君(キヴォトス)なんかゲームと(雰囲気)違くない? 作: 奥床式住居
カタカタカタカタと打鍵音だけが部屋の中に響く。
その部屋には夥しい書類の山の中にデスクがあり、その上に置いてあるパソコンへ向かって1人の大人の男が向かい合い真剣な顔で作業をこなしていた。
この大人こそが、先日この連邦捜査部シャーレへと赴任してきた『先生』その人である。
まだ赴任してきてから4日しか経って居ないはずだが、彼の目の下には濃い隈が出来ており満足に睡眠を取れていないであろう事が伺える。
先生の仕事をこなす速度はもはや常人のそれではなく、流石は
ふと、見ると時計の針は11時を指しておりもうすっかりどころでは無く当然外は暗くなっている。
「結構遅いけど、夕食はデリバリーにしようかな……」
そしてスマホを開き、アプリで偶然目に止まったカツ丼を選ぶ。配達員が来るまでの時間の目安が画面に表示されたのを確認すると、再び仕事へと戻る。
暫く業務を片づけていると、配達員が到着した旨の通知がスマホへと来たのを確認してセキュリティのロックを解除して、オフィスまで上がって来るのを待つ。
呼び鈴が押された音がしてドアを開けると、そこには薄紫色の髪に赤い綺麗な瞳をした少女がカツカレーの入った袋を持って立っていた。
「こんばんは~。貴方が最近ニュースとかで騒がれてるシャーレの先生。で、合ってます?」
そう問いかけて、頭をコテンと傾ける。
「うん、そうだよ。ところでえっと……」
「ふ~ん、普通のイケメン男先生か……女先生とかオ◯ガとかボ◯ドルドとか色々想定してたけど1番ノーマルなやつか……よっかたぁ」
「……さっきからそんなに私の事を見てどうしたの?」
「いやあ、唯々イケメンを拝んでただけですよ、気にしないで下さい。」
「ゑっ!?イケ「どうぞ、ご注文の品です。冷めない内に食べて下さいね~。」
話を無理矢理遮ってカツカレーの入った袋をこちらへ押し付けてくる。そのままの勢いに押されて袋を受け取る。
「あ、あとこれを。」
そう言って少女は1枚の名刺を袋の中にポイッと入れる。
「君は「それではまたのご利用お待ちしておりま~す。」
また途中で言葉を遮られ、配達員の少女は小走りで階段を降りてゆく。
まあ、袋の中に入っている物がカツカレーという時点で多分本当の配達員である可能性は低いんだけど。
「う~ん、まさに嵐みたいな子だったなぁ。」
あの少女、ことカツカレーちゃんは何が目的で私に会いに来たのか、袋に入れて行った名刺はなんなのか、色々と気になる事や確認する事が出来たけれどもまずは
「取り敢えず袋の中に入ったカツカレーを返しに行かないとな……」
結局お店まで返品しに行った後にエンジェル24で適当なコンビニ弁当を買って食べた。
ちなみにまた徹夜した。
◆◆◆◆◆
「う~ん……どうしよっかなあ~?」
鶴喰トオルは悩んでいた。
現在は夜の11時10分。運び屋の仕事で少し(?)遅れてしまったがシャーレの先生へと会いに来たのだ。
明日の昼に出直さない理由は1つ。”あの”先生の事だ、まだ赴任して4日しか経って居ないけどきっと
鉢合わせる生徒によってはかつて迷惑をかけたことがある生徒かも知れないし、俺の今やってる仕事の内容を先生に知られたら絶対に止められるだろうから。想像しただけで面倒くせー!
だからと言って先生に会わないというのも駄目だ。
俺はこの世界に来てから色々と好き勝手してきた。それはもう色々な人に迷惑を……いや、迷惑程度じゃ済まない事もしてきた。
”俺”という本来はこの世界に存在しないキャラクターのせいでこれから先のストーリーは大なり小なり必ずどこかで
自分の生き方を変えるつもりは無いが、だからと言ってそれによって招かれた
……話が長くなったけど、つまりは生徒が先生と共に居ない状況かつ先生が俺の事をなにも知らない状態で
てな感じの理由があってシャーレの前で張り込んでる訳なんだけど、どうやって中に入ろう……。
『もう突っ込みますか?ここで悩んでいても何も状況は好転しませんよ。』
「分かってるって……でも突っ込むのは流石に馬鹿だろ。お前さあ本当に神を再現する為に作られたAIなの???脳筋過ぎない???」
『失礼な!これでも私はれっきとしt』
バッとスクラップのスピーカーを抑えて、口を紡がせる。
「あの配達員、シャーレに何か届けようとしてる。」
バイクに乗ったロボットが、シャーレの前でバイクを停めて後ろのボックスに入れてある荷物をガサゴソと漁っている。
「そうだ!アイツの荷物を奪って配達員に成り代わろう!よし、かんぺきー!いけ!スクラップ、《たいあたり》!」
『りょうかい!フルスロットルで行きますよォ!』
その後は仕事でたま~に使うスタンガンとかでビリビリしたり、スクラップで配達員を10m位吹っ飛ばしちゃったり色々あったけど上手くいった。
「じゃあ俺はデリバリーの配達員のふりをして先生に会いに行ってくるから、スクラップはここで待っといて。」
『分かりました、何時でも逃げられる準備をしておきます。』
「よし、行ってくる。」
そこからはさっきも言ったけど俺のかんぺきー!な作戦のお陰で先生に全く怪しまれる事無く事を終わらせられた。は?思っきしバレてた?お前のような勘の良いガキは嫌いだよ。
なにはともあれ、これで自然に本編ストーリーに介入出来るな!……多分、きっと、メイビー。
トオルのあざとい頭コテンは完全に無意識です。恐ろしや、ロイヤルブラッド……