もしも『アイ』ではなく『アクアとルビー』が殺されていたら…   作:あえch

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誰かの為に、星の形が変わっても

 

 

 

 

 

 

「アイ君、久しぶりだね」

 

「鏑木さん、お久しぶりです…」

 

芸能界に長く籍を置く二人の静かな戦いが幕を開ける…

 

 

 

 

 

「えぇ!?あの番組鏑木さんがプロデュースしてたの!?」

 

「まぁね、君がドラマの番宣してるの端で聞いてたよ…」

 

鏑木さんがグラスを回してお酒を口に含む…

私はその姿を尻目にゆっくりと本題に入る…

 

「実は鏑木さんにお願いがあって…」

 

監督と話したあかねちゃん炎上消火の条件一つ目は…

 

『今ガチのプロデューサーと連絡を取れてお願いが出来る関係であること』

 

「今ガチのプロデューサーって鏑木さんですよね?」

 

「ふふっ、そうだね…」

 

プロデューサー…鏑木さんと連絡を取る必要があるのは、あるお願い事をするため…

 

「今ガチの一部の動画と名義使用の許可…後、著作権ください!」

 

「…なるほどねぇ…」

 

鏑木さんは顎に手を置きながら察したように口を開く…

 

「最近アイ君とあかね君仲良いもんね…やりたいことは炎上の緩和と消火かな?」

 

隠してもしょうがない…私は大きく口を開いて…

 

「やっぱり鏑木さんには隠せないなぁ…正にその通りって感じです…」

 

困り顔の私に対して鏑木さんは…

 

「炎上の消火ね…方法は僕が言っても良いのかな?」

 

悔しそうに唇を尖らす私とは対照的に淡々と言葉を並べて行く…

 

「単純だけど凄く合理的な手だ…あかね君が故意で傷付けたのではないという証拠とそれを使えるようにする名義…

これらを借りる為のプロデューサーとの関係性…」

 

ここまでは鏑木さんの言う通り。しかしこれだけでは…

 

「だけどこれだけだと問題が生じてしまう…そうだろ?」

 

「…完全にバレちゃってるなぁ…そうなんですよ、その問題は…」

 

『作った動画を何処にアップするか』

 

「今ガチ公式Twitterかな?…動画の出来によってはある程度炎上は消えるだろうけどね…今ガチの最終回から時間が経ってるからねぇ…」

 

鏑木さんは再度お酒を口に運ぶと楽しそうに…

 

「でもアイ君ならこの問題も解決出来る、そうだろ?」

 

この答えこそ炎上消火の条件二つ目…

 

『世間に圧倒的な影響力があること』

 

「怖いぐらい鏑木さん察し良いんだよなぁ…動画の使用許可と名義だけじゃなくて著作権が欲しいのもそれが理由で…」

 

「著作権が無いとアイ君のTwitterやYouTubeには投稿出来ない…君のSNSはそこらの公式よりフォロワーも登録者も多いからね、これなら影響力の問題も解決するわけだ」

 

方法は伝えた。後は実践するだけ…あかねちゃんの為に、そして私自身の為に…

 

「鏑木さん?…その…ダメですか?」

 

不安そうな私に返ってきた言葉は…

 

「…厳しいね…」

 

希望はあっさりと斬られる…

監督も無理だと話していた。その理由は…

 

「…あはは…見返りが無いってことですかね?それなら今度鏑木さんの番組出ますからっ!お願いです!」

 

私の奥の手…恩を番組出演で返す…でも根本的に違った。理由は見返りの有無なんかじゃなかった…

 

「見返りか…それも有るけどね…結論から言うと少し違うかな?今ガチの権限を渡さない訳は…」

 

『星野アイが大きくなりすぎたから』

 

「これに尽きるかな…」

 

大きすぎる?よく分からない…存在が大きければ大きいほどお金だって入ってくるのに…

 

「なんで…大きすぎるってどういうことですか?」

 

素直な疑問を口にしていく…

 

「…せっかくだし説明しようか。君が何処まで本気かは分からないけど例えば君を僕の番組でしか出演出来ないよう契約するとしよう…要するに星野アイの独占さ」

 

「…今の私結構本気ですよ?」

 

私の真剣な眼差しに鏑木さんは笑って…

 

「例えの話だよ…でも出来ない。それは君が大きすぎるから…今の芸能界はアイ君を様々な番組、プロデューサーが分け合う形で成り立ってる…その均衡を僕ごときが崩せないってことさ」

 

…話が長くて分からなかった…

 

「要するにどういうことですかね…?」

 

困り顔の私に鏑木さんは一瞬ズッコケて…

 

「要するに君が僕に恩を返したいと思っても難しいということだよ。僕が新しい発見をしたいっていうこともあるけどね…」

 

「…」

 

少し難しい話だけど答えは理解出来た。至極単純で悲しい答え…

 

「…あはは…やっぱりダメかぁ…」

 

監督の言った通りだった…カードが揃っててもそれは悪魔で『可能性』の話…

私にはあかねちゃんのことを守ることなんて出来ない…

…そしてアクアとルビーのことも…

 

絶望に打ちひしがれる私を救うのは神様…否、悪魔だったのかもしれない…

 

「という感じでアイ君には伝えようと思ってたんだけど…少し状況が変わってね。聞くかい?」

 

机に突っ伏していた私は勢い良く頭を持ち上げて…

 

「お願いします!」

 

「数日前、有馬君と少し話してね…」

 

(有馬…って誰だっけ…?)

 

「まぁ、内容は省くけどね。彼女とビジネスの話をしている内に僕も気が変わったんだよ…」

 

私でも分かる…流れが良くなってきた…

 

「これから言う二つの条件を呑んでくれたら著作権もその他諸々全部あげよう」

 

「来たぁ!鏑木さんありがとうございます!」

 

右手を持ち上げて喜ぶ私を見ながら指を出して…

 

「一つ目は動画を出してから一週間で削除すること」

 

「3日で十分っ!」

 

上機嫌になった私は胸を張って耳を傾ける…

 

「二つ目は動画による利益の70%を今ガチ公式に支払うこと」

 

「100%でも大丈夫ですっ!」

 

一つ目の理由は分からないけど、二つ目はお金か…

正直もっと酷い条件かと思ってたから拍子抜けだなぁ…

 

「身体売れとか言われるのかなって思いましたよぉ…」

 

「ははは、それこそ僕が芸能界から消されちゃうね」

 

ガッツポーズをしながら帰宅の準備…1秒でも早く監督に報告しようとした時だった。

 

「…僕からの条件は以上だけど彼女からの伝言が一つ…」

 

「伝言…?」

 

「それはね… 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鏑木さん…星野アイの『初めて』プロデュースしたくないですか?」

 

「…アイ君の初めて?」

 

有馬かなが発したのは星野アイの弱点が露呈する…

 

「星野アイが今ガチについて言ってきたら伝えてください…」

 

「…」

 

「本気の勝負…楽しみにしてるって…」

 

 

星野アイの初めて…露呈する弱点とは…

有馬かなが置いた餌は罠となって…

 

 

 

彼女に襲い掛かる…

 

 

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