もしも『アイ』ではなく『アクアとルビー』が殺されていたら…   作:あえch

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衝撃の決意 物語は、次なる地へ

 

 

 

 

 

 

終わる、終わってしまう…

『東京ブレイド』の幕引き…

今思えば、色々あったなぁ…

 

ブレイド、ツルギ…匁、キザミ…

そして…鞘姫と刀鬼…

お辞儀をして、大きな拍手に包まれて終わっていく…

 

笑顔で…手を繋いで…

幸せに包まれて終わっていく…

 

私は、あかねちゃんにお姫様抱っこされて…アクアの顔を見つめて…決心する…

 

確かに存在する物…幸せが光る未来の為に…

 

 

 

 

「終わった〜!」

 

「疲れたー!」

 

舞台衣装から着替えて、役者からアイドルへ…

 

「あかねちゃんにお姫様抱っこされてびっくりした〜…重くなかった?」

 

「全然重くなかったです!…寧ろ軽すぎて心配でした…」

 

「あかねちゃん、お母さんみたいだね〜」

 

お母さん、家族…

自分で言ったのに…何故か引っかかる…

だけど、私は…笑顔だけは崩さない…

 

「それじゃあ、私いっぱい食べる!…飲み会行くぞ〜」

 

星野アイの言葉に、騒がしかった楽屋が一瞬で静まり返る…

その理由は、もちろん…

 

「ほ、星野さん来るの!?…ちょっと!良いところ予約しないと!」

 

「あかね!…何処なら予約出来る!?」

 

「えーっと…当日の団体だと…焼肉屋ぐらいしか…」

 

「…焼肉屋…星野さんがせっかく飲み会来れるのに…」

 

超一流アイドルに相応しいお店を探して、皆が奔走する…

彼女の姿から忘れてしまうが、天才の肩には…とてつもない実績と尊敬が詰まってる…

 

「え、、、大丈夫だよ!…焼肉食べよ?」

 

しかし、星野アイはそんなこと気にしない…

鈍感で、嘘吐きで…誰よりも痛みを知ってて、優しい…それが彼女の良いところだ。

悲しみを超えようと…磨き続けた物だ…

 

「…かなちゃん、来る?」

 

行き先が決まったところで人数確認…

有馬かなは、自身の赤い髪に触れながら…

 

「ま、まぁ…迷惑かけたし…星野アイに日本酒ぐらい注いであげるわよ…」

 

「かなちゃんから酒注いでもらえるなんて最高だね〜」

 

「…アイさん、おじさんみたい…」

 

…ツッコミだらけの会話…

焼肉屋に日本酒はあるのだろうか…

しかし、そんな疑問なんてどうでもいい…

仲良く、皆が笑顔であれば…それで…

 

「姫川さんも来ますか?」

 

「あぁ、行く。おっさんも来る?」

 

「…おっさんが居たら気を遣うだろ、若者だけで楽しんでこい」

 

「…いや、星野アイが来る時点で気遣うの確定だろ…おっさん自惚れんな」

 

「姫川…俺なりの配慮を無駄にしやがって…」

 

「…ふふっ、金田一さん論破されてる…」

 

二人の会話に、皆が笑う…

楽屋中に幸せが広がっていく…

幸せの欠片…繋げることが出来れば、きっと…

 

「よーし!飲み会レッツゴー!」

 

過去じゃなく、未来を見て…

星野アイの道が『嘘』以外の光を纏う…

その正体は分からないけれど…この時、確かに…本物の何かが皆を照らしてた…

 

 

 

 

 

 

 

「…結局、星野アイ帰っちゃったわね…」

 

「まぁ、忙しいだろうしな…」

 

ざわざわする飲み会の場…

これからなのに…消えてしまった天才…

 

「…別に、私は良いんだけどね…姫川大輝、アンタと話したかったから…」

 

焼肉をジャンジャーエールで流し込んで…

姫川大輝に物申す…

 

「星野アイはそんなに悪い人じゃないと思うわ…だから、言いたいことあっても…あんまり悪口は辞めときなさい…」

 

キョトンとする姫川…

時間をかけ、やっと理解する…そういえば、有馬には言ってたな…

 

「いや、俺の聞きたいことは時間かけてゆっくり聞くから良い…嫌いとかじゃないしな…」

 

「あ、そうなの…」

 

「お前の方が悪口言いまくってたからな…聞きたいことある…だから、悪口言うってどんな解釈だよ…」

 

この言葉に、有馬かなは気まずそうに目を逸らして…

 

「…わ、私のことは良いのよ!…別に、もう恨んでないし…」

 

気まずさを掻き消すため、少女は更にゴクゴクと喉を鳴らす…

酔ってもいないのに陽気になって、楽しくなって…

 

「星野アイに次会ったら!ちゃんと謝るから!」

 

そんな誓いの言葉を…未来へ…

過去を精算して、幸せに生きるために…

 

「…あの子にも、謝ろうと思ってたんだけど…」

 

星野アイの他にもう一人…飲み会から消えた女の子…

先に誓いを立て、天才を救おうとした女の子…

 

「…アイさん…」

 

最後は、やはり…

 

「あかねちゃん…分かってるよ…」

 

天才同士の一戦…

時を超えた第二ラウンド…救って、救われる道へ…

 

 

 

 

 

 

 

私は、あの日…台風の中、外に出た…

歩道橋を登って、手摺りに手を掛けて…死にたいって絶望して…橋から飛び降りた…

痛みなんて感じられないほど辛かった…

 

だけど…そんな苦しみがあったからこそ、ここまで来れた…

 

「…アイさん、私なら…あなたの道を作れる…」

 

「…」

 

あなたに…星野アイに救われたからここまで来れた…

 

「勝手に詮索した私を嫌いになっても良いです…だけど、自分自身の気持ちには嘘を吐いて欲しくない…」

 

アイさんは、私の言葉を受けて…笑ってた。

ベランダで話した時は…涙を溢していたのに…

美しい笑顔が、言葉を放つ…

 

「…あかねちゃん、私の言葉…覚えてる?」

 

「はい、もちろん…」

 

言うまで、言えるようになるまで待っていて欲しい…

私は了承したのに…踏み躙ってしまった…

 

「アイさん…私…」

 

黒川あかねの言葉は、遮られる…

否定的な言葉は…言わせない…

 

「私、今…あかねちゃんのこと凄く好きになってる…」

 

「…」

 

好きになる…なんで…

私は、あなたとの約束を破って…辛い過去を掘り起こしたのに…好きになる要素なんて、何処にも…

 

「…でもね、好きの種類も変わってるの…」

 

天才は、今まで…救ってくれる存在を娘のように感じていた…

だけど…今は…

 

「娘じゃなくて、戦友…あかねちゃんとなら、未来を掴めると思ってる…」

 

「アイさん…」

 

アイドルと役者…違う人間だからこそ、救える…

そんな理論を証明してみせた…

 

「あかねちゃんは勝ち取ったんだよ…私が言いたくなる未来を…」

 

天才の背中を照らす夕日…未来を祝福する、そんな光…

 

「あかねちゃん、私と…」

 

普通なら断る願い…

天才から天才へ…この言葉を…

 

「一緒に…地獄に堕ちてくれる?」

 

この言葉に、黒川あかねが口を開く…

もし、賢い男の子にお願いされていたら…即答していたのだろう…

この言葉を…迷いなく…

 

「…はい、堕ちます…」

 

黒い言葉の筈なのに…白く光って…

天才を救うために…自らを犠牲にする覚悟…

 

「…即答だね…考えなくて大丈夫?」

 

「寧ろ、待ってましたから…」

 

言葉に似合わぬ笑顔…

二人で笑い合って、復讐へ…

全てを…戦友へ…

 

「じゃあ、始めるね…何処から話そうか…うぅーん、そうしたら…ドーム公演から話そうかな…」

 

出来事、日付け…思い…

包み隠さず…呟いた…

 

愛情を知って、愛情が消えて…ドーム公演が辛くて…成功して…

辛い過去を…見つめて…

 

初めて、口から溢した…

苦しみ、苦しみ、苦しみ…

絶望、絶望、絶望…

 

そして、希望に満ちた思い出…

 

長い旅を話し終わった時、私は笑ってた…

開き直った笑いじゃない…確かにある未来を…楽しみにしてたから…

 

 

 

「今までのことは、こんな感じかな〜。今したいことは…アクアとルビーを殺した奴を殺すこと…これだけが私の生きる糧…でも、どうすれば良いか分からないんだよね…」

 

「…なるほど、そうですね…そうなると、アイさんには『あれ』が明らかに足りないと思います…」

 

星野アイに足りない物…

才能、お金、名誉…全て手に入れていると慢心していた彼女の盲点…

 

「あかねちゃん、私の足りない物って…?」

 

「アイさんには『時間』が足りないと思います…忙しいからしょうがないけれど…」

 

殺人犯でも、壊れた人間でも…1日は、24時間…

これが、星野アイに足りない物…

 

「…うーん、時間かぁ…そうだ!良いこと考えた!」

 

「…良いこと?」

 

彼女の答え…天才の答え…

復讐に燃える彼女の言葉…嫌な予感しかしない…

 

「…私、星野アイは!…」

 

アイドルは、口でドラムロールを鳴らして…

降ってきた言葉は、黒川あかねに…世界に激震を走らせる…

 

「アイドルを引退します!」

 

「…え?」

 

夜空を駆け巡る、衝撃の決意…

未来は必ずある…捨てなければ…絶対に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、アイさんから貰った事件の資料…何か違和感があるんだよなぁ…」

 

新聞、雑誌…

天才から貰った物を見つめる黒川あかね…

 

「犯行は計画的じゃないのに捕まってない…自宅の特定が出来るレベルの犯人だったら、もう少し上手くやりそうだけど…」

 

手掛かりがあれば、真実に辿り着く…

戦友は、本当に強い…

 

「アイドルの自宅を襲撃…なんで、子供を殺したの?…犯人は…アクアくんとルビーちゃんがアイさんの子供だと知ってた?…」

 

しかし、知れば当然…浮かび上がってくる…

恐ろしい真実が…音を立てて…

 

「あかねちゃん、私ね!神木ヒカルって男の子が大好きなんだ…本当に、愛してる…」

 

笑顔で話してくれたアイさんの言葉…

少し火照った頬が、私の脳を支配する…

 

 

「なんで、なんで…アイさんばっかりこんな…」

 

 

未だ推測…しかし、可能性は一番高い…

 

 

「アイさんは、知っちゃいけない…」

 

 

覚悟していた代償…あまりにも大きい断罪…

 

 

「知れば…知ってしまったら…アイさんは…」

 

 

絶望に浸される星野アイ…

黒い星を浮かべて…一番星が堕ちる…

天才の鼓動が、終わる可能性…

 

 

「壊れる…絶対に…」

 

 

天才、狂信者、戦友…

物語は、『未来へ』…

真実が詰まる…新たな絶望の地へ…

 

 

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