輝く星と夢がない少年 作:多音
若菜さんの用事も終わり全員で帰ろうとしたら、若菜さんと米女さんが話し合う場所が僕らの帰路だったようで隠れるように言われたのです。まぁ、どうなるか気にはなりますが何でこうもことごとく帰る時間が遅くなっていくのでしょうか……。
「なに?」
「どうするのか、腹割って話そうと思ってな。それを望んでる奴も居るし丁度良い機会だろ?」
はい、望んでる奴というのは僕の事でしょうね。これを僕らが聞いてるのバレてたりしませんですよね?
「……望んでる人っていうのは気になるけど、それは今置いておく。メイは、素直になるべき。スクールアイドル部の人はみんな良い人……マネージャーの坂本君も凄い良いマネージャーだった」
「私の事じゃねぇよ!お前の事だよ!」
「私は1人の方が好き、一緒に居てなんて頼んだ覚えは無い。新設校だから部が無くなる事は無い……だから心配しないで早くスクールアイドル部に行って」
「だから言ってるだろ!私は向いてないって……!」
「だったら科学室にも来ないで」
「えっ?」
「興味も無いのに、いつも居られるとむしろ迷惑」
はぁ〜……。こういう言い方をすれば喧嘩になりますですし修復が難しくなっていきますのですよ?若菜さん自身はそれも覚悟なのかもだけど、米女さんは傷ついてしまいますのですよ。
「ねぇ、雰囲気まずくなってない……?」
「ど、どうするの……?やっぱり止めた方が良いのかなぁ……?」
「と、止めるべきデスよ……すみれ止めてきてくだサイ……!」
「私にも無理よ……!」
「皆さん騒ぐとバレてしまいます……!」
「そ、そうっすよ〜……!」
きな子達もこの険悪な雰囲気に慌てふためく。自分はこの状況からの最善の行動を考えるが、これは仲裁に入った方が良さげな気がするのです。というか冷静さを失いかけてる2人にこれ以上話させても良い結果は生まないのです。
「はいはい、2人とも一旦落ち着いてなのです」
「な、お前……聞いてたのかよ……」
「坂本君……」
「聞いていましたですよ。2人が自分の気持ちも伝えきれてないのに興奮して喧嘩になりかけてる所もしっかりとね」
「そ、それは……」
「こういう事にならないためにしっかり話し合うように伝えたのに……これじゃあ、お互いに言いたい事伝えられてないのでは?」
「お前に何が……!」
「2人の事は分からない事が多いかもしれませんですが……このまま話合わせるより、もう一度ちゃんと話し合う方が良い事くらい関わりが浅い僕ですら分かるのです」
「うっ……」
「……」
関係のない僕が入ったんだから米女さんが反論しようとする気持ちは良くわかるし多分、首を突っ込むのが間違いなのかもしれないですが、この2人にはきな子関連でお世話になりましたですから出来るだけ助けてあげたいと思う訳なのですよ。
「勝手に話に入った詫びとして、また話し合う場を僕が用意しますですから、その時は2人とも伝えたい事をしっかり伝えるのです」
「……」
「若菜さんもそれで良いですか?」
「分かった……」
米女さんは僕が話に入った事を不服そうにしていたがこのまま話をしても伝えたい事を伝えられないのを分かってきたようで、不満そうにはしながらも黙ってその場を去って行ってしまった。若菜さんも再度話し合う事で納得したようなので僕も先輩やきな子の元へ戻った。
──────
「リョー、分かってマスよね?」
「何がなのです?またなんかやっちゃいました……?」
「何がなんでもあの2人を仲直りさせてくだサイ!多少の暗躍は可可が許可しマス」
「可可さん!後輩に暗躍させようとしないでください!」
「暗躍とかどっからそんな言葉を覚えてくるのですかこの先輩は……」
「涼君は裏で気づかれずに動くのも得意っすからあながち間違えてないんすよね……」
帰り道に可可先輩が僕に暗躍してでもあの2人を仲直りさせてこいと言ってくる。もちろん恋先輩に注意されましたですがそんな言葉覚えてくるのか気になりますのですよ。
「だってゴールデンルーキーデスよ?スクールアイドルへの愛は疑いようがありません!!」
「がっつくな」
「がっついてなどいまセン!」
可可先輩は人数が増える以上に自分と同じ位にスクールアイドルが好きな米女さんをLiellaに迎え入れてスクールアイドルの話をしたいのでしょうね。まぁ、すみれ先輩の言うようにがっつき過ぎではありますですけどね。
「向いてないって言ってたね……」
「ちぃちゃん?」
「やってもないのに無理って諦めてた!」
千砂都先輩は向いてない発言に思う所があったようなのです。
「確かにやれるって思えば出来る事だってありますですもんね……」
「みんな!聞いて欲しい事があるんだ」
「ちぃちゃん?」
「どうしたんすか?」
歩みを止めて大きな声で僕らに呼び掛ける千砂都先輩。突然の事にみんな不思議そうな顔をしているのです。
「私……部長やってみようって思うんだ!」
「ちぃちゃん……」
「迷惑をかける事もあるかもしれないけど、涼君が言ったように出来るって思ったら出来る事だってあるんじゃないって思ったんだ……」
「素晴らしいチャレンジャー精神デス!」
「きな子は、先輩にどこまでも着いて行くっす!」
「もちろん僕が部長のサポートをしますですよ」
千砂都先輩が部長になる決意に僕らも歓迎する。千砂都先輩はリーダーに向いてると感じてましたですからLiellaの今後は安泰って奴なのです。
「みんな……ありがとう!これから頑張るね!」
千砂都先輩だって部長になる決意を固めたのだから、僕も覚悟を決めて2人の問題を解決しなければならないですね……。
──────
「それで、スクールアイドルをやらないのですか?」
「私は絶対にやらないからな……」
部活動会議が行われた日、1人でベンチに座ってた米女さんに僕は声を掛けた。一応聞いてみたがスクールアイドルを始めるつもりはないようなのです。まぁ今の所はですけどもね。
「理由を聞いても?」
「分かるだろ……この顔だしこの性格だぞ……どう考えたって向いてないだろ」
「やってもないのに無理とか決めつけてはダメなのですよ」
「うるせー!」
向いてないと決めつけてる米女さんに先輩達が言いそうな言葉を掛けてみたが、若菜さんの事が心配なのか再度拒否反応を示されてしまう。
「やっぱり、若菜さんが心配なのです?やっぱり一緒に居たいのですよね?」
「……そんな事、大体アイツは1人が良いって……私は邪魔だって言われたんだぞ?」
「はぁ〜……長く一緒に居るのにそんな事も分からないのですか?」
そのまま受け止めてしまうとは、お互い不器用だとこういう事が起きてしまうのでしょうか?あれが本心じゃないのは自分でも伝わってきたのですが……。
「何が言いたいんだよ……!」
「仲が良いから、大事だからこそここまで言えるのだと僕は思うのです」
「そんな訳が……」
「あのですねぇ、本当に米女さんの事を思ってなかったら、あそこまで積極的に動きませんですし気にかけたりなんかもしないのですよ」
「あっ……」
言葉のダメージが凄くて伝わってなかったみたいだが米女さんのために動いてきた事は事実であり体験入部した行動力や、部に行かせるために拒絶するような発言をするのは、友達のためとはいえそう簡単に出来るものではないと思ったのです。
「まぁ、お互いに不器用だから伝わりにくいかもしれないのですが、僕は2人には僕やきな子のような長い時間で築いた絆があるように感じますのですよ」
「何を言ってんだよ……!///」
「どうかしましたですか?」
「なんでもねぇ!!」
顔を赤くしてしまう米女さん。友情の絆が固い事を伝えたかったのですが……。
「若菜さんも同じように感じてると思いますですよ?」
「四季が?」
「スクールアイドルの体験で、若菜さんは続けるかどうか悩んでるように感じましたのです。若菜さんも本心では……」
「四季……!」
米女さんも何かを決意したようで走り出す。これはもう心配無さそうなのですよ。
「涼君!あの2人は上手く行きそうっすね!」
「あぁ、きな子見てましたのですか?」
「うん、途中から聞いちゃってたっす。ごめんなさい」
米女さんが若菜さんの元へ走って行ったのを隠れてというかたまたま見ていたきな子に声を掛けられる。別に聞かれても良いのですが、きな子との絆も例に出したので少し恥ずかしいのです。
「それに涼君から嬉しい言葉も聞けたしきな子は凄く嬉しいっす!」
「まぁ、最高な幼馴染だと思ってますですよ……言葉にするのが恥ずかしいだけで……」
「涼君!きな子も涼君が幼馴染で幸せっすよ〜!」
「なんで抱きつくのですかこの幼馴染は……」
やっぱり聞かれていたようで満面な笑みでその事を話すきな子。僕もいつも思ってる事をきな子に伝えたら抱きついてきましたのです。きな子は犬かなんかなのでしょうか?お互い相手と過ごせて幸せな関係は幼馴染でも親友でも貴重なのだと僕は思うのです。
──────
そして次の日の練習にはもう2人の姿があった。もちろん入部したからなのですが昨日は入部した事に僕らは大喜びだったのは言うまでもありませんのです。そういえば部室に行く前に1年生でこういう事がありましたのです。
「四季とスクールアイドルをすることが出来るようにしてくれてありがとうな」
「このままメイと喧嘩したまま1人で過ごすと思ってた私に、またメイと一緒の活動が出来るようにしてくれて感謝してる」
「米女さんと若菜さんは仲が戻って僕も嬉しいのですよ」
「……なぁ、これからLiellaとして一緒に活動していくんだし名字じゃなくて名前で呼び合わないか?きな子、涼」
「それが良いと思う」
「それ良いっすね!四季ちゃんにメイちゃんこれからよろしくっす!」
「メイに四季よろしくなのです!」
新しく始まるLiellaで一年生は名前呼びにする事で結束力を深まっていくと僕は思うのです。四季とメイが加わったLiellaがどうなっていくか楽しみなのですよ。
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