黄金月の時代
褪せ人の長い旅は終わった。試練を乗り越え、目の前には壊れかけのマリカが鎮座している。
褪せ人は、二つのサインに触れる。魔女ラニの青きサインと、金色に輝くそれだ。褪せ人は青いサインの前で跪き、魔女ラニが来るのを待つ。
金色のサインからいち早く、燃えるような金色の壺が現れ、褪せ人に向かって拳を掲げる。そしてマリカの落ちた頭部を、その岩の手で抱き上げ胴体に嵌めた。
金色の壺の手から、金色の炎が放たれ、マリカの体が修復されていく。そしてその肉体が二つに分かたれたとき、魔女ラニがサインから浮かび上がる。
「…すべて、終わったのだな。」
魔女ラニは座った状態で召喚され、金色の壺をちらりと見ると、褪せ人に話しかける。
冷たい月が浮かぶ水面に変わり、それは次第に様相を変えていく。白き光が、朱い花々がただ寄り添い合い、水面は金色へと、彩られていく。
褪せ人の後ろには、たくさんの霊体に、従者が同じように跪く。褪せ人の横にはメリナが佇んでいた。
「全く、私の王なのだがな…。まあ良い。」
魔女ラニは嘆息し、気を取り直して褪せ人に四本の腕を見せる。彼は、魔女ラニの差し出された手に、右腕を伸ばした。
「さあ、共に行こう。…永遠なる、私の王よ。」
褪せ人は彼女の手を取った。また、旅が始まる。
――――――――――
俺は、美しい村の様相を眺めていた。色とりどりの花畑の中で生き壺たちがはしゃぎ、巫子や壺師が壺を作る。大壺の元では、力を求める戦士たちが祈り、何より伝承にある人々が笑顔で暮らしている。
ここに来れて良かった。この夢は覚めず、俺が生き続ける限り続く。
俺は近くに来た生き小壺を撫でながら、近くに座る壺巫女に話しかける。
「俺の望みは叶った。皆が笑顔でいられる、この救いを得られたのだから。」
壺巫女は微笑んで頷く。この撫でている生き小壺も、やがては旅立つ。影の地から、狭間の地へ。そして、更に広い世界へ。戦士の壺は、孤独ではない。温かさを知り、旅の中で会う人々に夢見るのだ。
大きく育ち、そして旅が良きものでありますように。
その旅立ちの日を楽しみにしながら、俺は生き小壺を撫で続けた。
…落ちた葉が伝えている
多くの勇ましき者たちが、エルデの王となった
かつてのデミゴッドたちが、褪せ人が、ただひっそりと生き壺が
霧の彼方、我らの故郷、狭間の地で
金色の豊穣で満たされ、しかし何者も拒まれることはなく
死に生きる者も、しろがねの血も、角付きも
金の月が変わらず、天に輝く
我らが望む楽園は、呼ばれるだろう
黄金月の時代と
メインのお話はこれで終わります。
影の地のサブイベントや、狭間の地での旅、エンディング後の話をこれからは投稿していきます。
皆様、こちらの二次創作を読んでいただき、誠にありがとうございました。