育成好きのパルデア転移   作:四季 雅

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 遅くなりました。

 神による説明回です。

 邪神様の口調をどうするかで大分悩みました。当初はもっとウザさMAXでほぼ全ての語尾にセウスが付いてたりしましたが、これくらいに落ち着きました。



(邪)神との対話(一方的)

 

どうセウス? 愛しき人の子よ。敬愛する神の声が聞けた感想は?

 

 ……。

 

おや? おやおや? 神のこの美声に酔いしれて言葉を紡ぐ事もできないとは……。まったく、素晴らし過ぎるというのも罪でセウスねぇ……フウウゥゥゥゥ……*1

 

 …………。

 

まあそれも当然でセウス。この全知全能たる創造神を前にすれば全ての生物は(こうべ)を垂れ平伏すのが運命(さだめ)。そんな至高の存在ならば声だけでもその威光が伝わるというのが自明の理。今は畏敬の念から有り難みを噛み締めているというのが分かァルセウス

 

 …………な……。

 

それが在るが儘の自然な姿。柳は緑、花は紅ってやつセウスね。神の問いに対し答えられなかったという事に畏縮する必要もありません。そうです、その様も……私は赦しましょう……*2

 

 殴りてぇ……!

 

 なんだ、この……このっ……!!(言葉にできない思い)

 え? 何? アルセウスってこんなんだっけ? 君レジェンズの時と違くない? もっと泰然自若とした態度とか威厳とかさあ! 口調もおふざけとマジなのとで頭ぐちゃぐちゃになりそう……っ!

 分体の方なんかオリジナルがこんな性格だと分かってすんごい複雑な表情してるぞ。

 

 というかマズい。コイツは放っておいたら勝手に自己完結して周りの意見も訊かずに明後日の方向に全力で突っ走って行くタイプだ! 全部自分に都合の良い解釈で!!

 とりあえず止めねば!!

 

『えっと! 説明して下さるということでしたが!?』

 

──不変に普遍な万能神たる……おっと、そうでした。このままセウスの偉大さを話していたら何百年経っても終わらナイセウスからね。愛しき人の子よ、忠言感謝します

 

『あ、アハハ……』

 

それで私に訊きたい事でしたね。まあ訊かれる前から分かってるんでセウスが。ええそうです、神ですから

 

 なんだろう、ドヤ顔やめてもらっていいですか?

 音声だけなのにくっきりしっかり目に浮かんでくるんだが?

 

では先ず転移の件から。元々、ポケモンが好きだって人の子らの中から、良い感じの趣味嗜好や精神の持ち主がいないか探していたのです。此方の世界に良い影響を与える為にね。その時に偶然貴方を見掛けてから狙っていたんでセウスよー。何時か拉……招待しようと思っていましたが、其方(そちら)から行きたいと言ってくれるなんて渡りに船だったでセウスー!

 

『今拉致って言いかけま──』

そして存在をちょっとこねこねしてその身体に変容させたんでセウス

 

 ガッデム! 完全スルー!

 いや存在をこねこねって何? 知らん内に何されたの俺ぇ……。

 神からしたら人権もクソもないってことか……。

 

ちゃんとゲームで使用していた外見通りに仕上げましたが、しかしなんとそれだけではありません。貴方の頭をちょいと覗いてキチンと細かい脳内設定通りの調整をしました。仕事を(こな)すなら、細部まで。いやぁ匠の拘りに顧客も大満足セウスねえ!

 

『ちょっ』

 

 かみは ひとのこころが わからない!

 分体が超えなかったラインを平気で踏み超えてきやがった! えっ、どこまで見られた……? 関係ない恥ずかしいとことかは流石に大丈夫だよな? な!?

 ああっ、分体が項垂れてる……。いや、君は悪くないんだ君は……。

 

更に更に!ポケモン世界に生身で行くのはちょっと……という心配性な貴方にも安心のサービス! なんとその身体、かーなーり頑丈にしてアルセウス! ツボツボ程までとはいかずとも、あのファッキン鈍間巨人の岩と氷の良いとこ取りの防御能力! そして鈍間巨人以上の体力! 並大抵の事じゃ傷すら付きません! これで何も怖がる事無く旅にだって出られるセウスよー! まあその代わり攻撃能力はツボツボ以下でセウスが

 

『おまっ』

 

 え? 俺知らない内に性別変えられただけじゃなくて人間卒業してたの? こんなぷにつやお肌であのクレベースより物理耐久あるってマ? 俺で止まりますってか? やかましいわ。

 “俺に10まんボルトだ!”とかしてピンピンしてるどっかのスーパーマサラ人みたいになったってこと? うわぁ……。

 あとワロスさんをディスってくるなぁ。やっぱ因縁の相手なのかねぇ。

 

なんと更に!ハァ… 困ったなァ まさか異世界に 送られちゃうなんてェ… 神様が期待して見て下さっているみたいだから 頑張って冒険したいけど 元の世界の自分周りが気になっちゃって 全然動けなくてェ…と不安な貴方にも万全のサービスが!

 

 コログ構文やめろ。そっちは別の任天堂作品だ。

 

此方の世界に来ていただいた際に貴方の元の姿に性格・性能その物のコピーを元の世界に置いておきました! 向こうは向こうで何事も無かったかの様にそのままの生活を送る事でしょう。ですので元の世界の事や、貴方がオリジナルなのでアイデンティティのあれこれ等も気にせず此方の世界を楽しむ事ができるという訳です。何この完璧さ……神? そう! 私は神だったでセウスー! タハー!

 

 今度はクローンか……やりたい放題だなぁ。

 向こうでいきなり欠勤扱いとか行方不明とかになってないのはいいけど、相変わらず倫理観にケンカ売ってるわ……。

 確かに元の世界のことを気にはしなくていいよ? でもやり方がもうちょっとなんかさぁ、あるじゃん!?

 

では次。この世界の時間軸等について。丁度貴方の世界で言うSVの本編が始まったところです。ゲーム内の主人公であるアオイがこのパルデアに引っ越して来て、そろそろ最初の3匹の内どれかを選ぶ頃ですね。学校は貴方に合わせてグレープアカデミーですが、生息するポケモンに偏りはナイセウス。どちらのバージョンのポケモンも両方暮らしていますのでバージョン違いで捕まえられないなんて事はありません。他地方もそうなのでパルデア外に行く時も安心です

 

 この世界ではアオイ一人か。ちゃんといて良かった。俺のせいで人格が消されたりいなくなったりしてたら気分が悪いってレベルじゃないからな……。

 ポケモンに偏りがないのもまた良かった点だ。新しい子を迎える時に便利だな。

 んで他地方か。俺は過去作はそんなに詳しくないしやってない世代のポケモンはザッと知ってる程度だ。まあアオイ関連のあれこれが終わってからその時に考えよう。

 あとオーリム博士とフトゥー博士を助けたかったけど本編開始直後なら時期的に時間を戻したりしない限り不可能か……残念だ。

 

次はバトル方式についてです。貴方ももう分かっている様ですが、ここは現実なのでゲームの様なターン制は有り得ません。フィールドをポケモン達が駆け回り、その瞬間瞬間に技の応酬をする……まあアニメ方式と言った方が分かりやすいでしょう。そして実際にそのバトルをした事が無いので不安でしょうが、そこも問題ナイセウス。先程言った通りその身体は貴方が想像し、動かしてきたノルンを基に私が創造した……謂わば貴方が原案、私が製作の共同開発でセウスね。既に経験を積んだ歴戦のトレーナーな訳ですから、それはもう自然に最適な行動をとることができます。経験を身体が覚えているってやつセウス

 

 言い方に引っ掛かるところはあるが、まあこれはありがたいか。

 俺がヘタレたバトルをすれば、どうした? とポケモン達が思うのは必定。俺が育て上げてきたみんなに無様は曝せないし、最強のみんなが下手な指示で下手なバトルをするところはもっと見たくない。

 身体が覚えているとはいえども俺自身が実際にバトルしてみないとな。適当なところで試してみよう。

 

えーっと次はボックスについてです。既に入れ替えはしているので貴方の鍛えたポケモン達がそのままなのは確認しているでしょうが、その他の仕様等々を。貴方が育成を終えた、または育成中や育成予定のポケモンはそのまま再現してアルセウス。貴方同様に経験を積んだ歴戦のポケモンですね。ですがそれ以外の図鑑埋めやらコレクトしてるだけのポケモンは除外しておきました。ただボックスに仕舞われっぱなしではお互いに良くナイセウスからね。そしてボックスの仕様ですが中に入っている間は休眠状態になる様にしました。正確には違いますがコールドスリープみたいなものですね。なので世話の必要もありません。でもたまには出して上げるでセウスよ? まあ貴方なら心配は無いでしょうが。あとボックス内のポケモンはゲームのように才能を見られますので活用して下さい

 

 おお、マトモだ……。いやマジで全部こういう感じで頼む……。

 先程確認した時は気が逸っていていないことに気付かなかったが、図鑑埋めの為に捕まえたポケモンや、配布、レイドのさいきょう◯◯なんかの記念に捕まえただけのポケモンも全て再現されたらえらい数になる上に面倒も見きれないだろう。そもそも100匹+育成中・予定の子達だけでもすごい数だからなぁ。

 休眠も現状ではありがたい。衣食住が整ったらみんな出してあげたいが、今の俺は住所不定無職のヤバ強トレーナーとかいう怪しさの塊。早く何とかしないと……!

 

最後に、貴方に直接的な関係は無いのですがまあこれも説明しておきましょうか。この世界は多元宇宙です。別の時間軸やパラレルワールドなんかが存在するという事ですね。貴方はポケモン世界だけでもウルトラホールやら時空の歪みやらを知っているので理解できますね?

 

『ああ、はい……』

 

 おふざけ語尾がない? 真面目な話か……?

 レジェンズでは主人公やノボリさんは別の時間軸から連れて来られている。先程も言ったが、俺は過去作には詳しくないがウルトラホールが別の世界へ繋がる空間だということは知っている。ウルトラビーストはそこから来た別の世界のポケモンで、たしかリラさんだったっけ? がウルトラホールを通ったFallと呼ばれる人なんだとか。大雑把だがこれだけでも他の世界が存在するということが分かる。ポケモン世界は公式でパラレルワールドが存在する世界観なのだ。

 他にもリメイク作品で話や設定が追加・変更されている場合、リメイク前と後のどちらが正史なのか、とかあったが……まあ多元宇宙ということはどちらの世界もあった、ということなのだろう。

 オタク故にそういうパラレルなんかは理解が早いぞ。というか現在進行形で異世界を味わってるとこだしな……。

 俺の思考が纏まったのを見計らうようなタイミングでアルセウスが『良さそうですね』と再度話し始める。頭まだ覗かれてるようで怖いからやめてくんない?

 

最初に世界を創造した頃は問題無かったのですが世界というのは無数に枝分かれしていく物でして。その全てを管理するのはいくら全知全能の原初の神といえどもできますが手間です。そこで負担を減らせる様に原初の神は自らを分身し増やしました。ある程度の分体を産み出しその分体にそれぞれある程度の世界を管理させ、自らはその情報を取り纏める司令塔となり世界管理は安定しました。つまり大元からすると私は分体でそこに居るのは分体の分体ということですね。長い期間管理する事により分身によって個性が生まれたりもしました。私の様にユーモア溢れる素っ晴らしい神も居れば、熱血で暑苦しい神や機械の様に坦々とした面白みの無い神も存在するセウス

 

 うーん、他の神様ならもうちょっとよかったかなぁ、なんて……。どういう過程でこんな性格になったんだホント。

 しれっと世界や神の構築を教わった件について。自分では処理できないぐらい仕事が増えてきたら人を増やすのは普通のことだが、自分を増やすのは流石神様というか。

 あとちょっと口調崩れてきたな。

 

ここからが本題なんですが、それで貴方を世界移動させようとしたはいいものの私の管理する世界に貴方が望む様な良い感じの世界がなくてですね。既存の世界にあまり手を加えて改変するのも良くはありませんし、あまり知らない世界や望まない世界に送るのも貴方が可哀想です。記憶喪失の身一つで過酷な土地に放り込む様な酷い真似をする鬼畜セウスとは私は違うんでセウスよ。お気にを別セウスの世界に渡すのも癪です。ならセウスは考えました。無いなら創ればいいじゃない、と!

 

『はい!?』

 

いやぁ、ゼロから新しく世界を創ってここまで成長させるのはいくらセウスといえども大変だったでセウスよー。完璧な歴史を辿り、完璧な土地をリアル尺度で再現する至高の職人業。その為に多世界を管理するのに必要なエネルギーを除いて、溜め込んでた分を全部使い込んじまったんでセウス! なんなら必要な分までちょっとはみ出しちゃったでセウスよー。アールアルアルアル!*3 今のセウスは世界管理以外はほぼできないすっからかん! 自由に動ける程また溜め込むには数千年単位で休眠が必要なくらいでセウスねぇ。いいから元の世界に戻してくれなんて言われなくて良かったでセウス。まあ貴方なら言わないと思っていましたけどね。アーールアルアルアルアルアル!!*4 ……テヘッ♪

 

『 』

 

 おおおおまあああええええ!!

 直接的な関係あるじゃんよ!! は!? ポケモンとか身体だけじゃなくて俺の為に全部整えてこの世界創られたの!? いやいやいや(おめ)えってレベルじゃねぇよそんなプレゼント!! 元の世界のことはコピーいるならまあ……って納得したけどそんなんどうでもいいわ! 今までのが“メラゾーマではない……メラだ”ってなるような超特大のやつブン投げてきやがった!

 あっ大変! 分体が息してないの! 助けて!*5

 

さぁて、私からはこんなところでしょうか。ああ、何か質問あれば受け付けるでセウスよ~

 

 いやスパッと終わらせんといてもろて! この後に質問なんか出てこねぇよ!! マジでそんな気にしてない感がエグいてぇ……。

 ……ああいや、もう色々しんどいがこれだけは訊いておかねば……!

 

『あ、あの! 俺はこの世界で何をすれば!?』

 

ああ、特に何も。自由にしてもらって結構です

 

『え?』

 

 思念の中でも裏返った声の問いに対し、神はあっけらかんと言い放った。

 

これを成せ、といった指定はナイセウス。別の世界の常識や(ことわり)を持つ貴方が思う様に生き、行動すればそれだけで他の世界にも影響を与えますので。それに愛しき人の子が自由に暮らす……素晴らしい事じゃないですか。私の暇も潰せますしなので自由にして下さい

 

『いや、でも、この手持ち達ですよ? もし俺が悪の組織に手を貸したり世界の破壊を企んだり──』

しません

 

『──したら、……え?』

 

しませんよ、貴方は。私が直々に選んだ人の子が貴方なのです。そんなくだらない事をする訳がないでしょう?

 

 ゾッとした。そう言ってもらえて光栄だと思うよりも。

 さっきまでのおふざけはなんだったんだってぐらいに、全てを見透かされているかのような声と、自分が選んだ存在が馬鹿なことをする訳がない、と確信している圧力。

 確かに俺自ら悪事を為そうなんて気はさらさらないが……肝に銘じておこう。もしすればどうなることか……。考えるだに恐ろしい。

 おちゃらけた言動が目立つが、やはり多数の世界を管理できるような神なのだ。

 

ああそうです、そんな有り得ない事を想定するよりもです。ボウルタウンの南、これといって特に何も無かった高い岩山の上にちょっとしたプレゼントを用意しておきました。気に入ってくれるはずですので有り難ーく拝領するように。説明に夢中で忘れる所だったでセウスよー

 

『あ、ありがとうございます……』

 

 まだ何かあるのか……。このプレゼントとやらが次なる爆弾でないことを願おう……。

 本当に何も気にしていない雰囲気だ。俺が悪いことをしないというのは確定事項なんだな……。

 

フフフ、信者による心からの感謝の気持ちが染み渡るでセウスねえ! ……ふむ、これくらいですかね。それでは、愛しき人の子よ、神は何時も貴方の事を見守っていますよ……。*6それじゃバイバーイセウス♪

 

 その台詞を最後に繋がっていた何かがプツンと途切れる感覚がした。

 

 

 

 

「…………」

 

…………

 

 色々あり過ぎたけども。とりあえず。

 

『疲れたな……』

 

はい……

 

 俺とアルセウス分体はしわしわピカチュウみたいな顔でしばらく佇んでいたのだった……。

*1
クソデカ溜め息

*2
無駄にクッソ威厳あるボイス

*3
高笑い

*4
更に高笑い

*5
ノルンは こんらんしている!

*6
無駄クソ威厳ボイスその2




さぁて、やることは終わったんで煎餅でも齧りながら見物といくでセウスよ~。えーっとフエンの高級なやつ何処に仕舞ったでセウスかね……(ゴソゴソ)


ノルン
H:120 A:5 B:200 C:5 D:200 S:70
新しい600族だよ! やったね! なお現在は、
わざ:はたく
以上。


 (貴方の為に創ったとはいえ、別にこの世界でただ暮らしていく分には)貴方に直接的な関係は無い。

 ここでいう世界の管理とは創造・維持・統合・削除など。
 分岐し、ifの世界が勝手に生まれることもあれば、アルセウス自ら新しく世界を創ることもあります。ある世界にある世界をくっつける(無い概念を生やすなど)こともあれば、もうどうしようもない世界なんかは削除したりも。
 世界・宇宙の基礎の創造までは普通ですが、今回はそのまま自然に放置・維持して見守るべきところを、時の加速や星の形成や生態系の調整などドチャクソに手を加えて無理矢理望む世界になるようにもっていった為に滅茶苦茶エネルギーを消費しました。世界中全て邪神様の手が入っている訳で、そら分体も力の残滓を感じる。
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