを浮かべると二人でオリアナ王国のためにミドガル王国が用意した施設へと向かった。

 

 そうして施設の中へと通され、ラファエロのための王の間へと行き、彼が来るまで二人で膝をつき、顔を伏せて待っていたが……。

 

 

 

「ラファエロ王、ご入室です」

 

 騎士の一人がそう言い、扉が開く音がした。

 

 その瞬間……。

 

「(やってくれやがったなっ!!)」

 

 シドは漂い始めた甘い香りで全てを察した。数年前、ウィクトーリアを洗脳するために使われていた薬による甘い香りだったからだ。

 

 つまり、ディアボロス教団はラファエロを自分達の傀儡にしたのである。

 

 「ロー……ズ、シ……ド……君。久し……振り……」

 

 顔を上げてラファエロの状態を確認すれば、薬の効果で口からよだれを垂らしながら、呂律すらろくに回っておらず、視界の焦点すら定まっていない酷い状態のラファエロがいた。

 

 隣ではラファエロの側近を務めているドエム・ケツハットという三十歳前後の端整な顔立ちをした男が薄笑いを浮かべていた。

 

 

 

 どうせ、これで自分とローズをもディアボロス教団のための土産に出来ると思っているのだろう。

 

 

 

「まさか、ここまでやるとはな。ディアボロス教団っ!!」

 

「なぜ、それをっ!?」

 

 シドは魔力を放出し、そうしてドエムと協力者だろうこの部屋にいる役職に就いた者達、兵士たちに炸裂させながら自分の魔力で侵食する事による精神操作を行った。

 

 

 

 

「シド君、一体何が……」

 

「全部、説明しますよ。だから、今は俺を信じてください」

 

「勿論、信じています」

 

 シドの魔力で精神操作され、今は茫洋としている者達が多くいるこの部屋にてローズは混乱しながらもシドの言葉に頷き、微笑んだのであった……。

 

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