緑谷出久の龍騎アカデミア   作:ジャック・オー・ワンタン

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続きです。

今週は555版と同時の投稿となります。


第4話:初めてのライダーバトル

あれから数日経ち、僕は自分の身体を鍛える為に自宅近くの海兵公園で独学ながらトレーニングを始める事にした。

 

個性があるからヒーローになれる訳じゃない……秋山さんの言った言葉通り、僕は自分の力だけで雄英を目指す事にした。ただ、無個性の生身の人間の力ではやはり限界がある。

 

そこで力を補う為に使うのが……龍騎の力だ。

 

無論、仮面ライダーの力だけに頼るのは怠慢だ。だから少なくとも……自分の身体だけは鍛えておこう!

 

「118……119……120……ぐっ、はぁ……はぁ」

 

ゴミだらけな海岸の脇で腕立てをした僕は限界を迎えてその場にうつ伏せになるもびっしょりとかいた汗を拭いながら体制を変えて今度は腹筋をしようと身体を起こす。

 

「何をしている?」

 

突然、声を掛けられた僕は慌ててそちらへ顔を向ける。

 

「秋山さん!?」

 

現れたのは先日出会ったナイトの男……秋山さんだった。

 

「なんだ?今ので終わりか?ほら、続けろよ?」

「えっ?」

 

ニヤリと笑みを浮かべてくる秋山さんに渋々腕立てを続けようとした時だった。

 

「うぐっ!?」

「どうした?ほら?やらないのか?」

 

突然、秋山さんが背中に座ってくると勝ち誇った笑みを浮かべてくる。

 

この人……悪魔だ

 

「うっ……201……」

「1回目だろ?ほら、あと200だ。やれるだろ?」

「うへぇ……」

 

変な声が出ながらもずっしりと重みが伝わってくる秋山さんを背中に載せながら腕立て伏せを再開する。

 

「199……200……うはぁ……もう無理!」

「ふっ」

 

満足気な笑みを浮かべて秋山さんが立ち上がると同時に僕はその場に再びうつ伏せで倒れる。

 

ううっ……腕がもげるかと思った。

 

「大したもんだ。流石はヒーロー志望だな。」

「ど、どうも……」

 

皮肉に近い言葉を掛けてくる秋山さんにかすれた声で返答する。

 

「次は腹筋だろ?ほらやれよ」

「やりませんよ!ちょっと休ませて下さい!」

 

またニヤリと笑みを浮かべながらベンチに座る秋山さんを見て僕はその場にあぐらをかいて座る。

 

「にしても……ここの海岸は景色がいいな。……ゴミは多いが。」

「そう……ですよね。」

 

僕と秋山さんは青い海が一望できる海岸を見る。

 

「そういえば秋山さんは何処から来たんですか?」

「……遠い所だ。」

「遠い所?」

「話せば長くなる。色々あってここへ来た。」

「そうなんですね……」

 

時折、秋山さんに目を向けながらも海岸を見つめて心を癒される。

 

「そうだ、この間お前に龍騎のカードデッキを渡したな?」

「はい、でもどうして僕に渡してくれたんですか?」

「……似ているんだ。」

「似ている?」

「昔、龍騎として戦っていた奴にお前は凄く似ている。強いて似ていない所を上げると"馬鹿"じゃない所だな。」

「そ、そうなんですね」

 

昔の龍騎だった人に似ていると言われて僕は苦笑する。

 

その人、"馬鹿"呼ばわりされていたのか……。

 

「緑谷」

「はい」

 

すると秋山は僕の名前を呼ぶとポケットから自身のカードデッキを取り出すと満足気な笑みを浮かべてこう言ってきた。

 

「少し付き合え!ついでにライダーとしての特訓を俺が付けてやる。」

「ッ!?」

 

笑みを浮かべながらも目の色が変わった秋山さんに目を見開く。

 

「分かりました……お願いします!」

「そう来なくてはな。」

 

立ち上がった僕はポケットにあった龍騎のカードデッキを取り出し、秋山さんと共に近くの公衆トイレの水道までやってくるとそこにある鏡の前で立ち止まる。

 

そして……互いに鏡の前にカードデッキを翳すと僕らの腰にベルトが具現化して装着されると変身ポーズをとって力強く声を挙げた。

 

「「変身!!」」

 

ほぼ同時にバックルへカードデッキを装填した僕と秋山さんは龍騎、ナイトへ変身すると顔を見合わせて海岸の方まで歩き出すとそこで相対する。

 

「まさか……初めてライダーとの戦いを楽しめる事になろうとはな。この期待、簡単に裏切るなよ?緑谷」

「が、頑張ります!」

 

やや満足そうな声でそう言ったナイトはバックルからカード1枚引くと腰にあるダークバイザーにカードを装填すると僕もまたカードを1枚引いてドラグバイザーに装填する。

 

『『ソードベント』』

 

互いに召喚した武器を手にすると僕はドラグセイバー、ナイトはウイングランサーを構える。

 

「はぁぁぁぁっ!」

「ふん!」

 

そして、地面を勢い良く駆け出し、砂埃を上げると僕は剣を振るいながらナイトと鍔迫り合いになる。

 

「いい立ち回りだ。だが、まだ未熟だなっ!」

「うわっ!」

 

しかし、ナイトに突き飛ばされて僕は反動で地面に倒れてしまう。

 

凄い力だ……秋山さん自体強いのかは分からないけどライダーとしての経験なのだろうか?明らかに力の差を感じた。

 

それでも……!!

 

「やってみせるんだ!」

「だったら死ぬ気で来い!俺を楽しませてみせろ!」

「はい!」

 

諦めずにドラグセイバーを片手に不慣れな剣技でナイトに立ち向かうも彼の巧みな槍術で攻撃を全て受け流されてしまう。

 

「その程度か?ライダーというのは一芸じゃ務まらないぞ!」

 

ナイトなそう言うと片手で僕の振り落とした剣を槍で受け止めながらカードを1枚引いてダークバイザーに装填する。

 

『トリックベント』

 

するとナイトは3人に分身して僕を弾き飛ばすとそれぞれダークランサーやダークバイザーを手にして立ちはだかる。

 

「うわっ!?なんだあれ……」

「さっきも言っただろう?ライダーというのは一芸じゃ務まらないと!」

 

武器を構えた3人のナイトは容赦なく僕に突撃してくると次々と剣や槍の連続攻撃を繰り出してくる。

 

「だあっ!うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

全ての攻撃が直撃した僕はまたまた飛ばされて地面に倒れてしまう。……つ、

強い。これが……秋山さんの実力なのか?

 

「そこまでだ」

 

するとナイトは僕の首元にウイングランサーを突き付けると勝利を宣言して変身を解除する。

 

僕もまた苦しい表情を浮かべながら変身を解除すると自力で立ち上がって秋山さんに頭を下げた。

 

「ありがとうございました!秋山さん!」

「まぁ……少しはやるみたいだな。だが、本当のライダーバトルだったならお前は死んでいる。」

「えっ?」

 

急に物騒な事を言い出す秋山さんに僕は頭を上げて驚く。

 

死んでいる?どういう事なんだ!?

 

「元々、仮面ライダーの力は自分達の望みのためにライダー同士で殺し合うものだった。その戦いに正義は無い。"戦わなければ生き残れない"。だが今は違う。ライダーバトルから解放されたライダー達の力は自分達の道を切り開く為に存在する。……これが城戸の求めていたライダー本来の姿でもあるんだ。」

「自分達の道を切り開く為に存在する……」

「だが、奴はライダーの力を使わずとも自分の道を切り開くのが人間だと思っている。だから緑谷、これだけは言わせてもらう。」

 

秋山さんはこちらに身体を向けると真剣な表情で更に続ける。

 

「絶対にライダーの力に溺れるな。だがライダーの力を使うなとは言わない。それはヒーローを目指すお前の助けになる。だから使い方を間違えるな。それが嘗て、"死"さえも経験した俺から言える事だ。」

「はい、分かりました!……って!?」

 

さらっと首を縦に振ったが秋山さんの言葉を聞いて目を見開く。

 

「死を経験した!?秋山さんそれって……」

 

僕が慌ててその事を尋ねようとした時だった。

 

キィィィン……キィィィン……キィィィン……

 

「「ッ!?」」

 

突然、辺りに金切り音が響き渡り僕と秋山さんは辺りを見渡す。

 

「秋山さん!」

「あぁ、行くぞ!」

「はい!」

 

顔を見合わせて頷いた僕らはその音を頼りに「奴ら」の現れる場所へ向かうべく駆け出すのだった。

 

◇◇◇

 

人の行き来が少し多い住宅街……土曜日の日が傾き始めた此処には今日も平和に子供連れや部活で帰宅を始める学生達が自宅へ帰らんと帰路を進んでいた。

 

そんな中、落ちていた空き缶を広いながら歩くベージュ髪の少年がややイラつきながら路地を歩いていた。

 

「チッ、無個性のクセして何が雄英を目指すだ!クソが!!」

 

乱暴な物言いでブツブツ何かを言いながらも少年は律儀に拾った空き缶を自販機の横にあるゴミ箱へと入れる。

 

彼の名は爆豪勝己……爆破の個性を持つ少年で彼もまたヒーローを目指している学生の1人であった。

 

「今度学校に来たらボッコボコにしてやるよ!あんなモブ共がいる学校で雄英に行くのは俺だけだ!」

 

爆豪はヒーローを目指す者らしからぬ不敵な笑みを浮かべながら自らの野心を呟いて歩き出す。

 

そんな時だった……

 

キィィィン……キィィィン……キィィィン

 

「あ?」

 

金切り音の様なものが聞こえ始めた事に気付いた爆豪はキョトンとした表情を浮かべると辺りを見渡す。

 

「なんだ今の?チッ、紛らわしい」

 

偶然聞こえた金切り音にもイラつきを見せながらも構わず歩き続ける。

 

しかし、その音は偶然ではなく明らかに彼の耳に聞こえているものだった。

 

キィィィン……キィィィン……キィィィン

 

「あぁん!!さっきから何なんだよ!うるせーぞゴラァ!」

 

遂に癇癪を起こした爆豪は金切り音に対して怒鳴り声を上げ始めた。

 

「な、なんだアイツ……急に叫んで。」

「ヤダ、怖い……ねぇ、行こう。」

「うん」

 

彼の怒鳴り声に気付いた人達は顔を顰め、怖がりながら次々とその場を去っていく。気が付くと空が赤く染まり始めた路地には爆豪ただ1人しか存在していなかった。

 

「おい!さっきからうるせぇぞ!文句あんなら出て来いや!ザコが!!」

 

そんな周囲の事を気にすること無く、爆豪は再び金切り音に向かって声を荒げた時だった。

 

彼の背後にある今は営業していないコンビニの窓から蜘蛛の脚のようなものが現れる。

 

「あ?」

 

背後にいる気配を感じ取った爆豪が後ろを振り向いた……

 

次の瞬間

 

窓から出てきた脚の主は更に白い糸を吐き出すと爆豪の首元目掛けてそれを放つ。

 

「ぐあっ!?なんだコイツ!?やんのか!オラァ!!」

 

しかし、彼はヒーローの登竜門である雄英高校を目指す中学生。普通の人ならその糸に絡まれると無抵抗に窓の中へ引きずられてしまうのだが彼は違った。

 

「死ねぇええええっ!!」

 

物騒な言葉をまたも吐き出した爆豪は容赦なく窓を個性である爆破で破壊する。

 

ドーンという爆発音に加えて僅かな黒煙が上がると彼を捕らえようとしていた蜘蛛の糸は切れて力を失っていた。

 

「へっ、ざまあみろ!」

 

不敵な笑みを浮かべ、満足した爆豪は先程の者を倒したと確信し、立ち去ろうとした。

 

……しかし

 

「ッ!?」

 

彼が行く先へ振り向くとそこには先程の窓から出てきたであろう巨大な蜘蛛の怪人が大きな口を開いて立ち塞がっていたのだった。




学生時代……部活で筋トレしてて腕立て中に先輩が背中に乗ってきたって共感した人いると思います。あれ、作者の私もめちゃくちゃ嫌でした。

……と、そんなスパルタ筋トレの事は良いのですがデクくんに対して蓮はどんな悪ふざけするだろう?と考えた末、この描写となりました。借金なんて……する訳無いからね。

最後、かっちゃんが不穏でしたが果たして彼の運命はどうなるのか?

龍騎アカデミア再編版を製作検討中!

  • いる。再編して欲しい。
  • いらない。このまま続き描いて。
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