ラストですがDRAGONNIGHTを意識した展開です。同時に龍騎と対を成す。"あのライダー"の登場フラグとなっています。
浅倉、黒霧を除く敵達が全員捕まってから暫く経った後、USJ前には多くのパトカーと救急車が停車していた。
「オールマイト!」
「緑谷少年!」
かっちゃんを先に病院へ送っていたオールマイトが現場に戻ってくるのを確認して僕は彼に駆け寄る。
「すまない大丈夫だったか?」
「はい、何とか・・・」
「緑谷」
「秋山さん!手塚さん!」
「その様子だと無事だな。何よりだ。」
秋山さんはそう言うと僕の無事に安堵する。
「それより浅倉もライダーだったんですね。」
「ああ、奴は凶悪な性格の持ち主だ。奴のせいで・・・多くの人々が犠牲になった。」
手塚さんはそう言って曇った表情を浮かべる。
「浅倉の件は私も警戒しておこう。それに爆豪少年をあそこまで傷だらけにしたんだ。私も憤りがある。」
「かっちゃん・・・そうだ!オールマイト!かっちゃんは?」
「大丈夫だ。命に別状はない。」
「よ、良かった・・・」
かっちゃんの安否を聞いて僕は安堵する
「だが・・・右腕なのだが・・・」
「えっ?」
オールマイトは拳を握り締めて悔しそうな表情をする。
「彼の右腕はもしかしたら・・・治らないかもしれない。」
「えっ・・・!?」
「余りにも損傷が激しいそうでな・・・骨だけでなく神経にまで影響を及ぼしているそうだ。最悪の場合、再起不能になるかもしれないとの事だ。」
「そんな・・・」
かっちゃんの命とも言える右腕の再起不能・・・それを聞いて僕は絶望の表情を浮かべると手塚さんも険しい表情になった。
「医者も全力を尽くすと言ったが治ったとしても影響は出るだろう。爆豪少年にはまだ伝えていないがな。」
「かっちゃん・・・」
「奴は浅倉に対して果敢に立ち向かったらしいな。その度胸だけは認めてやる。現に奴の犠牲が無ければお前も動けなかった筈だ。まあ、無謀な行為に変わりはないがな。」
秋山さんは今回のかっちゃんの行動を評価するも無謀であると厳しい言葉を投げかける。
「それに相澤君も13号君もあの黒霧とやらの個性の影響でワープ先の崖に転落して怪我を負っている。怪我は教師二人と爆豪少年だけで済んだのはいいが・・・」
「オールマイト、悔やんでも仕方ないんじゃないか?」
「手塚?」
手塚さんはそう言うとコインを跳ねて掌に置くと出た面を見て口を開く。
「この三人に今の所、破滅へ向かう道は無い。俺の占いは当たる。だからこの運命は変えるべきでは無い。その為にはオールマイト。平和の象徴と呼ばれるお前が守り抜く必要がある。その身体が持つまでな。」
「そうだな・・・君がそう言うならその未来。信じてみようじゃないか。」
オールマイトはいつもの笑みを取り戻して手塚さんにサムズアップを送る。
しかし、僕は曇った表情を崩さぬまま かっちゃんの事を気にかける。あの時、浅倉に右腕を踏まれた時だっただろう。骨が砕ける音は僕の耳にも届いていた。
それなのに・・・僕は動くことすら出来なかった。
「緑谷、おい!」
「はっ!」
ふと、秋山さんに声を掛けられ我に返る。
「はい」
「話がある。」
「えっ?」
そんな事を言った秋山さんに僕は首を傾げる。
「オールマイト。悪いが緑谷は借りていくぞ。お前は怪我をした先生の代わりに他の生徒を誘導した方がいい。」
「ああ、そのつもりだ。」
「では、緑谷。俺と秋山に付いてこい。」
「は、はい」
僕はそう言われるがままオールマイトに振り向く暇もなく秋山さんと手塚さんの後に付いて行くことになるのだった。
◇◇◇
「・・・」
私は秋山と手塚の後に付いて行く緑谷少年の背中を見送りながらトレードマークとも言える笑顔をその顔から消す。
爆豪少年の右腕の事、君は気にかけているのだろう?それは私も同じだよ。緑谷少年。だから君が責任を感じることは無い。
そう言いたかったがかえってそれが彼にプレッシャーを与えてしまうだろう。
「私は・・・どうしたらいいのだ。」
なにも励ましの声を掛けられない私は幾多の人々を救ってきた大きなその手を強く握り締める。
何が平和の象徴だ!私よ!今、目の前にいる一人の少年の悩みを全く解決させてやれないでは無いか!!
自分を叱るかのように心の中で諭しの言葉を投げかける。
「いや、迷っていても仕方ないな。」
思わず首を横に振って自分にそう言い聞かせる。
「オールマイト」
すると塚内が須藤を連れて私へ声を掛けてくる。
「おお、塚内に須藤。」
「お疲れ様です。オールマイト。」
「ああ、お疲れ」
笑顔で挨拶する須藤に私もまた笑顔を返す。
「先程、頼んでいた浅倉の件だが須藤に調べさせて貰った。」
「そうか、話してくれるか?」
「はい」
真顔になった須藤は私に頷くと手にしていた資料を開き、浅倉について説明する。
「浅倉威、年齢は25歳。無個性。現在に至るまで多くの殺人、傷害、暴行事件を起こしている人物です。」
「直近だとデステゴロとシンリンカムイを鉄パイプ一本で戦闘不能にしたそうだな?」
「はい、彼の戦闘能力は非常に高く、警官が数人束になっても返り討ちに遭う程です。」
「随分と厄介だな。それに個性持ちの相手にも容赦なく立ち向かうとは・・・」
「浅倉はそれだけではありません。実は彼も・・・"仮面ライダー"の力を持っています。」
「何?」
須藤のその言葉を聞いて私は眉を寄せる。
「彼はミラーモンスターでも大型の部類に入る。"ベノスネーカー"と契約を交わし、仮面ライダーの力を利用して人々を襲っているのです。」
「前に私に話していた仮面ライダーを悪用する人がいると言っていたがそれが浅倉だったのか」
「はい」
須藤は塚内に頷くと更に資料を読み上げる。
「現在、No.2ヒーロー"エンデヴァー"を中心に浅倉拿捕に力を入れているヒーローも居ますが未だ彼の行方は掴めていません。」
「エンデヴァーも動いているのか!?流石は犯罪処理1位なだけはある。」
エンデヴァーもまた浅倉に目を付けていると聞いて私は少し驚く。まあ彼なら動くと思ってはいたが・・・
「それと浅倉によって死亡した敵の遺体を検査したのですが爆発とベノスネーカーの毒で原型を殆ど保っておらず司法解剖も難しいでしょう。」
「分かった。そこまで聞けたならもういい。」
須藤から浅倉について聞かされた私は拳を更に強く握り締めた。
浅倉威・・・私も彼の行方を追った方が良さそうだ。
◇◇◇
USJから少し離れた空き地・・・秋山さんと手塚さんにここまで連れられた僕はこちらに振り向いた二人と向き合って話をする。
「緑谷、浅倉の事についてだ。」
「は、はい。」
「悪いが浅倉については追わない方がいい。」
「えっ!?どうしてですか!!」
浅倉を追うなと言った秋山さんに僕は驚きを隠せなかった。
「当たり前だ。奴はヒーロー相手でも返り討ちにするライダーだ。それは俺達も同じだ。だが奴を野放しには出来ない。」
「浅倉の事は俺と秋山で対処する。だからお前は決して奴と戦うな。」
「そんな!僕も戦います!」
「どうせお前の事だ。爆豪とやらの仇をとりたいだの思っている事だろう。奴はその感情で動ける程の相手じゃない。」
「俺からも忠告しておく。緑谷、浅倉とは絶対に戦うな。これはお前も巻き込まないと判断した上での選択だ。」
「・・・分かり・・・ました。」
念を押して忠告してくる二人に恐る恐る返事を返す。
「さ、話は終わりだ。帰れ。」
「はい、し、失礼します。」
あっさり解放された僕は頭を下げると二人に見送られながらその場を後にする。
束の間の平穏と影を潜む不穏・・・その二つが僕の中で混ざりあっているのだった。
◇◇◇
「ただいま・・・」
USJの件から少し経った後、僕はオールマイトや他教師引率の元で帰路につき、自宅へと戻る。
「出久〜!!」
「うわっ!!」
帰ってくるや否やお母さんが勢いよく駆け寄ってくるとおいおいと泣き出す。
「良かった無事で!本当に心配したんだよ!」
「な、泣かなくても大丈夫だよ。」
「でも勝己君は大怪我したんでしょ!?さっき爆豪さんの自宅にも行ってきたんだよ!」
「えっ?かっちゃんの家に?」
「そうよ!二人とも勝己君が大怪我したって聞いた途端、青くなって真っ先に病院へ行ったんだよ!お母さんもう心配だったのよ!!」
お母さんからそんな言葉を聞いて再び表情が曇る。
僕がもっと早く動けていたら・・・かっちゃんをもっと早く止められていたら・・・いや、あの時浅倉の先手を取れていたら・・・
かっちゃんは怪我する事は無かった・・・
"僕のせい"だ
"僕の責任"だ
僕が・・・全部、全部
"悪いんだ"
「い、出久?」
お母さんに声を掛けられ僕は我に返る。
「ううん、なんでも無い。それよりもう今日は休むよ。」
「ご、ご飯は?」
「ごめん、要らない。」
そう言いながら僕は自室のドアを開けると直ぐに閉めて薄暗い部屋の中でそのままベッドへ倒れ込んだ。
今は何も考えたくない。何もしたくない。何かを考えたら"自分のせい"と片付けてしまうから。
もう、今は何も・・・したく・・・ない。
薄れ行く意識の中、疲れがどっと襲いかかり僕はそのまま瞼を閉じて睡魔の世界へと追いやられるのだった。
◇◇◇
「う、うん?」
暫く時間が経ったのか目を開けると僕は辺り真っ黒な空間の中にいた。そこが夢の中であるとも知らずに
「こ、ここは何処?」
真っ黒な世界を見渡すもそこには建物は疎か人の気配も無さそうだった。
「あれ?」
暫くすると目の前に人影が現れ、見覚えのある人物が僕の前に立っていた。
「か、かっちゃん!!」
そこには右腕が無事に治ったかっちゃんが無言でこちらを睨みながらも黙って立っていた。
「かっちゃん!良かった!右腕治ったんだね!僕心配したんだよ!」
笑顔を浮かべながら元気よく彼へ歩み寄った・・・次の瞬間。
「ぐふっ!」
「えっ?」
突然かっちゃんは吐血し、その場に倒れて沈黙する。
「かっ・・・ちゃん?」
目の前に倒れたかっちゃんを見て、浮かべていた笑みが消え、手の震えが止まらなくなる。
「うわぁぁぁっ!!」
「は?」
それだけでは無かった。今度はナイトに変身していた秋山さんとライアに変身していた手塚さんが目の前で倒れて沈黙する。
「秋山さん?手塚さん?・・・ッ!?」
更に彼らだけでなく麗日さんや飯田君。他のクラスメイトやヒーロー・・・オールマイトでさえも誰かにやられたかのように倒れて動かなくなる。
「み、皆・・・なんで?」
訳が分からなくなり呆然としていると倒れた皆の中で一人立っている人影が赤い目を光らせてこちらを見つめる。
「・・・誰?」
目を細めながら人影を見た途端、僕は目を見開いて顔を青が青くなった。
言葉が出てこなかった・・・そこに立っていたのは龍騎に似たシルエットをした漆黒の仮面ライダー・・・"黒い龍騎"の姿があった。
「君が・・・写し身のボク?」
「誰だ・・・お前。」
「ボク?ボクはボクだよ。君自身さ。」
黒い龍騎はねっとりとした口調ながらも僕と全く同じ声で言葉を放ち、ゆっくりとゆっくりとこちらまで歩み寄ってくる。
「アハハハハハハハハ!実に滑稽だよねぇ。君の仲間、みーんなボクに倒されちゃった。気にしないでね?気にすること無いんだよ?だってこれぜーんぶ君の意思でやったんだからさぁ?」
「・・・何を言ってるんだ?」
「あれ?分からないの?」
黒い龍騎はそう言うと変身を解除し、僕と瓜二つ・・・いや、厳密に言えば鏡に映った自分の姿をしながらニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「な、なんで・・・僕と同じ姿を?」
「言わなかった?ボクは君自身だってさ?」
そう言ったもう一人の僕はずんずんと目の前に近付いてくる。
「先に言っておくよ・・・君はいずれ、さっきの姿になって仲間や敵問わず皆を倒してしまう。その前に・・・ボクが写し身となる。そう、君は・・・」
「な、なんだよ?や、やめろ!来るな!来るな!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
そして・・・もう一人のボクが目と鼻の先へやってくるとそのまま僕は彼へ吸い込まれるかのように吸収される寸前で悲鳴を上げた瞬間、辺りに鏡の割れる音が児玉するのだった。
かっちゃんの右腕が治らない・・・という話は原作でもありましたね。それに対して手塚が曇った表情を浮かべたのは龍騎原作を観ている人なら分かると思います。彼の親友もそんな感じでしたからね。
緑谷の心の闇、それが具現化する日が来るの・・・かも?
ねっとり口調な緑谷をもっと見たいかもしれませんがもうしばらくお待ちください。
龍騎アカデミア再編版を製作検討中!
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いる。再編して欲しい。
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いらない。このまま続き描いて。