第50話:林間学校
体育祭が終わってからまもなくして僕達は職場体験学習が始まった。それぞれがプロヒーローの場へ直接赴く中、個性を持たず、ライダーの力だけを手にしている僕はただ1人、秋山さんと手塚さんの元で職場体験学習を行った。
そんな職場体験学習も終わり、暫く経った頃。
「えー、明後日から予定していた林間学校を行う。」
「「がっぽぉぉい!!(学校っぽいの来た!の略)」」
相澤先生から林間学校が行われることを聞き、皆ははしゃぎ始める。
「静粛に願います。」
「「す、すみません!(香川先生居たのかよ。)」」
いつの間にか姿を現していた香川先生を見た途端、その騒ぎはすぐに治まって全員席につく。隣に立っていた相澤先生は(コイツ・・・便利!)と言わんばかりの表情を香川先生に向けていた。
「雄英高校の林間学校も他の学校と同じ林間学校ですが客先の迷惑にならないよう雄英高校の生徒らしい振る舞いをして下さい。仮にも貴方々はヒーローの卵達です。軽率な真似はくれぐれもなさらないように。」
香川先生はそう言うと上鳴、峰田、かっちゃんをチラッと見る。あぁ、目を付けられているんだな。この3人。
「お邪魔しました。相澤先生。」
「えぇ、助かりました。」
教室を出る香川先生に一礼した相澤先生は改めて僕らに日程調整を行った。
「これから行動するチーム分けを行う。あと今回は大事をとって香川先生に加えて今回参加できないオールマイトの代わりに彼の推薦で秋山さんと手塚さんも同行する。」
「ええっ!?手塚海之も来るの!?ウソ!」
「芦戸。"さん"を付けろ。」
興奮して思わず立ち上がった芦戸さんに相澤先生はため息をつく。
「飯田。後は任せた。」
「はい!ということで皆!これからチーム分けを行う!諸君らには公平な・・・」
飯田君の話を聞きながら僕は秋山さんのことを思い出す。体育祭が終わった後、2人は怪我をしていた。理由を答えてはくれなかったけどあれは間違いなくライダーと戦っていたと思う。
僕がガチバトルをしていた時、2人は誰と戦っていたんだ?浅倉?だとしたら体育祭が中止になっている筈だ。アイツは多くのヒーローを殺してきた。それこそ飯田君のお兄さんも。
北岡さんは先ず有り得ないしじゃあ東條?それとも芝浦?それかアイツらと一緒いたインペラーとベルデか?
「緑谷君聞いているか!」
「えっ!?あ!ごめん!何?」
飯田君に大声で呼ばれて我に返る。いけない!チーム分けの途中だった。
「緑谷は俺と飯田、障子、麗日と一緒でいいよな?」
轟君が僕を見ながらそう言ってくる。
「う、うん。大丈夫だよ?」
「そ、そうか。」
僕の様子を見て少し戸惑いながらも轟君は笑みを浮かべる。
「緑谷。大丈夫か?」
「ご、ごめん。考え事してただけだから。」
心配してくる障子君にわたわたと手を振りながらそう答える。
・・・今は考えるのはよそう。
◇◇◇
夜、林間学校の準備をし終わっていつものように自室のベッドで眠った。
「ん、んん・・・はっ!?」
暫くしてから目を開けるといつの間にか真っ暗な空間に居ることに気付いた。何処だここ・・・いや、待て。この感覚、前にもあったぞ!
「ククククッ。アッハッハッハ!!」
「ッ!?」
目の前に聞こえてきた笑い声を聞いて身構えるとそこには僕と全く同じ容姿をした人物・・・リュウガが立っていた。
「お前は!」
「そう身構えるなよ。悲しくなるなぁ〜ボクはキミ自身なのにさ。」
ねっとりとした口調でそう言ったリュウガは不敵な笑みを浮かべたまま続けた。
「そうそうキミに朗報なんだけど聞きたい?」
「な、なんだよ。」
「ボクは写し身のキミから離れ、この世界に顕現する!そしたら何が起こると思う?」
リュウガの言葉に冷や汗を流すと衝撃的な事を口にする。
「ボクはミラーワールドとこの世界を統べる王になる。その為にボクはミラーワールドのモンスターを解放する!」
「なんだって!?」
「おっと、今はライダーになっても意味がないよ。だって・・・」
カードデッキを出そうとした僕を制止したリュウガは笑みを浮かべながら僕の手を指差した。
「ご覧よ。キミのカードデッキ。」
「はあ?」
恐る恐る手にしたカードデッキを目にするとそこにあったのはリュウガの黒いカードデッキだった。
「ッ!?はぁ、はぁ、はぁ・・・」
夢はそこで終わり、慌てて起き上がると傍に置いてあったカードデッキを見る。良かった。龍騎のデッキのままだ。
「仮面ライダーリュウガ・・・一体、何者なんだ?何が目的なんだ?」
二度目の邂逅となった黒い龍騎こと仮面ライダーリュウガ。何故、彼が自分と同じ姿をしているのかを思わず考えてしまうのだった。
◇◇◇
林間学校当日。僕らA組はバスに乗って宿泊施設を目指していた。バスの車内ではA組の他に相澤先生、香川先生、秋山さん、手塚さんの姿もあり、この時間だけは香川先生も目を瞑って楽しく過ごす時間になった。
「手塚さーん!占いしてよ!私に!」
「懲りないな。」
手塚さんの隣に座ってそう言った芦戸さんを横目に耳郎さんの呟きが聞こえる。
「ケロ、にしても緑谷ちゃんがあの「何でも当たる占い師」手塚海之さんと知り合いだったなんて知らなかったわ。」
「本当ですよね。何がキッカケで?」
「ええっ?それは・・・」
一方の僕は手塚さんとの関係を蛙吹さんと八百万さんに尋ねられ困惑する。未だ仮面ライダーの知名度は低く彼女達にも真実はまだ言えない。
「俺を通じて知り合いになった。」
そんな僕を見かねたのか秋山さんが2人に顔を向けて言った。
「秋山さんとですか?秋山さんと緑谷さんはそもそも・・・」
「家族ぐるみで付き合いがあった。俺はオールマイトとも知り合いだった。ヒーロー考案にも知り合いがいる。だから俺と手塚だけは一般人でも雄英高校敷地内の入域を許可されているんだ。」
「公安の方々ともお知り合いなんですか!?」
「ケロ、凄いわ。」
秋山さんの話を聞いて2人は驚きの表情を浮かべる。勿論、これは自分が仮面ライダーであることを知られない為の方便だろう。
「にしても体育祭凄かったよな。麗日も爆豪も緑谷と良く似たやつですげぇコスチュームに変身してたしあれなんなんだ?」
「えっとあれはラ・・・」
「麗日。そこまでにしろ。」
「あ、はい!すみません」
砂糖君に思わずライダーと言いそうになった麗日さんを秋山さんが止める。危ない!!麗日さんそんなに軽く話したらダメだよ!
キィィィン……キィィィン……キィィィン
「ッ!?」
するとミラーモンスター出現を知らせる金切り音が聞こえてくると僕と秋山さん、手塚さん、かっちゃん、麗日さん、そして香川先生が反応して辺りを見渡した。
モンスター!?何処からだ?
「緑谷ちゃん?」
「秋山さんもどうしたのですか?」
僕らに蛙水さんと八百万さんが首を傾げながら見つめた・・・次の瞬間。
「うわぁぁぁっ!?」
運転手の悲鳴と同時に車内が大きく揺れるとバスは路上に止まってしまう。
「な、何?バスが止まったの?」
「どうしたんですか?」
バスを停めた運転手に相澤先生が声を掛けると彼は震えた声で言った。
「ト、トラの化け物があのミラーから出てきてさっき横切ったんだ!」
遂に林間学校編・・・
次回、あの人が死ぬ?
新たに登場した仮面ライダーファタル。本作でも登場決定!変身者は誰がいい?
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もう1人の麗日お茶子
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トガヒミコ
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八百万百
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波動ねじれ