トレーナーのSNSを監視して「コバエ」が寄り付いているのを発見しちゃうドリームジャーニー   作:のるどすとりーむ

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第1話

 ドリームジャーニーはSNSを頻繁に使用する。

 中毒者といってもいいくらいに。

「ふむ、今日もトレーナーさんの投稿に異常はなし、っと」

 そして現在、彼女が見ているのは、トレーナーのSNSアカウントである。

 彼のアカウントのフォロワーは約10万人。そこら辺のアカウントよりは人気である。なぜこんなに人気なのか?その問いにたいする答えは「トウィンクル・シリーズに出ているウマ娘が超絶人気であるから」であろう。実際にドリームジャー二ーの表向きのアカウントのフォロワーは約50万。他のウマ娘によっては、100万人もいる。そして、それの補佐役、言い換えられるなら「プロデューサー」として、人気が高いのである。しかしながら、たまにトレーナーには純粋なファンが湧くことがある。特にセイウンスカイのトレーナーなどは女性人気が高く、彼の応援のためにレース場へ赴く人もいるとかいないとか。

 

 そんな人気の高いトレーナーのアカウントであるが、ドリームジャーニーのトレーナーのアカウントは平常運転である。レースの予定やトレーニングの様子を投稿したり、たまにラーメンの写真を撮ったものをファインモーションのトレーナーがすぐに特定するということを繰り返している。

 

 そんな、ほのぼのとした様相を見せるトレーナー達のアカウントであるが、勿論危険も伴っている。例えばカレンチャンのトレーナーは何を間違えたのか、「彼女欲しいよ〜〜。今度合コン行ってみるか」と投稿したのがカレンチャンにバレて「お話」とを食らったことがある。まあ、それについては詳しくは語らない。

 

 そして、ドリームジャーニー、彼女が危惧する危険とはトレーナーに「コバエ」が寄り付くことであった。

「ふむ……」

 ジャーニーは、画面に映る2,3のアカウントをみて、考え込むように顎に手をやる。

(これは、明らかなる「コバエ」ですね。早々に取り除くのが好ましいですが……)

 彼女が対面しているのは、「ガチ恋勢」と呼ばれるアカウントである。いや、ガチ恋をするだけなら、「思想・良心の自由」として日本国憲法として認められているが、最近になり、危ない言動が見られたり、ストーキング、家凸を計画しているような発言が投稿されている。ちなみに、それぞれのアカウントについて詳しく調べたところ「過去にジャーニーのトレーナーに優しくされて、それで一方的に好きになった」という経緯であった。

(まったく、それだけで私のトレーナーさんを取ろうなんておこがましいことです)

 人のことを言えたか分からないようなドリームジャーニーであるが、まずは対処の手法について考え始めた。

 

 

(一番に思いつくのは、それぞれの「コバエ」を虱潰しに「対処すること」でしょうか?)

簡単に言えば、虫除けスプレーで追い払うようなことである。

 

(しかし、それでは少し難しい部分がありそうですね)

 

 チラッと、彼のフォロワー欄を見る。気の遠くなるようなフォロワーの数である。

 

(流石にこの中から「コバエ」を潰すのは難しそうですね)

 

 現在はリストアップできる程度に「コバエ」と定義されるものの把握ができているが、彼のことである。どうせまたどこかで油を売って、危ないファンを増やすに違いないのだ。

 ならば元から対処するしか無い。

いわば「コバエ」が寄り付かないように、部屋の窓を閉め切るようなものだ。

 

 「ならば、することは一つになりますね」

──

後日、かのトレーナーのアカウントから、一件の投稿がされた。

「これからのここの投稿は、ジャーニーもたまに呟くようにします。共同で運営したほうがファンの皆さんをより喜ばせられるかもしれないという彼女の提案です。どうかこれからもよろしくお願いします」

 この投稿は、一般的なジャーニーのファンは歓喜し、さらにトレ✕ジャーニーを掲げる派閥からも黄色い悲鳴が聞こえた。そして、危ないファンは少しずつ鳴りを潜めていった。

──

「これで大丈夫です」

トレーナーのスマホを返却するドリームジャーニー。 

「そうか、ありがとう……にしても面白いことを考えたね」

「トレーナーさんとの日常をファンの皆さんにも共有したかったもので」

「いいね。……でも俺が一緒でいいの?君だけのほうが需要がありそうだけど」

「どうでしょう?……まあ、少なくとも私には需要がありますね」

「そうか……ん?ちょっとまってそれどういう意味──」

 全てを言い切る前に、ジャーニーが、トレーナーの口を人差し指で塞ぐ。

「とにかく、これからは【二人で一緒に】管理をしますから、よろしくお願いしますね?」

「あ、ああ……」

「そういえば、トレーナーさん、今度駅の近くにできたラーメン屋さんにいきたいと仰っていましたよね?」

ドリームジャーニーはおもむろにスマホを取り出す。

「そうそう……あれ?そのことって君には話したっけ?」

「ええ、仰っていましたよ」

「そうか?……まあいいや。そうなんだよね、今度一緒にいかない?」

「是非、行かせてもらいます」

 ニコリと微笑む。

 

 彼女のスマホの画面には、ジャーニーのトレーナーの大本とは別のアカウント、いわゆる裏垢が表示されている。そして、その投稿の人つに

「できたら担当とラーメンいきたいなあ。なんか一緒にご飯食べたい」と書いてある。これはまだ序の口の願望で、過去の投稿には、「すごい願望」などがこっそりと書かれている。トレーナーとはいえ、一般男性だ。そういう願望が一切無いわけではない。

しかし、それが露呈してしまった。

 

 先ほど彼女がトレーナーのアカウントを使ったのは、【そういう目的】もあったのだ。

 

(さて、トレーナーさん。これでもう特定はできてしまいましたよ?ちゃんと、トレーナーさんの【本心】叶えてあげますよ)

 

 彼女に背を向けるトレーナーに対して、ドリームジャーニーは、ニヤリと、笑った。

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