緑谷出久の龍騎アカデミア   作:ジャック・オー・ワンタン

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続きになります!

今回は二度目の対浅倉戦の回と同時にあのライダーの正体を緑谷が知る回でもあります。

まあ、あの人しかいませんよね。


第26話:刑事とライダーと

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

まだ外が真っ暗な時間帯・・・夢から覚めた僕は慌てて飛び起き、ベッドの上で息を切らした。

 

な、何だったんだ?今の夢は・・・あまりにも怖すぎた。

 

全身にびっしょりと汗をかき、身体を震わせながらふと、目の前にある鏡が目に映った。

 

「うわっ!」

 

慌てて両腕を構えるも鏡像の僕も同じ仕草を執り、紛うことなき鏡の中の自分のままだった。

 

「夢・・・だもんね。ま、まさかね。そんな訳・・・無いよね。」

 

震えながらも自分にそう言い聞かせ、落ち着いてくると自然と空腹に見舞われる。

 

「そういえば帰ってきてから何も食べすに寝ちゃったな。服装も制服のままだし汗もかいたから着替えるか。お母さんも寝てるだろうし物音はあまり立てない方がいいかな。」

 

薄暗い自室を見渡しながらそう呟くとベッドから身体を起こして部屋を出る。

 

USJ事件があってから雄英高校は全学科と学年に対して臨時休校を通達した為か今日は学校が休みだ。相澤先生もかっちゃんもいつ復帰するか分からない。

 

かっちゃん・・・いや、今考えるのはよそう。そのせいであんな夢を見たんだし。

 

物音を立てないよう浴室へやってきた僕は制服を脱いでシャワーを浴びると私服に着替えて薄暗いキッチンへとやって来る。

 

テーブルにはお母さんが作っててくれたのかラップがかかったカツ丼が置いてあり、傍には『お腹空いたらこれ温めて食べてね』と書かれた置き手紙があった。

 

「お母さん・・・ありがとう。」

 

届かぬ感謝の言葉を呟きながらラッピングされたカツ丼を電子レンジで暖めて開封し、薄暗い部屋の中でカツ丼を頬張る。

 

少し味は落ちているもののいつも食べているカツ丼の味が口の中に広がると僕は自然と涙が止まらなくなっていた。

 

そして何故かこのカツ丼が今までで一番美味しく感じた。

 

「ご馳走様」

 

気がつけば丼の中は空っぽになり、見事に完食した僕は手を合わせて呟く。

 

お腹も落ち着き、ふとポケットに入れていた龍騎のカードデッキを取り出すとそれをじっと見つめながら微笑む。

 

ドラグレッダー・・・大丈夫だよね。僕には君がいるから強くなれた。だからこれからも君の力を借りながらもっと強くなりたい。

 

「グオオオオ!」

「ん?」

 

すると鏡の中でドラグレッダーが顔を出しながら雄叫びを上げる。まるで「当たり前だ。俺はお前に付いていく」と言っているかの様に。

 

「ありがとう・・・ドラグレッダー。」

 

微笑みを浮かべながら静かに礼の言葉を漏らした時だった。

 

キィィィィン……キィィィィン……キィィィィン……

 

「ッ!?」

 

突然、ミラーモンスターの出現を知らせる金切り音が耳に届き、僕は辺りを見渡す。

 

「・・・行かなきゃ!」

 

考えるよりも身体が動いた僕は咄嗟に龍騎のカードデッキを片手に自宅を飛び出して外に出る。

 

「何処だ?」

 

木霊する金切り音を頼りに周辺を散策すると近くの公園に人影があるのを確認すると彼はこちらに振り返りその姿を露わにした。

 

「ッ!?浅倉!?」

 

そこには不敵な笑みを浮かべながら佇む蛇柄ジャケットの男・・・浅倉の姿があった。

 

◇◇◇

 

「誰かと思えば・・・お前は・・・あの施設にいたガキか。」

「浅倉!こんな所で何をしているんだ!」

「何だって良いだろうがよ?それよりお前、俺と遊んでくれよォ?お前なんだろ?この世界の仮面ライダー龍騎は?」

「ッ!?」

 

満足気な笑みを浮かべる浅倉に鳥肌が立つ。

 

まさか・・・僕が龍騎だってことを浅倉は!?

 

「3人がかりでもいい。仲間を呼ぶなら好きにしろ。兎に角俺は戦いたくてウズウズしてイライラしてんだよォ。」

「お前は・・・戦う為だけにライダーの力を?」

「それ以外に何があるんだよ?」

「お前のせいでかっちゃんは!」

「・・・誰の事を言っているんだ?」

「ッ!?お前!」

 

かっちゃんにした事を覚えていない素振りに僕の何かが吹っ切れる。

 

コイツは・・・生かしちゃおけない!!咄嗟に龍騎のデッキを翳そうと左腕を上げるも瞬時にあの時の言葉が出て手が止まる。

 

「浅倉とは戦うな」

 

秋山さんと手塚さんの忠告が頭をよぎるも今はやむ無しと判断し、デッキを翳して変身ポーズを執った。

 

「変身!」

 

龍騎に変身した僕は覚悟を決め、拳を構える。

 

「話しが早くて助かるぜェ?・・・変身ッ!」

 

浅倉はそう呟くと変身ポーズを執り、王蛇へ変身する。

 

「あぁ〜フッ」

 

そして首を捻りながら軽く腕を上げた王蛇と相対した僕はドラグセイバーを手にすると彼もまたベノサーベルを手にして戦闘態勢に入った。

 

「やああああっ!!」

 

戦いの火蓋を切り、ドラグセイバーを振り上げたながら駆け出すとそのまま王蛇と鍔迫り合いになり人気のない公園にてライダーバトルを始める。

 

「はあっ!てやっ!うおおおっ!」

 

全力を尽くし、ドラグセイバーと身に付けた格闘術で王蛇とほぼ互角の戦いを繰り広げていく。

 

浅倉を倒さないと!かっちゃんの右腕を殺したコイツを倒さないと!

 

僕がアイツを・・・"倒すんだ"!!

 

「うおおおおおっ!」

「ハハハハハッ!楽しいなァ!ライダーとの戦いは!」

「黙れッ!」

 

大声で怒鳴りながら怒り任せの一撃を王蛇へお見舞いする。

 

「うおっ!」

 

命中したその一撃は王蛇を仰け反らせると彼は地面に転がって倒れる。

 

「ハハッ!」

 

しかし直ぐに起き上がった王蛇はベノバイザーを取り出して次のカードを取り出そうとする。

 

「来るのか!?」

 

次の攻撃が来る!そう覚悟し、身構えた・・・次の瞬間。

 

「はあっ!」

「うわっ!」

 

突然何者かが王蛇に襲いかかり、彼は再び地面へと伏せられる。

 

「誰?」

 

そこには黒いコートを羽織った刑事の男が携帯しているピストルを構えたまま立っていた。

 

「やっと見つけましたよ。浅倉威。」

「誰かと思えば・・・いつぞやの刑事か。名前はそうだ・・・須藤だったか?」

 

王蛇はそう呟くと現れた刑事の男・・・須藤に顔を向けながら立ち上がる。

 

刑事・・・と言うことはこの人は警察の人!?

 

「あ、あの!お巡りさん!その人は・・・」

「分かっています。仮面ライダーなのでしょう?貴方もそう。ええ、そうですよね。」

「・・・え?」

 

須藤の言葉に僕は困惑する。

 

なんだこの人・・・明らかに様子がおかしい。

 

「私はライダーの力を使って平和の象徴でさえも凌駕した存在になるのですよ。」

「どういう・・・ことですか?」

「こういうことです。」

 

須藤はそう言うと見覚えのあるデッキを翳して腰にベルトを装着する。

 

「ッ!?・・・そのデッキは!!」

 

目を疑った。彼の手にしていたデッキは以前僕が戦ったの黄色い蟹のライダーのものだった。

 

この人が・・・あの蟹のライダー!?警察が・・・僕を!?

 

「変身!」

 

須藤は困惑する僕を他所に変身ポーズを執ると例の蟹のライダー・・・シザースへと姿を変えた。

 

「ここでお二人を倒すことが出来れば私は平和の象徴を凌駕する存在へ大きく歩き出せる!だから死んでもらいますよ。」

「なんで・・・なんで警察の貴方がそんな事をするんですか?」

「警察?そんなのはただの飾りに過ぎないんですよ。」

「・・・は?」

 

その言葉に僕は再び何かが吹っ切れそうになる。須藤の言葉は明らかにヒーローと連携して市民を守る警察が言っていいものでは無かった。

 

「オールマイトや上官の人にライダーの情報を提供しつつ私はこうして邪魔者の排除もしているのです。それこそ敵やヒーロー、自分の配下である警察さえもモンスターの餌にする程ね。」

 

シザースがそう言うと彼の傍らに蟹のモンスター・・・ボルキャンサーが現れ、大きなハサミを上げながら静かに唸った。

 

「信じられない・・・ライダーは人を守る為に使うはずだ!」

「いつからライダーは人を守る為にあると思ったのですか?」

「は?」

「貴方なまだ知らないんですねぇ〜癖になるんですよぉ〜ライダーの力を極めて頂点に立ちたくなるこの高揚感が!!」

「ハッ、下らん。」

 

シザースの言葉に王蛇は両手を上げながら呆れた様子を見せる。

 

「言ったはずだ。刑事は要らないってな!」

「でしたらあの時のリベンジをさせて頂きましょうか?」

「・・・面白い。あのガキと戦っていたがまずはお前からだァ・・・」

『ストライクベント』

 

シザースは自身のカードで蟹の手を模した手甲"シザースピンチ"を構えると直ぐ様王蛇と鍔迫り合いになり、二人の戦闘が展開される。

 

「はっ!」

「はあっ!」

 

武器と武器がぶつかり合う鈍い音が辺りに響き渡り、両者共々譲らない互角の戦いを繰り広げた。

 

「ハハハハハッ!おらっ!」

『ガードベント』

「ふん!」

 

王蛇が隙をみてサーベルを振り上げた瞬間、シザースは自身のガードベントである"シェルディフェンス"でそれを受け止めると逆に王蛇を押し返してシザースピンチで返り討ちにした。

 

「ぐおっ!」

 

まともに攻撃を受けた王蛇は転がりながら地面に倒れるも直ぐに起き上がって乾いた笑いを零す。

 

「ハハハハハッ!やるじゃねぇか!刑事も伊達じゃねぇな!」

「存じませんか?私は昔、貴方を逮捕した身ですよ?」

「ハッ、あの時は油断しただけだ。次はないぞ!」

 

王蛇はそう言うと素早くバイザーを取り出してカードを一枚装填する。

 

『ファイナルベント』

「むっ!?」

「今度こそ消えて貰うぜェ?刑事さんよォ・・・」

 

王蛇のファイナルベント"べノクラッシュ"が発動すると彼は現れたベノスネーカーに合わせて宙返りし、毒を纏った連続蹴りを放つ。

 

『ファイナルベント』

「はっ!」

 

しかし、シザースもまたファイナルベントを発動すると彼の契約モンスター・・・ボルキャンサーが現れてまるでバレーのトスの様な動きでシザースを飛ばすと彼もまた宙返りしながら王蛇の放ったファイナルベントを相殺してしまった。

 

「うおおおっ!」

「ぐほっ・・・うはっ!」

 

大きな爆発が一瞬起こり、その衝撃で両者吹き飛ばされると互いに地面に転がりながら倒れて変身が解除されてしまう。

 

「はぁ・・・はぁ、今回は・・・ここまでですか。」

「チッ、まだ戦いたかったが・・・まあいい。」

 

二人は直ぐに起き上がり、僕の方へ顔を向けると宣戦布告するかのように捨て台詞を吐いた。

 

「今回、貴方の相手は出来ませんでしたが次は仕留めますよ。」

「・・・命拾いしたなァ〜小僧。次も遊んでくれよォ?」

 

脚を引きずりながら別方向へ去っていく二人の背中を見て、僕もまた変身を解除すると握り締めた拳が震えている事に気付く。

 

怒りと恐怖・・・どちらもあった。

 

「浅倉と須藤・・・浅倉はまだしも警察の人間までライダーの力を悪用しているなんて・・・僕は・・・僕はどうしたら・・・」

 

明るくなっていく公園・・・僕は俯いたまま次に迫り来るであろう戦いに対して不安を持ち始めるのだった。




ここでシザースの正体が蟹刑事こと須藤であることを知った緑谷。にしてもシザースしぶといなって思った人もいると思いますがまだここで須藤は脱落はさせません。

そろそろ北岡先生がゾルダであることも彼にも知って貰わないといけませんね……

そして、新しく第25話から応募できるアンケートを実施しています。右腕が再起不能の危機にある爆豪・・・彼の結末を皆さんで決めることが出来ます。どんな結末になるかは貴方次第!是非、ご応募下さい。


更にもう一つお知らせです。

今年の本作の投稿ですが一度、ここで終了とさせていただきます。

自身の私生活のことや他作品の執筆、そしてここからの展開が描けていないこともあり、『緑谷出久の龍騎アカデミア』はここらで仕事納めとなります。

次回の投稿は1/22朝8時からの再投稿を予定しております。

かなり長い期間の休載となりますがそれまでに今後の展開と上記のアンケート結果の展開を描く為、シナリオを練って投稿致します。

それまでしばしお待ちいただければと思います。

それでは早いですが。よいお年を

龍騎アカデミア再編版を製作検討中!

  • いる。再編して欲しい。
  • いらない。このまま続き描いて。
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