いつもなら4~5話くらいに分けてる文量。
数十日振りに帰ってきてハンターズギルドに顔を出したそいつを見てまず思った事は、一回り大きくなっているという事だった。
いや、体そのものが大きくなった訳ではない。ただ、狩人という職業すらも蔑ろにして山を登る事に邁進し続ける男としては不相応と言える程の存在感と言うべきか、最早古龍すら単独で狩ってしまうような歴戦の凄腕狩人と言ったような雰囲気を醸し出していた。
「久しぶり……だな?」
依頼板を眺めているそいつに話し掛けてみれば、きょとんとした顔をした。
「何だ、その俺かどうか分からないような顔は」
「いや、何か変わったなって」
「あー……」
思い当たる節があるのか、そいつは少し目を泳がせた。
近付いてみれば、その存在感がそいつ自身から醸し出されている訳ではない事に気付く。何か物凄い護石でも身に付けているような、同じ竜の装備一式を揃えてその竜そのものの力を少しばかりでも行使出来るようになっているような。
「今回の山はどうだったんだ?」
別に大した興味はないが、探りを入れる目的でも聞いてみる。
「初めての道連れが出来てね。まあ……鬱陶しいところもあったけれど、最終的には出来て良かったな」
「へぇ。そんな珍しい、命懸けな趣味に付き合う奴が居るんだな」
「まあ……俺自身も驚いたよ」
深く話すつもりはないようだった。別に聞こうとも思わないだろう? と言った様子で、けれど聞かれたくないような雰囲気も少しばかり混じっていた。
その、冷たい雰囲気。感情的にという以上にひんやりとした、温度的な感覚。
聞いてみた。
「その道連れとは、また登るのか?」
「多分、そうだな」
次に聞きたい事は、中々喉から先へと出てこなかった。
「じゃあ、俺は行くから」
「えっ、あっ、ああ」
質問攻めを躱すように、そいつはさっさと簡単な採集クエストに向かってしまった。
……結局、その問いは、そいつがまた登山に向かうまで聞ける事はなかった。
リハビリをするかのように採集クエストを暫くこなした後、護衛のクエストを暫く。それから狩猟のクエストを少しこなして。
奇妙なのはそいつが護衛のクエストを受けた時は、一度たりとも竜の気配すら感じられなかったという事だ。
また狩猟のクエストの時も、そもそも居たはずの対象のモンスターが逃げてしまって、何度も時間切れでリタイアしたとか。
次に帰って来たら、今度こそ聞こうと思う。
……その道連れとやらは、人間なのか?
*
*
*
*
全く、難儀な代物だった。
どうにもこの鱗はライダーの使うという絆石や、稀に竜人と古龍の間で起こるというような共鳴の現象に近い効果をもたらしているらしく、自室に置いていこうとしたりとすれば、まるで引っ張られるゴムのように存在感を俺の中に示してくる。
その存在感は竜のみならず同じ狩人にも分かるようで、更に言えば多少話しただけでも、俺が前回の登山で何があったのか大体察しをつけているような奴も居る始末。
クシャルダオラと登山をした、クシャルダオラに助けられた、クシャルダオラから鱗を貰った。そして、そのクシャルダオラと今も繋がっている。
そんな事を言おうものならどうなる事やら。古龍が人を育てたとか言う話は、少なからず各地に転がっているし、中にはティガレックスに育てられた人間も居たりするらしいけれど、まあ馬鹿正直に言ってしまえば、登山という趣味……最早ライフワークと言って差し支えないそれが粉々になる事も否定出来ない。
そしてついでに、夢の中では全く知らない、大空からの光景を見る事が時々起こるようになった。
それはきっとクシャルダオラが見ている光景だ。縄張りを持っていないらしいそいつは、色んなところを旅しているようで。そして一度だけ、見覚えのある光景……この近辺が映し出された事があった。
その時は嵐など何も起きていなかったし、そもそも目撃情報すら出てこなかったが、俺がどこに居るかも事細かに分かっているのだろうし、更に言えばそれは次の登山の催促のようにも思えて、正直なところ面倒な事になったなあという気持ちが出てくるのは仕方がない事だと思う。
更に更にもう一つ。鱗を落としたりするのは避けたいが、首飾りにするには大き過ぎる。加えていつまで経っても冷気を出すそれは直接肌につけておく訳にもいかないと、身に付けておくのにも難儀する代物で。
試行錯誤した結果、ウルクススの毛皮に包んだ上で胸当てのような形で身に付けておく事にした。
前回よりも更に防寒に重きを置いて登山道具を揃え直し、竜車を乗り継いでやって来たのは、以前キリン亜種に絡まれて登頂を断念した山の麓の街。
再び登ろうとは思っていなかったが、ずっと心残りになっていたし、別にあのキリン亜種は縄張り意識の強い排他的な個体ではないというのもあったし、そしてクシャルダオラの(ちょっと傍迷惑な)加護もある事だしで、再びの登山を試みるのも良いだろうというところで。
高さは酸素玉を必要としない程度だが、今日も山麓では雪が降っている。
とりわけ北方でもないのにここらは異常に気温が低く、真夏でもなければ雪が降る事も珍しくない。
そしてこの街はそれを逆に利用して、北方でしか育たないような珍しい植物などを育てている強かさもあった。また温泉が湧いている事もあって、極寒の地ながらも活気は十分にある。
「いらっしゃいませー……あら、お久しぶりです」
前も泊まった宿に入ると、女将がそう挨拶をして来た。
「あ、覚えているんですか」
「お客さんの顔は基本覚えていますよ。それに登山をしにそんな大荷物で来る珍しい方など、忘れる訳もありません」
「ああ、はぁ」
まあ、そうか。
「それで、今回も登山をしに?」
「そんなところです」
「……まあ、頑張ってくださいな」
多少呆れるような顔をしながらも、金を払うと部屋へと案内された。
竜や古龍と共生しているような場所には、偶に生贄を捧げるような風習を残しているところもあったりするが、少なくともこの街はそれには該当しない。
それにそもそも、普通の人間を年に一度とかに捧げたところで竜や古龍の腹も矜持も膨れないだろうし。
また健全に奉られており、時に密接な関係を築いている場所もあったりするが、それにもこの街が該当するかと言われると怪しい。
そういう街は、それを広く知られるに至って観光資源にしたりするようなものだ。テオ・テスカトルやナナ・テスカトリの木彫りを売り出したり、金銀火竜にちなんで縁結びの成就を願うような社を建てたり。
この町がキリン亜種という、古龍の中でも広域に影響を及ぼす存在に気付いているかと問われれば、きっとそうだろう。ただ、それ以上の関係性はないように思えた。
しかしながら、単純にキリン亜種の広域な特性を利用しているだけ。キリン亜種も手を出していないだけ。そんなドライな関係性だとも思い辛い。そうだとしたら、馬鹿な人間がキリン亜種に下手にちょっかいを掛け易い、末路として一国が一夜にして氷に閉ざされたという伝説の通りにこの町全体が氷に包まれてしまう危険性が高いからだ。
まあ……水面下で何かしらをやっているとしても、俺は前回下山して来た時に特に何も言われなかったし、今回再び登る事にも何も言われていなければ、それで十分だった。
*
面倒ながらも鱗が錆びないように丁寧に保護した上で傍に置きながら、温泉にゆったりと浸かる。それから夜飯を食い、早めにしっかりと寝る。
まだ日の出ない、早朝ですらない時間帯に目を覚まし、朝飯を食べて段々と夜が明けてくる時間に宿を出る。
女将はそんな早くに出る自分に対しても、いつも通りのように送り出す。
「それでは」
「また会える事を祈っています」
屈託のない言葉。一応武器も携えている俺に対して、特に何か加えて言う事もなく。
俺自身が何も感じ取れていないだけかもしれないが。
昨晩は夢を見なかった。クシャルダオラが今どこに居るのかは全く分からない。クシャルダオラ側からしても俺が今どこに居るのかをどの位察する事が出来るのかは知らないが、今回の登山にも興味があったのなら追ってくる事だろう。
別に今回はあんな厳しい登山をするつもりはないのだけれど。
町を外れて、川沿いに暫く歩く。保存食を作っているような小屋が竜避けの頑強な柵に囲まれて、幾つも立ち並んでいる。川は凍っておらずさらさらと水が流れ続けているが、もし全身が濡れてしまったならば、ここから町に戻る事すら出来ずに凍えて死ぬかもしれないと思わせてくる冷たさがあった。
程なくして脇道に逸れて山道へと足を踏み入れた。真夏でもない限り雪が降る極寒の土地と言えど、山の恵みがない訳でもなく、ある程度は山道が作られていた。
また、生活の為に切り倒された木々の痕跡。
前に登った高高度の霊峰のような、完全に生物の気配もなくなった純粋で無機的で、死ばかりを感じさせる山ではない。
空気がきちんとあるのだから当たり前の話ではあるが、極寒ながらも生命の気配に満ち溢れている山だった。
そして山道もなくなり、そこからは道なき道を歩いていく。
誰にも褒められない、自殺行為でしかない……訳でもなくなった登山が始まる。
とは言え。
一度登ったのだから、登るべきルートは多少なりとも覚えている。途中で登れそうにない急斜面や崖に当たって迂回した部分。竜の寝床が近いのか、木々までもがへし折られてかなり均されている道。地下水が近いところを通っているからか、それともジュラトドスやボルボロス、それかオロミドロでも居るのか、地盤が緩くなっている場所。鳥竜、それからアオアシラやトビカガチなどの大きくない竜の縄張りを示すような痕跡。
そういう場所を極力避けて登っていく。時にリュックを下ろして入念に周囲を確認して。休める時にきちんと休んで万全を維持して。
こういう見通しの悪い場所、特に寒冷地で厄介なのは、大型の竜ではない。ナルガクルガといえど、こんな鬱蒼とした木々が立ち並ぶ場所で完全に気配を消して立ち回る事は不可能だ。それが出来るのは、トビカガチのような木々を駆け回る竜や鳥竜と言ったより小さい種族。特にバギィなんてその厄介な最たる例に入る。狙われてしまえば、群れで睡眠性の体液を死角から掛けてこようとする。それで眠らされてしまえば、一人での旅路では死は免れないだろう。
また、トビカガチはこんな寒い場所に来ないだろうが、トビカガチの亜種は居る可能性がある。多様な毒を同時に味わわせてくるあの竜は、群れで動かない事は幸いだが、しかし対策アイテムが存在しないという事でバギィ以上に厄介だ。
バギィに対してはその睡眠性の体液を、モロに顔面にでも喰らわない限りは、眠るのを免れる方法は幾らでもある。元気ドリンコを飲んだり、最悪自分の体にナイフを突き立てたりしても良い。ただ、トビカガチ亜種の麻痺性の毒は、当たってしまえば何もさせてもらえず動けなくなるしかない。そしてそこから更に毒漬けにされてはい、おしまい。木々を飛び回って、尻尾から中々の速度で毒針を飛ばすというのも避け辛くて厄介だ。
性質的に基本温厚な方なので、そもそも積極的に襲いかかってくる事は稀ではあるが、万一襲いかかって来た場合は倒すか追い払うしかない。幸いにも木々を飛び回っている最中はちょっとした衝撃でも落ちたりするという明確な弱点があるので、閃光玉やまたはスリンガーを装備していればはじけグルミを当てたりして何度も落として、楽な獲物ではないと認識付けが出来たら諦めてくれる。
ただ、今回以後はそのどちらも警戒する必要すら無くなった訳であって。それは楽になったという気持ちもあるにはあれど、どちらかと言えばちょっと卑怯という気持ちの方が強かったりする。
まあ……それも慣れてしまえば手放せなくなってしまうのだろうけど。
そういう心の余裕もあって、今回の登山はとにかく順調だった。辺りを事細かに観察していれば、ここらに住んでいるモンスターの中には、やはりフロギィやバギィといった鳥竜が多いと言ったような知見も深く入ってくる。他にも、開けた場所ではウルクススが滑ったような跡や、古いものではあったが、ベリオロスのスパイクの痕跡も見つかる。
テトルーなどの痕跡は見つからなかった。閉ざされた場所ならばともかく、どこでも生きていける、寒さに強くもない種族が特別寒いこの山に敢えて根を下ろそうとは思わないだろうから妥当と言えば妥当か。
他に特徴的な事と言えば、蝕龍蟲がちらほらと見えた。大型の竜としてはジンオウガの亜種が居てもおかしくなさそうだった。
原種よりも性質的にも能力的にも苛烈なジンオウガ亜種には、この鱗の加護は通じるだろうか? ……流石に通じるだろう。原種より尖った生態をしていると言えど、ジンオウガはどちらかと言えば理知的な部類に入るモンスターであるから。
鱗の加護が通じないであろうモンスターは、そういうリスクなど完全に無視してくるような生態や思考回路から狂っているような種族、または個体。もしくは、古龍にすら牙を届かせられるような希少種や、二つ名やヌシと言う冠詞を貰う程に特異に成熟した個体。それと後は、古龍そのもの。
そのどれもが遭遇する事自体、ハンター稼業をしていても生涯に数える程度で、どれも例外と言って差し支えない、そもそも警戒する事自体しなくて良い……それが秘境を巡る自分に該当するかは、ちょっと微妙だと思い始めてもいるのだけれど。
*
段々と目先に見える光景が、高い背丈の鬱蒼とした木々ではなく、蔦や地に這って群生する草花へと変わっていく。
道なき道を歩むのだから、ここまで辿り着くのにも基本苦労するものだが、道筋さえ覚えてしまっていれば半日も掛からなかった。
それに従って寒さもより厳しくなってくるし、雪もさらさらと降り始めたが、それでも目に見える植物、草花の生命活動は活発なままだった。
改めて見れば、それは異常な光景だった。
この極寒がキリン亜種が作り出した、作為的な寒さだからだろうか? キリン亜種が広範囲に及ぼすそのエネルギーの影響を、この山の上の方では強く受けているのかもしれない。
研究者でもない自分の、見たままから感じたただの妄想ではあるけれど。少なくとも、他の誰も住めないような死の大地を作り出してしまう竜や古龍よりかは、この光景を見るだけでもよっぽど好意的に思えた。
そうして視界が段々と開ける前に早めに昼飯を含む長めのひと休憩をしようと、落ち着けそうな物陰を探す。
その時、風向きが変わった。
……血の臭い。新鮮な、そして濃厚な……とても量の多い、血の臭い。
体が、固まる。
「……」
油断、してしまっていたのだろうか? 多分……きっと、そうなのだろう。この胸にある鱗のせいで。
周りの雰囲気に気を配れば、体の表面をピリピリとしたような感覚が走り始めた。
狩人としての経験が、何かを訴えかけて来ている。
……例外と言って差し支えない存在。
脳裏に先程思考した言葉が舞い戻る。
キリン亜種じゃない。そもそもアレに会った時は、そんな感覚など目の前にしても覚えなかったのだ。クシャルダオラに会った時も同様で、だから今も生きている、だからまた登ろうとも思った。
「…………」
リュックを慎重に、音を立てないように下ろして木の陰に置いた。クシャルダオラの鱗は、今となっては加護ではなく、その例外を引き寄せる災厄となり得る。
その鱗の胸当ても外して、リュックとは別の場所、一本の木の枝に引っ掛けておいた。
そして、腰に差していた片手剣を一度手に取り、体をより大きく解しながらその血の臭いの正体を探りに向かった。
血の臭いが段々と濃くなっていくと同時に、クシャルダオラの鱗が置いていくなと訴えかけるように引力を伝えてくる。
「……無茶言うな」
気付いてみれば、今この近辺の空間は偶然モンスターが居ないだけの落ち着いている空間ではなく、何かしらの脅威が存在して必然的にモンスターが居ない空間となっていた。
ただ、それに気付けないのも当たり前と言えばそうだろう。クシャルダオラの鱗を携えている自分は、その脅威そのものに近い存在になっていたのだろうから。
溜息。
もし気付けていなかったらどうなっていたか? それはこれから分かる。
血の臭いは、岩がごろごろと転がっている場所から感じられてきた。爪による縄張りの明示。小動物の骨の残骸。そして、体液の射出を練習したような各種の痕跡。そして岩に叩きつけられて死んでいた数々のバギィ。
ドスバギィの縄張りだった。しかし、その縄張りに対する乱入者に警戒を告げるようなバギィも居なければ、そもそも生きているバギィが一匹たりとも見当たらない。
至る所で殺されているバギィ達。どれも、単純で圧倒的な暴力で殺されている。牙でもなく、爪でもなく、毒でもなく、各種の属性でもなく。
全身がこの場所はやばいと訴えかけている。産毛までもが逆立つ。
この惨状を作った存在が、脳裏に浮かんできた。こんな事をするのは、ある種族しか思い浮かばない。
そして、その決定的な痕跡を見つけてしまった。
上へと向かうように残っている足跡の中には、大型の竜と比べて小さく、また握り締めた拳のような手跡があった。
……ラージャン。
「……。…………」
馬鹿なのか? と最初に思った。ラージャンがキリンの角を食らって己のリミッターを外す、闘気化を出来るようにすると言うのは最近知られて来た事だった。
けれどそれは雷を操る原種の方のキリンであって、氷を操るキリン亜種ではない。そしてラージャンは氷属性、寒さを不得意とする。
ラージャンであろうとも、キリン亜種に挑むのは自殺行為だろう。
ただ……もし、万が一。興味か闘争本能かは知らないが、それを承知で挑もうとしているとするならば。勝算を感じているのならば、キリン亜種の角を食らったラージャンという、きっと今まで誰も見た事のない変貌を遂げたようなラージャンが顕現する可能性がある。
とまで考えて。しかし、問題はそこではない事を思い直す。問題なのは、どうやってラージャンをやり過ごすかだ。
一人で倒せる腕など持ち合わせていない。やって来ているかもしれないクシャルダオラを当てにするのは、流石に望みが薄い。キリン亜種を頼りにしようとも、ここから先の視界の開けた山を更に登らなければいけない。
だから、やり過ごすしかない。
バギィの死体の一つに手を触れた。まだ温かい。ラージャンの足跡は上へと向かっているが、クシャルダオラの鱗の存在を嗅ぎ取って戻って来ている可能性は高いだろう。
……気付かなかったら鉢合わせて多分死んでいたな、これは。
そう思いながら、隠れるべき場所を探す。少なくとも、このバギィの縄張りの中はダメだ。ラージャンが戻ってくる可能性が高い。そうして踵を返そうとした時、別の場所からがさりと音がしたのが聞こえた。
思わず振り向いて構えてみれば、そこから出たのはただのバギィだった。全身をがくがくと震わせて、黄金の暴風雨が為した事の恐怖をその身に刻み込まれている。
そして更に自分が来た方向から、草を掻き分けるような音が段々と近付いて来ているのが。
咄嗟にバギィの口を塞いで岩陰に隠れた。
バギィは暴れようとするが、片手剣を目先に当てて脅すように黙らせる。
「…………」
がさ、がさ……。
「ヴルル……」
野太い唸り声。
違和感の正体を探りに来たのは確かのようで。
ざく、ざく。じゃり、じゃり。……。
雪を踏み締め、辺りを丹念に確認している。臭いを嗅いでいるような雰囲気もある。
バギィの口から、ゆっくりと手を離した。暴れられる可能性を考慮するより、両手が塞がっている状態のままの方が危険に思えた。
バギィが、震えながらも立ち上がる。どうしたら良いのか何も分からないまま、最早縋るようにこちらを見てきていた。
そこから目を離さず、音にも気を配る。別にこのバギィを助けたいとか言う話じゃない。唐突にその睡眠性の体液を顔面にでも吐きかけられたら、それでお終いだからだ。
ラージャンは、丹念に生き残りが居ないかを探しているように右へ左へと動きながらも、少しずつこちらに近付いて来ている。
こちらと同じくらいに五感に神経を注いでいる。死角を縫ってここから抜け出す、と言ったような脱出は出来そうにない。
「…………」
腰に携えている閃光玉と、肥やし玉。
まあ、それでも。いきなりクシャルダオラと対峙した時のように、抵抗する事自体を諦める、というレベルではない、か。
無理にでも前を向き直す。
ざむ、ざむ……。
ラージャンの足音が、すぐ近くまで来ている。閃光玉を握り締めた。
岩に凭れ掛かる。ラージャンの静かな呼吸が聞こえて来ていた。……変な臭いがした。バギィが恐怖に耐えきれず、漏らしていた。
「……馬鹿」
思わず、声に出た。
じゃり。
ラージャンが岩の上から顔を覗かせてきたのに、閃光玉を叩きつけた。
「ガァッ!?」
ズンッ!
それでも、居る位置に向かって拳を叩きつけてきて、辛うじて避ける。
閃光玉の効く時間はほんの僅か。その間に少しでも距離を離す為には。
更にブンブンと腕を振り回すラージャンに肥やし玉を投げつける。
「ギィアア!??」
そしてもう一つ、腰を抜かして立つ事すら出来ずに這いずっているバギィの鼻に押し当てた。
「ギャッ!?」
バギィが跳び上がる。
「乗らせろ! 逃げるぞ!!」
バギィは一心不乱に駆け出した。
男を乗せてもバギィは中々の速度を出して駆ける。木々を避けながらも、ひたすらに真っ直ぐに。
その間もクシャルダオラの鱗と繋がっている感覚が、段々と悲鳴を上げるかのように強くなっていく。
そしてとうとう、ブチィと勢い良く千切れた感覚がした。
本当に音が鳴ったようだった。大切なものを支えていた、伸び切ったゴムが引き千切れたような、とても不快な感覚。
……こりゃ、来るな。
それはそう確信する程の。
そしてその直後、バギィが転んで男も転げ落ちる。
「うっ、ぐっ……何だよ。……ああ」
「カヒュッ、ヒュッ……ヒュッ、ヒュー……」
バギィが、倒れたまま息切れを起こしていた。死への恐怖だけで最早殆どの体力を奪われているような。
「ゴギィィィアアアアア!!!!」
そして後ろからは、ラージャンの怒髪天に至るような怒りの咆哮が。
すぐにここまで来るだろうか? 可能性は高い。バギィは放って置いても時間稼ぎにすらならないだろう。けれど利用価値が無いかと言われたら、そうでもなかった。
「おい、起きろ。また肥やし玉鼻に押し当てるぞ」
平静を努めながら男はバギィを揺する。縋るしかないバギィは、よれよれとしながらも立ち上がった。
*
ラージャンは、キリンの角を食さなければ闘気化が出来ない。
だとしても小回りが効きながら並の竜を遥かに凌ぐようなパワーはリオレウスやらよりもよっぽど脅威だし、それにあのラージャンが闘気化出来ないとは余り期待しない方が良いように思えた。
迫ってくる時の、あの丹念で執念深い索敵の仕方。それだけで、生まれ持った肉体に物を言わせているだけの個体ではないと分かるものだったから。
閃光玉や肥やし玉も二度目に当たってくれるかすら怪しいし、当たったとしても立て直す時間は更に短くなるだろう。
バギィの尿の残滓の臭いを追って、すぐにラージャンは男とバギィが倒れた場所まで辿り着いた。
だが、そこで途切れている。痕跡を注意深く観察する。怒りと冷静さを持ち併せながら動くラージャンは、隠れている場所に目処を少しずつ付けていく……その鬱蒼とした木々の一つの上に、男は待ち構えていた。そしてラージャンが真下に来た時。手にしていたものの一つを落とした。
ぼとっ。
ただの木の実が、ラージャンの背中に落ちた。
脅威でもなく、殺意すら感じられないそれに、ラージャンが上を向く。男は、その時にはもう身を落としている。手にはもう一つ、バギィの睡眠液をたっぷりと染み込ませた残り全ての肥やし玉が握られていた。
「オラァッ!!」
バァン!!
「ゴアアアアッ!!??!!??」
目に、鼻に、口の中にさえ肥やし玉が直接ぶちまけられる。ラージャンの怒りが瞬時に沸騰するが、しかし先程よりも相当に強烈な臭いに、振り払う方に意識が優先してしまう、が。
「させるかぁっ!!」
男はラージャンの背中に飛び掛かる。
「グゴアッ、アガアッ!?」
しかし、片手剣を突き刺すような事はしない。痛みという刺激までは与えずに、背中に乗り掛かるだけ。
肥やし玉より強い異物を振り解こうとしたラージャンは、自然と肥やし玉が顔面に張り付いたままになる。肥やしの強烈な臭いに紛れたバギィの睡眠液が体内に入っていく。
「グゴッ……!? グ、ググッ……??」
ラージャンが唐突に襲って来た眠気に気付いた時には、もう遅い。
「ググッ、グアッ……ゴアッ……」
ラージャンは、耐えきれずに膝をつく。そして、そのまま上体も倒れさせていく。
「グッ……ググゥ……」
受け身も取らずに、ラージャンは倒れ。
男はそっと背中から降りて。
「…………何とかなった」
一息吐いた。
警戒心が強いのも執念深いのも、利用出来る。ラージャンはここまで来たら、確実に仕留める為にもまず索敵するだろうと踏んだ。
バギィに睡眠液を吐かせて、肥やし玉に浸した。その後バギィは逃げさせて、自分は木の上で待機した。
やった事と言えばそれだけだが、五分以上に上手く行く感覚はあった。
「あー、きったね」
息を吐いて、肥やし塗れになった手を適当に拭いながらひとまずその場を去る前に、ラージャンを見る。
「……ん?」
両手が不自然に、何かを試みるように頭の前に組まれていた。
よくよく見れば片方の手で、片方の指を自ら折っていた。
「…………おい? まさか」
こいつは……。
寝息の音がしない。体がぴくりと動いた。
それどころか、ばち、ばちち、と不吉な音がする。
こいつは、執念深いとか、警戒心が高いとかそれ以上に……それ以上に、死線を潜り抜けてきた強者だ!
男は思わず後ずさる。その間にもラージャンの漆黒の毛皮は、段々と金色へと輝いていく。
ラージャンの腕が動く。手のひらが地面につけられた。
「おい、まて、おいおい、おいおいおいおい!!」
体が持ち上がる。憤怒の形相でこちらを向き直し、顔についていた肥やしを拭い、口の中に入った肥やしも勢い良く吐き出す。
殺してやる。
そう全身を使って宣言するかのように、息を吸って。
「ギャララララ!!」
クシャルダオラの咆哮が響いた。
「えあ?」
思わず素っ頓狂な声が出た時には、宙からクシャルダオラがラージャンに対して突っ込んで来ていた。
更なる乱入者にラージャンは流石に避けきれず、吹っ飛ばされる。木にぶつかって漸く止まったラージャンは、即座に体勢を立て直してクシャルダオラの居た位置に雷砲を放とうとし。しかし、そこに更にべぎばぎとへし折られて飛んできた太い枝が数多に飛んできた。
「グゴッ、ゴググッ!!??」
それは丁寧に口の中に嵌る。そのままクシャルダオラはそれを取り除こうとするラージャンに肉迫して身を翻し、その顔面に思い切りその鋼の尻尾を叩きつけた。
べギュィッッ!!
凄い音が響いた。
「うわ…………」
思わず、同情するような声すら出てしまう。そのまま今度こそ膝を崩させて倒れたラージャンは、叩かれた側の角が折れてくるくると飛んでいくのが見えて、きっと歯も顎も砕けているに違いなかった。
クシャルダオラは今度こそ昏倒したラージャンをしっかりと確認すると、少しだけこちらを見て無事だと分かれば、またラージャンに顔を戻す。
すると、口と前足でしっかりとラージャンを掴んで飛び上がり、何故か山の上の方へとそれを持って行った。
…………まあ。何はともあれ。
「…………助かった」
今度こそ膝から力が抜けて、その場にへたり込む。
「……で……あのクシャルダオラは、それ以上に……」
古龍級であるが、古龍級でしかない生物と、本物の古龍の差。
そこには歴とした隔たりが存在すると思い知らされたようだった。
がさがさと、茂みから音が鳴る。そちらを見ればバギィが戻って来ていた。
自分に向けられたその不可解そうな目は、そんな古龍が唐突に自分を助けるように現れてラージャンをぶちのめした事に疑問を抱いているに違いなかった。
見事にぼっきりと折れたラージャンの角を拾い、そしてまずはバギィの縄張りに戻る。
これだけで家が建つに違いない代物ではあるが、自らの手で討伐していないモンスターの素材など持ち帰る気にもならない。
縄張りの一番中央まで歩けば、そこには目にするのも憚られるような凄惨な光景が広がっていた。
狩人であろうとも、下手にしたら吐きそうな。
「…………、んまあ、別に敵を取ったとかそういう訳じゃないけど。うん、そうだな。成仏してくれという事で、これは置いてくよ」
首が折れたドスバギィの隣に置いて、その場は去る事にした。
途中、バギィとすれ違う。
もしかしたら、群れの唯一の生き残りかもしれないバギィ。
「あんたには何だかんだ助けられたしな」
何だかんだ居なければ、クシャルダオラが来るまで時間を稼ぐ事すら危うかっただろう。
「強く生きてくれよ」
頭をポンと叩けば、心細そうに「ギュウ……」と一度鳴くもそれきり付いては来なかった。
そして、クシャルダオラの鱗の胸当てとリュックを置いた場所に戻る。
胸当ては投げ捨てられていた。リュックはそのままだった。
ほっとする。胸当てが上手く囮になってくれたのだろう。
ただ、繋がり直した感覚はない。また、時間が経てば繋がり直すのか、それともクシャルダオラから新しく鱗を貰わなければ繋がらないのか。
何にせよ、きっと俺自身に選択肢はないんだろうと思えば、別にどうでも良いかとも。
胸当てを付け直す。そして、リュックを背負い直して登る気力は……流石になかった。
クシャルダオラは上の方で待っているのかもしれないけれど、別にまあそれはどうでも良い。天候も別に変わっていないから、上でキリン亜種と争っているとかそんな事もしていなさそうだった。そんな事になってたら下山を決意している。
まだ昼も過ぎた頃の時間帯だったけれど、テントを張っても大丈夫な場所を探す。
歩き回っていればラージャンの野糞を見つけたので、その近くに張る事にした。
飯を食い、テントを張る。
外でぼうっとしていればすぐに日が沈んできた。結構な時間があったはずだが、それ程に疲弊していたらしい。
当たり前と言えば当たり前だ。クシャルダオラの乱入で恐ろしい記憶は全部上書きされてしまったとは言え、あれ程に濃密で命懸けな時間を過ごした経験は、狩人として頑張っていた時でさえ早々に無かった。
多分、古龍すらも単独で討伐出来るような狩人は、あんな状況ですら楽しめるのだろう。自分が登山に道を曲げていなかったらそうなっていたかと言われると、可能性はあると思う。けれど、そこから先は流石に才能を必要とする領域でもあるだろうし、愚直に上を目指し続けていたら死んでいても全くおかしくないだろうとも。
別に登山という行為に心を奪われた事が正解だとか不正解だとか判断する気もないが、今のところは後悔はない。もし、ラージャンに殺される直前に問われたら後悔ばかりだろうけれど。
夜飯もさっさと食べて、テントの中に籠る事にする。すぐに眠れそうだった。
*
*
……何か、寒い。いや、とても寒い。体が震えている。凄く寒い。嫌程に寒い。
そんな、とてつもない寒さで起こされた。
嫌な予感がする。命の危険が伴うものじゃないけれど、何はともあれ、嫌な予感だった。
というか、夢の中でテントの外の光景を見ていた。テントを見下ろしていた。すぐ近くに、居る。しかも二体。
外に顔を出す前に、出来る限りの準備をしておく事にした。
いつの間にか強張っている体を必死に解して、それから気付けとしてホットドリンクを飲む。とても辛い。胸がカッカして体がぶわっと動き出す。
ここから先を登るにあたって、更に上に羽織る予定だった防寒具を引っ張り出して身につける。そして、テントの中で飯を出す。スープを作って飲みたかったけれど、流石にそこまで悠長にして居られる程に図太くして居られる精神も持っていない。
その携帯食料も、モサモサとした食感を通り越して、ガリガリと音を立てながら噛み砕かなければいけない固さになっている。
そんな携帯食料を口の中で少しずつ柔らかくしながら食べていると。
「…………」
テントに陰が強く掛かっているのに気付いた。
「あ、あの……」
これ以上待たせると、冗談抜きで引き裂いてきそうだった。
そもそも、テントもウルクススやらの素材を使ってかなり断熱性は高いはずなんだが。
恐る恐るテントから顔を出すと、夢の中で見た通りに、クシャルダオラとキリン亜種が居た。すぐ近くに。
あの時見た夢は正夢だったんだな。いや、正夢になるように動いたのも俺なんだが。
「……随分と、お仲がよろしいようで…………」
そんな言葉を苦し紛れに出せば、キリン亜種がずいと顔を近付けてきて、じろじろと自分の顔を見てくる。
原種の色合いをそのまま逆転させたような青黒い色合いに、白が走っている。額から捻れながらも真っ直ぐと伸びたような角は、広域を極寒で支配してしまうその力を司るかのように強く凍てついていた。
……やっぱり、古龍の表情なんて分かりやしない。敵意がない事と興味を持っている事くらいは分かるが、それ以上はクシャルダオラと似たような厳つい顔をしてるなあ、としか思えない。
そして何よりも本当に寒くて目玉すら凍りそうで。もう無理と顔を防寒具で隠せば、不満そうに唸られた。
「……お二方はどういう関係で?」
聞いてみるも、当然ながら返事が返ってくる事はなく。旧知の関係なのか、それとも昨日会って馬が合っただけなのか。あのラージャンは結局どうしたのか。
というか、ここまで来るんだったら、昨日ラージャンに襲われた時に助けて欲しかったなあとか。
そんな義理などないと言われたらそうなんだが、んまあ、気付いていなかっただけだろう。多分。
そういう事を思いながら、取り敢えず登る支度をする。ガチガチとした残りの携帯食料を口に放り込んで少しずつ咀嚼しながら、テントを畳めば後ろでじろじろと見られているのを感じる。
少なくとも、似た物同士らしい。古龍というのは意外とそういう温厚な個体の方が多いんだろうか? 人に強い害を為してくる個体が目立つばかりで。
まあ……そんな中で俺がどんな風に見られているかって言われたら、興味の湧く玩具くらいなのだろうけど。別に対等になろうだとか、対等な武力を持とうとするつもりもない。
テントを畳み、リュックを背負う。
「……行きますか」
クシャルダオラがこの前と同じように後ろから付いて来るのに対して、キリン亜種は先導するように前を歩いていく。
何か見せたいものでもあるようだったが、それにしては人の歩く速度を分かっているようなゆっくりとした足取りで合わせてくる。
……やっぱりこのキリン亜種は、元から人との交流がありそうだ。
視界が開ける。健気に生えている草花も流石にこのキリン亜種の放つ冷気に耐えられずにパキパキと音を立てながら凍っていく。
前と後ろにも古龍が居て、古龍に挟まれて俺は歩いている。
ただ、そんな事よりも、とにかく寒い。コートを二重に羽織っても寒いものは寒い。手足もしっかりと防寒を厚めにしているのに、こまめに動かしていないと凍傷になりそうな程に寒い。一応討伐した事例もあるらしいが、正直その狩人の手足の指は全部使い物にならなくなっていたんじゃないかと思う。
それかこのキリン亜種が過去に討伐されたのより遥かに強者であるか。どちらかと言われれば後者な気がした。普通にしているだけでこれだけ寒いなら、本当に殺意を込めてその能力を全開にしたならば、どんな防寒具ですら形無しになるだろう……か?
後ろを振り向いた。クシャルダオラはやはり平然としている。
……古龍をも倒せる狩人なら、そうでもないのかもしれない。
何か用か? というような顔をしてきたので。
「いや、何でもない」
顔を戻して、胸に手を撫でる。
……今の、本当に会話したような感覚だったんだが……これ、本当に共鳴しつつあったりするのか? というか、いつの間に繋がり直してたんだ。そういや夢も見たし。
この感覚は、何と言えばいいのだろう。嬉しい訳でもないし、悲しい訳でもない。良く分からない。
かかっ。かららっ。
気付けば、キリン亜種が眼の前の崖を駆け登っていた。
以前このキリン亜種と会った上で、流石にこの寒さは無理だと断念したところだった。
キリン亜種が登り切ると、振り向いてくる。
この位は登れるだろう? と。
別に登れるけれど、まずは迂回出来ないか考える方なのですが……。それに寒くて体が強張っているし。
まあ、寒い以外は別に体力も有り余ってるし。
リュックを下ろして紐を取り付けようとすれば、クシャルダオラがリュックを咥えて上へと飛んだ。
……信頼、されてるんだな。
それに、そう言えば。最初にクシャルダオラが付いて来た時はそれだけで二割増しくらいで疲れていくような感覚があったけれど、今となればそんな気苦労と言うべきようなものは微塵もなかった。古龍そのものに慣れてしまった。勿論、敵意を向けられなければ、という条件付きではあるけれど。
この二体にそんな意志を向けられたら、それだけで心臓まで凍てつかされそうだ。
「……はは」
今更ながらに緊張してきたけれど、やる事は別に変わらない。カムラで学んだ崖登りをやるだけ。体を解して、スパイクの雪を落として。岩に触れてみれば、岩そのものも凍っているかのようでガッチガチで崩れそうな雰囲気は微塵もない。
キリン亜種と同じように、別に大した事でもないようにひょいひょいと駆け上って。
その目の先には。
「…………うん? うん??」
また平野が幾許か広がっており。そこには、明らかな道があった。人が定期的に登っているくらいに踏み均されている道が。
男は、クシャルダオラからリュックを受け取るのも忘れて、その道の前後を見通して。
……どうにも、その道は遥か下から延々と続いているようで。麓の一泊した街とは真逆の方にも集落か何かがあるようだった。
「……俺、山道があるのを知らずに、道なき道をずーっと苦労して登ってきてたのか?」
「ククッ……イククッ……」
変な声が聞こえて、振り返ってみれば、キリン亜種がこっちを見て、目を細めて体をぶるぶると震わせていた。明らかに笑っていた。嗤っていた。
……そりゃあ、そうだ。人が既に幾度と登ってるのも知らずに道なき道を態々頑張って登ってきていたんだから。しかも一回目はそれを知らないままに直前で去り、更に二回目も全く知らないまま同じように苦労して登ってきた。
そりゃー、付き纏うわ。そりゃあ……待ちきれなくなるわ。
登山をする理由は色々あった。手つかずの自然の中を自分自身の力のみで道を切り拓き、そして頂上まで登る事で自然を踏破したと証明したいだとか、時に竜ですら辿り着く事の出来ない場所に立つ事で人間としての竜にはない強さを証明したいだとかもあった。より一層強い理由として、前人未到の地を己が一番最初に踏みしめたいという気持ちもあった。
「すーーーー……はーーーー…………」
体を落ち着けるように、深呼吸をした。肺を凍らせるような冷気が一気に入ってくる。
「まあ……いや、うん……。いや、別に、うん…………」
どれだけ心を落ち着けようとも、ショックは隠しきれなかったが。
取り敢えず頂上まで登ろう。
クシャルダオラが前に置いていたリュックを受け取る。
「ありがとうございます」
どうかしたのか? とクシャルダオラが顔を向けてきた。
……やっぱり、意思がはっきり伝わるようになっている。俺が愕然としている理由も、キリン亜種が嗤っている理由も良く分かってはいないようだが。
「いや……大した事じゃないんだ、うん」
本当か?
「うん、別に本当に大した事じゃない。ちょっと……驚いただけで」
俺の反応を見てキリン亜種は満足したのか、歩幅を合わせる事をやめて、さっさと先へと行ってしまった。
「なんだかなあ」
愚痴が時々漏れ出しながらも、山頂へとぼとぼ歩く。後ろからクシャルダオラはのんびりと付いてくる。
暫くすると、足跡が何種類も見られ始めた。一つはジンオウガのもの。多分、亜種だろう。もう一つは……生態報告書とかで見た事があるような気がするが、実際に見るのは初めてなもの。
それで、その中には人間の靴の跡もあった。
ここはキリン亜種を頂点とする王国なのだろう。
そしてそれには人間も組み込まれていて、その敬意を払う、直接的な交流は向かい側に隠れるようにあるであろう街の方に一任されている。そうする事によって、キリン亜種の存在は表向きは完全に隠されている。
こうやって雪山に登山するような馬鹿が居なければ。
あの保存食を作っている川沿いの道を延々と進めば、それに辿り着いたのかもしれないが、まあ気付くのは無理ってものだ。そもそも雪山に登山なんて行為をする人間が他に居ると思うものか。
冷静に考え直してみれば、その山道に気付く事など無理だと分かってきて落ち着いてもきたが、それでも一度凹んだ気持ちを取り戻すにはもう暫く掛かりそうだった。
そして蝕龍蟲が飛んでいるのが見えたと思えば、山頂が見えてきた。
平らに均された祭壇のような場所。ジンオウガ亜種とキリン亜種が座って祭壇を眺めている。その祭壇では、一人のハンマーを持った薄着の青年と氷属性の二足歩行の狼……思い出した、ルナガロンが鍛錬をするかのように戦っていた。
ジンオウガ亜種がこちらを振り向いて、ルナガロンと青年も試合を止めてこっちを見た。
「王様ー! 愛すべき馬鹿ってこの人のことー!?」
「……あのー?」
*
「大体察してると思うけれど、私達は代々この王様と共生しててね。
表向きには知られてないけれど、ハンターズギルドも公認で。うん、こんなところまで登ってくる人なんてウチ等以外に普通……いや早々居ないし、別に隠そうと思って隠さなくても良いものなんだけどね」
「はぁ……」
俺が頼んでないのに、隠すべきような内情までペラペラと喋り始めたその青年。
「それで、おじさんは本当に山なんて登りにきたの? 王様越しに話は少し聞いてるけど、ウチと王様みたいな関係なの?」
おじさん……もう否定する歳でもないが。
「いや……その前に、その通り俺も大体察してたけど、そんな内情を喋って良いのか?」
「王様が、馬鹿だけど阿呆でも悪者でもないって言ってたから。それに古龍と繋がってる人間が悪者な訳ないじゃん」
「ああ、はあ。そうですか」
悪者じゃないって認められてるのは嬉しいっちゃ嬉しいけど。
「それで、さっきの質問だけど。本当に山登りしに来たの? クシャルダオラとはどういう関係なの?」
「山登りが趣味でごめんなさいね。俺がイカれてる事は俺自身承知してます。
で、クシャルダオラとは……。まあ、何というか、人間としての強さに興味を持たれたって感じかな……」
クシャルダオラの方を見れば、その青年をまじまじと眺めていた。薄着で居るのが信じられないのは俺もそうだ。
「人間としての強さ?」
「上手く言えないというか、俺自身から言うにはちょっと恥ずかしいし、自惚れかもしれないけど、そんな感じ。
それでこっちからも質問良いかな?」
「何? 答えられない事もあると思うけど」
「まず……何でそんな薄着で平気なんだ?」
「そりゃー、こんな寒い地で代々生きてきてるからねー……っていうのは建前で。王様と繋がってから、段々と平気になってきた」
……俺もその内似たように人間離れしていくんだろうか。
「それともう一つ。ルナガロンと鍛錬をしていたのを見るに、将来的には狩人にでもなりたいのか?」
「うん! ウチはこれでも村の跡取りでね。まあ王様と一緒に生きるのも良いって思ってるんだけど、その前に一度広い世界を見ておきたいって思って。
だから、王様の臣下達に手合わせして貰ってるの!」
周りの空気がちょっとピリっとしたのが感じられた。
あー……臣下も含めて人間の言葉は理解してるし、俺達の会話に耳も立ててるし。で、うん。言いたい事は分かる。
多分、この青年から感じる無知であるが故の綺麗な認識は、青年が生まれ育った村全体で共有されているものだろうとも。
言って良いのか? と、そっちの臣下やらの方に目を向けると。
「何? 向いてないって?」
先に青年の方に察せられた。散々王様とかからも言われてきたのかもしれない。
ピリッとした雰囲気はそのままで、けれど静止するようにまで強い空気感もなかった。
「じゃあ、聞くが……。竜を殺した事はあるのか?」
「……まだ、ないけど」
「殺せるのか?」
「…………多分」
言いあぐねたその雰囲気に、俺は強めの口調で言う事にした。
「いや、無理だな。無理と言うには言い過ぎかもしれないが、厳しい事を言うと……君は、小さい頃から人と親しくしてくれる竜と触れ合い過ぎている。
うん、そうだな……ライダーって知ってるか? 絆石という代物を使って簡単に竜と心を繋がらせて一緒に戦う、ここ十年くらいで少しずつ増えてきている新しいハンターの姿だ。
あいつらもそうなんだよ。ライダーは優しい世界で育ち過ぎている。
だから……そうじゃない世界に飛び込むと、かなりの割合で病むんだよ」
「……どういう事?」
「……言うぞ?」
「…………うん」
再度確認したが、臣下や王様からも許可が取れたようなので言う。
「快楽目的で、残虐に人や竜、時に同族までをも殺すような竜を見たことがあるか?
そんな竜を討伐する為に、時にそれ以上に残虐になるハンターを見たことは?」
「……ない」
「竜が子を守る為に、近くを通っただけの人間が皆殺しにされた事は?
そんな竜を殺してくれと涙ながらに依頼が来て引き受けるような様子は見たことは?」
「…………」
竜と、鍛錬が出来る。この青年は、ここの竜が自分を殺さないという事を小さい頃から事実として受け入れられてしまっている。
クシャルダオラが土産目的かで持ってきたラージャンもこの様子だと隠されているんだろう。
苦し紛れな反論をしようとするその青年に、続けた。
「特にそんなジンオウガ亜種や、ルナガロン、キリン亜種が出てきたら、君はそれらを人の為に……見ず知らずの誰かの為に殺せるか?」
青年の開いた口は、開いたまま何も言わなかった。
……何で登頂してまず最初にやる事が説教なんだ。
「まあ、だから。外の世界を見るとしても、狩人になる事は勧めない。なるとしても君は研究者やギルドの受付係として、直接竜と対峙しない職業の方が合ってるよ」
合っているというか、それならギリギリ耐えられる……いや、それも無理かもしれないけど、消えようのないトラウマを負うまでは避けられる可能性は高いだろう。
それでも納得出来ないような顔をする青年に対して。
「……ああ、そうだ。俺は馬鹿な登山をしてここまでやってきたけど、その道中で……」
その先を言おうとしたら、キリン亜種がこちらを睨みつけて来た。
見るよりも先に殺気が貫くように突き刺さり、一瞬で背筋が縮み上がる。
けれど……それ以上に……やっぱり過保護だな?
「……はいはい」
「え、何、何なんだよ」
「いや、これ以上言わなくて良いってさ」
不満げな顔は結局そのままだった。
再びホットドリンクを飲み干し、祭壇を眺める。臣下であるというジンオウガ亜種とルナガロンは、異物である俺とクシャルダオラから律儀に目を離さない。
クシャルダオラにも臆さずに目を離さないところから、少なくとも並の個体ではない事は伺えた。
「……数月に一回、何人かで特産品とかを納めに来るんだ。意外と王様は好き嫌い激しくてね」
追ってきた青年がそう補足した。
確かキリンの原種って、あんまり物を食べないんじゃなかったっけ? 自らに雷を落としてそれをエネルギーにしてるんじゃないか、という学説を聞いた事がある。
でも亜種が雪を降らしてエネルギーを得るっていうのもそれはそれで良く分からないし。
「へぇ……例えば」
どんなのが好物なの? と聞こうとすれば、背中からまた殺気が。
「……いや、良い」
「?」
クシャルダオラよりよっぽど感情的なのは別に良いけれど、すぐに殺気で静止させて来ようとするのはやめてほしい。
寿命が縮む。
「それで、もう少し聞きたいんだけど」
小さい声で聞いてくるけれど、多分後ろの竜達にははっきり聞こえているんだよなあ。
「答えられる事なら」
「その片手剣……おじさんも一応狩人なんでしょ?
狩人をやってて良かったって事はあるの?」
「こんな山登りばっかやってる不真面目な奴に聞くのか?」
「だって、他に居ないし……。表の街にも殆ど行かないし、行ったとしても狩人に会う事はあんまり許されてないし」
「……そうか。
……んー、俺は狩人として技量は普通でさ。多分、一人じゃ臣下にも勝てないよ。
志も、何か立派なものがあった訳でもなくて、男の子の憧れの職業っていうのを愚直に頑張って叶えたくらいで。
それに物語でよくあるような古龍に対して一人で時間を稼いだだとか、因縁の相手を死闘の末に倒しただとか、そんな事は何もなくて。でも、毎日の人々の平穏を守っている、っていうのは確かに充実感があったなあ」
「……その為に、沢山殺した?」
「沢山殺したよ」
「……じゃあ、何で山登りなんて事してるの?」
「その方が楽しそうだったから。
……要するに、おじさんはね、誰かの為に生きるより自分の楽しみの為に生きる事を優先したんだ。
全く褒められた事じゃないけど」
「ふぅん……」
ハンマーを手に持って、自分の中で色々と考えている様子。ルナガロンと戦っている時も若いのに軽々しく振り回していたし、キリン亜種の影響を強く受けているからか、肉体的な才能に関しては俺なんかよりよっぽどあるんだよな。
殺伐とした、ある意味当たり前な世界に心が耐えられなければ何の意味もないが。
そこから祭壇の先、山頂の更に切り立った峰へと足を伸ばせば、そこからは麓の街が一望出来た。誰も見た事のない景色ではないにせよ、中々いい景色だと思っていると、クシャルダオラが隣にやってきて、その街を同じく眺める。
……大騒ぎになってたりしないだろうか?
「……そういえば、二度も助けて貰った事、まだお礼を返してなかったので。
全く釣り合わないと思うけれど、ひとまず」
リュックの底の方に入れていた、採集クエストの際に可能な限り集めたピュアクリスタルを詰めた袋。
クシャルダオラはそれを見つめると。袋ごと咥えてバリボリと大きな音を立てて一気に食べた。
何か意思が伝わって来る事もなかったけれど、まあ受け取って貰えたので良しとする事にした。
「……まあ、前回断念したっていう心の憂いも晴らしたし。次はどこに行こうかな。
……何かあったりします?」
何となく聞いてみれば。
脳裏に景色が浮かんできた。……谷底?
『この私も得も知れぬ雰囲気を感じて引き返した場所だ』
はっきりとした意思。
『私は光を発する術を持たない。だが、貴様が来て光を齎してくれると言うのならば、貴様の命は確実に保証しよう』
クシャルダオラも冒険好きなのだという事を、そこで俺はやっと理解したのだった。
「了解。それでは俺が光になりましょうか」
*
早めの昼食を奢って貰い、一服した後に下山する事を伝える。
「ウチに来る?」
「いやー……止めておくよ。他所の空気を無闇に入れても良い事は無いだろうし」
それに正直、面倒そうというのもある。
残念そうな顔をされたけれど、それ以上引き止められる事はなかった。
「じゃ、じゃあ、これ」
手渡されたのは青黒い、凍てついた鱗……キリン亜種のそれ。
「え……」
「気に入ったんだって」
愛すべき馬鹿としてか?
「おじさんが付けてるクシャルダオラの鱗より効力は少ないけど、それでも良い効力を発揮するって」
「はぁ……」
キリン亜種は面白がるように見ていて。それでクシャルダオラはどうにも不服そうだった。顔には出ていないけれど、もう分かる。
別のところに付けるか……。
取り敢えずリュックにしまっておく事にした。
帰る時には、もう青年もキリン亜種も付いては来なかった。クシャルダオラとだけ一緒に帰路に着く。
そして登って来た崖にまで着くと、リュックを下ろすなりクシャルダオラはそれを咥えて、そして目を合わせてきた。
『せめて、あのラージャン程度は倒せるようになっておいてくれ』
「……無茶言うなよ……」
『谷底に行くのはそれからだ』
問答無用ですか。
「……はい」
そうして翼を羽ばたかせてリュックを崖の下に置くと、そのまま去っていった。
……逆に言えば、谷底にはそんな何かが居ると思ってるって事だよな。
その為にも最低限自衛出来るだけの力は身につけておいて欲しいという事で。
それがあのラージャンを倒せるレベル?
「いつになるんだそれ……」
まあ……頑張るしかないか。
*
*
*
*
前回よりは短い期間で帰ってきたそいつは、何故かバギィを連れていた。
何であれ竜を人の地に住まわせる為には色々と特殊な申請が必要なのだが、そいつは一つ一つが煩雑なそれを、文句を言わずにこなしていく。バギィの方も人を傷つけないかという、ストレスの掛かる検査を難なくこなしていった。
聞けば、そのバギィはラージャンに親分を含めて群れの全てを滅ぼされたのだという。そして、そいつとなし崩しに協力してギリギリ逃げ延びたのだとか。
そいつのマイハウスの中。寝る度に悪夢を見て魘され、やつれたバギィを撫でながら言う。
「まあ、俺にとってもこいつが居なきゃ生きてるか危なかったし、それに対価も貰っちまったっていうか、押し付けられたしなぁ。
下山する時に付き纏われて、流石に冷たく突き放すのは無理だった」
その対価。立てかけられたラージャンの角の一本。
見るからに立派なそれは、ラージャンの中でも強い個体である事を想像させてくる。
そしてそれ以上に、力尽くで一気にへし折ったような……狩人の大剣やハンマーでも出来そうにないような断面をしていた。
「道連れとやらが退治してくれたのか?」
「まあ……そんなところ」
バギィを連れて来ていたのと同時に、また何か一回り以上大きくなっているような。
より一層冷たい……氷で閉ざされたどこまでも広がる大地を目の前に映し出したような、そんな人間の一人が出す雰囲気とは思えないそれ。
「……あれ? お前……目の色変わってない?」
青空のような、清々しい青の色。
「え?」
「目の色が変わるって……最近どっかで聞いたような。そうだ、カムラの百竜夜行の……」
「あー……。要するに、そういう事です。はい。
どっちかって言うと、一方的なものなんだけど。あんまり言わないでくれ」
「……困った事はないのか?」
「強いて言えば、ラージャン程度は倒せるようになれって怒られた」
「…………マジか」
「マジです」
キリン亜種:
北方でもないのに辺り一帯を寒冷地にしている。しているというか、力を抑えなければ自然とそうなってる。
イヴェルカーナが己の力で直接的に寒冷化現象を起こすのに比べて、キリン亜種は天候に干渉してそうするイメージ(キリンも広く天候に干渉するイメージなので)。
そういう広範囲に及ぶ力が良くも作用して、寒いのにエネルギーには結構溢れている、という設定。
実力に関しては、臣下と組めばクシャルダオラより確実に上。組まなかったらちょっと下。
少なくともクシャルダオラよりはかなり長く生きてる。
裏の集落の一族の代々の代表と共鳴している。
臣下であるジンオウガ亜種とルナガロンとも共鳴してるかも。
青年に対してはちょっと過保護気味。
外に出ていく決意が固まってしまったなら、臣下のどっちかを付いて行かせるんじゃないかな。
人間と長く交流してきたからか、感情は結構豊かな方。
クシャルダオラに関しては、
すみません、ラージャンをぶちのめしちゃったけど、一応こいつ、あんたの手下とかじゃないよね? => 何だお前? 知らん。あいつに見せたくないからこっちで処分しておくね。で、あんた……あの馬鹿と共鳴してるんだ!? っていうかまた来てるのあの馬鹿!? へ〜〜〜〜??
男に関しては、
また登ってきたんだあの馬鹿!? しかもクシャルダオラと共鳴!? おもしれーやつ。マーキングしとこ。
因みにキリンの素材に鱗って無いんだけど、どう見ても全体は鱗に覆われてるので。
青年:
性別は決めてない。女っぽい書き方してるけど。
代々キリン亜種と共鳴している一族の、次の跡取り。
狩人になってみたいし、キリン亜種も一応その意思を汲んでいるけど、精神面では全く向いてない。
キリン亜種と共鳴して長いので、色々影響が出ている。特に寒さに強い。
バギィ:
突如やってきたラージャンに自分を除いて皆殺しにされた。生き残った理由は幸運にも見つからなかっただけ。
男のおかげで助かるけれど、どうしても自分だけじゃこの先生きられる気がしなかったので、一か八かで下山した男にラージャンの角を押し当てながら縋り付いた。
人里で生きる為の試験は、ラージャンの恐怖に比べればへっちゃらなので普通にパス。
ただ、ラージャンに群れを全滅させられた記憶はここから先ずーっと残り続ける。
ラージャン:
歴戦レベル。
まあ、男が居なくてもキリン亜種には勝てなかったというか、元々は最終的に臣下二匹のコンビネーションアタックで仕留められる予定だった。
男:
キリン亜種からマーキングされました(マーキングされたとまでは思ってない)。
クシャルダオラと完全に共鳴しました。
でもラージャンを単独で倒せるように、と厳命されました。
バギィがオトモになりました。
クシャルダオラ:
今、男は何してんのかなって探ろうとするとその度にキリン亜種の気配も感じられるので、その度にちょっとムカついてる。
臣下二匹:
ジンオウガ亜種: 強い。技もあるけど力押しタイプ。ラージャンにはちょっと不利。
ルナガロン: ジンオウガ亜種よりは弱いけど強い。技寄りのタイプ。ラージャンには結構有利。
ティガレックスに育てられた子供:
https://wikiwiki.jp/nenaiko/%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9/%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%A9
ライダーズやったことないけど。
次回の構想はマジで無いので、投稿するとしても相当に後。
短編の設定は維持したいので、追加するとしても後2話。