強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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九十三話

 

 ミドガル王国王都において二年に一度、開催されている国内外の魔剣士を集めて行う武闘大会が『ブシン祭』。

 

 今回も名だたる強豪たちがそれぞれの実力を発揮した事で『ブシン祭』は例年以上の盛り上がりを見せていた。

 

 しかして、そんな『ブシン祭』も今日が最後である。つまり、決勝戦が行われようとしているのだ。

 

 そして、決勝戦を行う二人と言うのが……。

 

 

 

「この時を本当に楽しみにしていました、シドさん」

 

「俺もだよ、アイリス」

 

 一人はこの国の第一王女でありながら、『ブシン祭』でも優勝しているこの国において最強の魔剣士と大陸にも轟いているアイリス。

 

 そして、もう一人はそんなアイリスとその他、名だたる魔剣士達とは別次元の物として語られているシドだ。

 

 お互い、笑みを浮かべ合いながらもそれぞれ鞘から剣を抜くと構えて対峙し合う。

 

 観客達は皆、この大陸でも上から数えた方が速い実力者による戦いを心待ちとし……。

 

 

 

「アイリス・ミドガル対シド・カゲノー!! 試合開始!!」

 

 審判が二人の試合の開始を告げ……。

 

 瞬間、二人の闘志がぶつかり合った事による衝撃で空間が歪むのを観客たちは感じる。

 

 

 

 アイリスもシドも相手に向ける視線や呼吸、構え、手足の動きを洞察しながらも互いに軽く動いたりする事でフェイントによる翻弄を行いながら、相手の意図と動きを読み取っていく。

 

 所謂、『対話』であり静かな闘争を行っていた。それは少しの間、続く。

 

 

 

「はああっ!!」

 

 次の瞬間、凄まじい濃い魔力を爆発的に漲らせながら、超速で瞬く間の間にシドへと接近すると共に壮絶なる斬閃を振り下ろす。

 

「しっ!!」

 

 それをシドは剣閃を振るう事で捌いて流した。

 

「ふっ!!」

 

 流された剣閃の勢いを利用しながら、体勢を変えるようにして再び、剣閃を放つ。

 

「おっと」

 

 そうして、アイリスは鋭く流麗だが武威としての獰猛であり、勇ましさを感じさせる剣舞を披露していく。それに対してシドも鋭く流麗な剣閃で捌き、受け流していく。

 

 だが、アイリスの剣閃乱舞は下手な駆け引きも含まないが故に動作を行う速さ、流麗さは中々だった。

 

 シドは受け流した勢いを利用して相手の死角へと滑り込むがそのシドへとアイリスは追いすがるようにして剣閃乱舞を放つ。

 

 

 

「強くなったな、本当に」

 

「いいえ、まだまだです。ふっ!!」

 

「っ!?」

 

 アイリスは更に激しく魔力を爆発させながら、空間すら切り裂くのではないかと思わせる威容を有する剣閃を振り下ろす。それを捌いたシドだが、後ろへと吹っ飛ばされつつ、衣服も軽く切り裂かれた。

 

「良い一撃だ。俺の防御を良く破った」

 

シドはそう、アイリスを賞賛すると剣を構え直し……。

 

「はああっ!!」

 

「ふっ!!」

 

 二人とも次の瞬間には姿を消し……。二つの剣閃が交差する軌跡を空間状に刻んで輝くと共に互いに交差しすれ違う。

 

 

 

「まだまだ遠いですか……」

 

「そう簡単に追い抜かせたりするつもりは無いからな」

 

 アイリスは折れた剣を手に持ちつつも膝をついて倒れ、そんなアイリスへと剣を鞘に納めながら、近づいていく。

 

 

 

「楽しませてもらったよ、アイリス。愛している」

 

「ええ、私も愛しています。シドさん」

 

 シドが手を差し出すとアイリスはそれを掴んでシドに起き上がらせてもらいながらそのまま、シドを抱き締め、シドも抱き締め返しながら愛の言葉を二人は交わし、口づけする。

 

 戦いもそうだが、愛し合う二人のそれに観客は歓声を上げるのであった……。

 

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