強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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九十一話

 

 ミドガル王国王都で開催されている国内外の魔剣士の武闘大会である『ブシン祭』で本戦二回戦の第一試合が行われている。

 

 そして、第一試合を行うのはシド・カゲノーとアンネローゼ・フシアナスである。

 

 シド・カゲノーはミドガルが国として誕生して以来、千年に一人、あるいは万、あるいはもっと……滅多に誕生するはずの無い規格外であり、超絶的な才能、『鬼才』を有する魔剣士と評されている。

 

 その相手であるアンネローゼはベガルタにおいて国の中でずば抜けた強さを持つ七人に与えられる『ベガルタ七武剣』の座を短期間とはいえ、手にしていた者であり、その座を止めた後でも修行の旅をしながら各地の国や町などで開催される武闘大会に参加し、優勝し続けている。

 

 どちらも名を馳せている魔剣士どうしの戦いに観客達や他の本戦に出場する選手たちも注目をしていた。

 

 そうして、シドとアンネローゼが対峙すると少し、読み合いによる静寂の戦いが行われる。

 

 それが突如、二人ともが姿を一瞬消した事で『動の戦い』へと切り替わる。

 

 「はあっ!!」

 

 アンネローゼは縦横無尽に疾走しながら、その勢いを力に利用しつつ、斬閃乱舞を繰り出していく。

 

「ふっ!!」

 

 それに対しシドも縦横無尽に動きながら、アンネローゼの剣閃を受け流してはその勢いを利用してアンネローゼの死角へと滑り込む。

 

 瞬時に反撃されないよう、アンネローゼは魔力の瞬発解放で速度を爆発的に上げつつその場から緊急的に離脱する。

 

 大きくアンネローゼはシドから距離を取り、彼の死角へと滑り込みながら攻撃していく。

 

 しかし、シドはそれを見もせずにやすやすと受け流してはやはり、アンネローゼの死角に滑り込む。

 

 それをアンネローゼは又大きく距離を取って回避していく。無論、消耗はどうしても大きくなる。

 

 「っ、ならこれで!!」

 

 アンネローゼは奇襲するため、魔力によって斬撃を飛ばしてみせた。

 

「ほう、出来るようになったのか」

 

 魔力によって斬撃を飛ばすのは距離の関係で魔力自体が拡散するので本当に困難な技術である。しかして『シャドウ・ガーディアン』の元で鍛錬をしているアンネローゼは魔力によって斬撃を飛ばす技術を会得していた。

 

 それを中々の完成度で披露したアンネローゼに感心しながら、シドは容易く切り払う。

 

 「ここっ!!」

 

 その僅かな隙へと魔力の極大的な圧縮開放による超絶的な疾走と共にアンネローゼはシドへと迫りながら、斬撃を繰り出す。

 

「っ!?」

 

 しかし、シドを切り裂いたのに手ごたえは無く、その姿が消失した。

 

「残像だよ」

 

 魔力を強く使ったうえでシドは相手の意識を集中させた。その上で魔力を、そして存在感も薄くする事で錯覚を起こさせ、その間にシドはアンネローゼの死角に回り込んでいた。

 

 シドはアンネローゼに告げるとそのまま軽く当て身を炸裂させる事でアンネローゼの意識を失わせ、倒れさせたのであった……。

 

 

 

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