聖園ミカに転生した男の話 作:本当に先生は聖人なのか?
ミレニアムサイエンススクール。
巨大なビナーの残骸を解析するため、ミカがミレニアムの生徒たちと共にここを訪れてから、しばらくの時間が経っていた。
ビナーの残骸をエンジニア部へと引き渡したミカは、最後に一度だけその巨大な機体を振り返った。
周囲では、エンジニア部の生徒たちが慌ただしく動き回っている。
「この部分、絶対に触らないで!」
「データのバックアップは取った?」
「解析用の設備、急いで準備して!」
そんな声を聞きながら、ミカは小さく息を吐く。
これで、自分の役目は終わった。
ミカはエンジニア部の生徒たちへ向き直ると、いつもの柔らかな笑顔を浮かべた。
「じゃあ、後はお願いね」
あまりにもあっさりとした言葉だった。
まるで、とても危険な存在を預けたとは思えないほどに。
「えっ、あ、うん。任せてくれ」
「すぐに調べてみせますから!」
「何か分かったら、すぐに連絡するね」
エンジニア部の生徒たちが口々に答える。
「よろしくね~」
そう言い残して、ミカは踵を返す。
背後では、すでにビナーの解析を始めようとするエンジニア部の喧騒が響いている。
その声を聞きながらも、ミカは振り返らない。
自分が持ち込んだものがこれから何を明らかにするのか。
それを気にする様子もなく、ミカはその場を後にしようとした。
「……あとはミレニアムに任せれば大丈夫かな」
軽い調子でそう言うと、ミカは携帯を取り出しながら踵を返そうとした。
すると廊下の反対側から、ひときわ賑やかな一団がこちらへ向かって歩いてきた。
その中心にいるのは先生だった。
左右を固めるようにして歩いているのは、ゲーム開発部の生徒たち。モモイとミドリ、ユズ、アリスがそれぞれ先生の周りを囲み、楽しそうに話しかけながら歩いている。
「先生、さっきの話なんだけどさ!」
「モモイ、廊下ではもう少し静かに……」
「だ、大丈夫……。たぶん……」
そんな声が廊下のこちら側まで聞こえてくる。
先生は苦笑しながらも、生徒たちに囲まれて歩いていた。
まるで、先生を中心に小さなパーティーがそのまま廊下を移動しているかのようだった。
その姿を遠くから見ると、先生自身は特別目立とうとしているわけではない。
それでも、ゲーム開発部の四人に囲まれているせいか、自然と視線を集めてしまう。
先生はふと顔を上げる。
そして、廊下の先にいる誰かの姿を見つけると、歩みを止めることなく、そのままこちらへ向かってくる。
ゲーム開発部の生徒たちも先生を囲んだまま、一歩、また一歩と距離を縮めていく。
やがて、賑やかな話し声と足音が廊下いっぱいに響き始めた。
しかし、ミカは携帯を弄りながら歩いておりその姿に気付いた様子をまったく見せなかった。
視線を向けることすらない。
まるで、そこには誰もいないかのように。
一定の歩調のまま、ミカは先生の横を通り過ぎようとする。
「…………また会ったね」
先生に声を掛けられたミカは顔を上げ視線を先生に向けた。
「え〜っと確かアビドスにいた…………誰だっけ?」
「えっ?」
ミカの声に先生は股間を押さえ一瞬固まったがすぐに何事も無かったかのように口を開いた。
「……そういえば自己紹介がまだだったね。私はシャーレの先生だよ」
「そうなんだ。名前は?何先生なの?」
「「……………………………………」」
「え?」
何を聞かれているか分からないという表情を浮かべる先生にミカは言葉を重ねた。
「いや…それなら私は〝トリニティの生徒〟って名前になるんだけど…あなたの名前は何?」
「私の名前…」
先生はそう呟いてしばらく黙り込んでいたが、やがて意を決したように口を開いた。
「ごめん。思い出せないんだ」
「あなた自分の名前が分からないの?それで〝先生〟ってのは荷が重いんじゃ…」
呆れた様子のミカはゲーム開発部の面々に視線を向けた。
「あなた達も相手の名前すら分からない事に何の疑問も浮かばなかったの?」
「言われてみれば確かに…」
そう言いながら不思議そうに顔を見合わせるゲーム開発部を見ながらミカは何かを察したのかボソリと呟いた。
「う〜ん…アナタはもう人間というより
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
トリニティ自治区――。
その日の街は、いつもと変わらない穏やかな午後を迎えていた。
……少なくとも、表面上は。
路地裏の一角。
そこには、武装したヘルメット団の不良たちが集まっていた。
「なあ、本当にやるのかよ……?」
「トリニティの警備、かなり厳しいぞ」
不安そうな声が飛び交う。
その中心に、ひとりの少女が立っていた。
白い狐面。
揺れる長い髪。
そして、どこか楽しげな笑み。
ワカモだった。
「ふふっ……怖いのですか?」
「お前、俺たちを何に巻き込もうとしてるんだ!」
「何って?」
ワカモは首を傾げる。
そして、トリニティの中心部へ視線を向けた。
「ちょっとした騒ぎを起こすだけですよ♡」
「ちょっとしたって……!」
「大丈夫です。あなたたちは、ただ派手に騒いでくださればいいのです」
ワカモは狐面を指先で持ち上げる。
その瞳には、悪戯を楽しむ子供のような光が宿っていた。
「そうすれば――皆様の目は、あなたたちに釘付けになりますから」
トリニティ自治区の一角で、ヘルメット団による騒ぎが続いていた。
「押せ! もっと派手にやれ!」
「正実がこっちに集まってきたぞ!」
怒号と銃声が響き渡り、生徒たちは次々と騒ぎの現場へ駆けつけていく。
その混乱の裏側を、ひとりの少女が静かに進んでいた。
白い狐面。
艶やかな長髪。
そして、愉悦に満ちた微笑み。
ワカモだった。
「ふふっ……皆様、よく頑張ってくださっていますね」
彼女の狙いは単純だった。
ヘルメット団を扇動し、トリニティの警備を一か所へ集中させる。
その隙に内部へ侵入し、
作戦は完璧だった。
誰にも気づかれることなく校舎の奥へ入り込み、ワカモは静かな廊下を進んでいく。
外の喧騒が嘘のようだった。
「……随分と静かですね」
そう呟きながら、ワカモは廊下の角を曲がった。
――その瞬間。
「…………え?」
目の前に、突然――少女が現れた。
まるで、何もない場所から突然現れたかのようだった。
あまりにも唐突だった。
ほんの一瞬前まで、誰もいなかったはずの視界。
そこに――標的である聖園ミカが立っていた。
「…………」
ワカモの身体が硬直する。
距離は、わずか数メートル。
あまりにも近い。
不意打ちだった。
完全に、ワカモの想定の外だった。
「…………」
ミカはワカモを見ていた。
……いや。
見ているようで、見ていない。
その表情に、警戒の色はなかった。
まるで、そこに何も存在していないかのようだった。
「……っ」
ワカモは反射的に身構えようとした。
武器を抜く。
そう思った。
だが――。
身体が動かなかった。
指一本すら、動かせない。
「…………!」
目の前にいる少女は、まだ何もしていない。威圧感や殺気を出している訳でもない。それなのに鳥肌が止まらない。
ただ雄大な山を見た時のような圧倒的な存在感。
こちらを敵として認識している様子すらない。
それなのに。
ワカモの本能だけが、必死に警鐘を鳴らしていた。
――動くな。
――触れるな。
――この少女に、敵意を向けるな。
ミカが歩き出す。
ワカモへ向かって。
あと数歩。
ワカモはただ、立ち尽くしていた。
そして――。
ミカはワカモのすぐ横を通り過ぎた。
「…………」
何も起こらない。
ミカは一度もワカモを振り返らなかった。
まるで――そこに誰もいないかのように。
コツ、コツ、コツ。
足音だけが、廊下の先へ遠ざかっていく。
やがてミカの姿が角の向こうへ消える。
それでもワカモは動けなかった。
「…………あ」
ようやく、かすかな声が漏れる。気付けば彼女の頭の中で渦巻いていた
数秒遅れて、ワカモの指が震える。
「……私を……」
彼女は自分の手を見つめる。
「……脅威とすら、認識していない……?」
その辺に落ちている石ころと同じ。いてもいなくても何も影響はない。そう思われている事実に気づいた瞬間。
背筋を、冷たいものが走り抜けた。
これまでワカモは、恐れられる側だった。
自分が姿を現せば、誰もが警戒する。
武器を向け、距離を取り、敵として認識する。
それが当たり前だった。
なのに――。
聖園ミカは違った。
ワカモを敵としてすら見ていなかった。
いや。
それどころか。
存在そのものを認識していなかった。
「…………ふふ」
ワカモの口元が、わずかに歪む。
恐怖なのか。
歓喜なのか。
本人にも分からなかった。
ただ一つだけ、理解できた。
「……なんて……恐ろしい人……」
遠ざかっていくミカの背中を見つめながら、ワカモはその場に立ち尽くしていた。
トリニティを混乱させ、警備を欺き、誰にも気づかれず侵入した。
そんな自分が。
たった一人の少女と、道の角で不意に遭遇しただけで――
指一本、動かすことができなかった。
それはそれとして替えの下着はどこで調達しようか?そんな事を考えながらワカモは早足でその場を後にする。
その場に残った水溜りのような
日刊ランキングに載ってて驚きました。他に先生アンチ作品が無いから珍しいのでしょうか?
それとよく「先生はゲーム上では戦術指揮をして活躍してる!無能扱いするな!」と厳しい評価を頂きますが本作はまずアニメ先生をベースに、それからゲーム先生を混ぜる事でストーリーを作成しております。ご了承下さい。
先生ですがアニメ先生にしようと思ってるんですがどっちが良いですかね?
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アニメ先生でも良い
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好きにすれば良い
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アプリ先生で