強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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九十六話

 

 シド・カゲノーは今年、開催されたミドガル王国において一番重要な行事であり、祭事であり、武闘大会の『ブシン祭』にて優勝した。

 

 するとシドの強さに興味を惹かれ、初代『ブシン祭』で優勝した女性エルフの剣豪であるベアトリクスとも戦い、彼女に対しても勝利した。

 

 シドの強さや対戦自体に観客たちは盛り上がり、今年の『ブシン祭』は今までのものを含めても最高に盛り上がり、シドにおいては生涯、語り継がれるだろう武勇伝が増え、『超越武神』という異名まで貰った。

 

 その後、ミドガルの国王であり、アイリスとアレクシアの父親であるクラウス・ミドガルから城で行うという『宴』に招待された。

 

 これはベアトリクスも同じだが、彼女は城に招かれた用の衣装であるドレスを持っていなかった。

 

 そもそもは姪である『遠き清流のキキョウ』の行方を探す旅をしていたのだから、当然だが……。

 

 城で用意すると言われたが、ベアトリクスは気分的に遠慮してしまう。

 

 そこでシドが助け舟を出し、ミツゴシ商会に連れて行き、城での宴用のドレスや飾り物などを用意させ、プレゼントしたのである。

 

 ベアトリクスは大変感謝し、シドは快く受け入れると自分もミツゴシ商会で宴用の衣装を着て、二人でミツゴシ商会が用意した馬車に乗って、ミドガルの王城へと向かった。

 

「ベアトリクス、手を」

 

「うん、ありがとう」

 

 シドは王城で止まった馬車から先に降りるとベアトリクスに手を出し、ベアトリクスはシドの手を握って彼に引かれるままに馬車から降りた。

 

「おお、どちらも大変良くお似合いです。二人とも、ようこそおいでくださいました。皆様は会場でお待ちです」

 

「そうですか、出迎えありがとうございます」

 

 城に来るという話を聞いていた大臣がシドとベアトリクスを出迎え、宴が行われる会場へと先導する。

 

 そうして……。

 

 

 

「ふふ、今日の主役がようやく登場したわね。優勝、おめでとうシド。姉としてこんなに誇らしい事は無いわ」

 

「ありがとう、姉さん」

 

 会場内にいてドレス姿に身を包んでいるクレアが弟であるシドに近づき、賞賛の声を送る。

 

 

 

「優勝おめでとうございます、シド君……今回は色んなシド君の技を見れて大変良かったです。参考にして、これからも精進しますね」

 

「そうしてくれると俺としても嬉しいよ、ローズ」

 

 ローズも近づき、シドへと言葉を送り、シドも笑みを浮かべて言葉を返す。

 

 

 

「シドの強さもそうだけど、ブシン祭を盛り上げてくれてありがとうね」

 

「ミドガルの名もこれまで以上に大きくなるでしょう。ベアトリクス様もありがとうございました」

 

「国に仕える者として大変、名誉な言葉をありがとうございます。アイリス王女、アレクシア王女」

 

「ど、どういたしまして……私は我儘を叶えてもらっただけだけど」

 

 シドはアイリスにアレクシアからの言葉に深く頭を下げて応じ、ベアトリクスは戸惑いながら二人の王女の言葉を受け入れたのであった……。

 

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