輝く星と夢がない少年 作:多音
無事に目的地が分からなくなった僕ときな子は春なのに暑い原宿をただただ歩き回っていた。
「東京はなんでこんなに暑いんすか……?溶ける……」
「こんな事位では溶けはしませんですが……。北海道とは比べ物にならない暑さなのです」
「しかしここが天下の原宿!ヒルス族」
「どっからヒルス族が出てきたのですか……」
きな子は暑さで抜けた発言を連発するし自分もぐったりしながらもツッコミし続けるというある意味地獄の道中である。
「きな子と涼君の家はどこっすか……?」
「なんか一緒に住むみたいな言い方に聞こえるですけどアパートの部屋が隣なだけなのですよ……」
バテバテになりながら外でこんな会話をしているので周りからの視線が痛い。だが暑すぎてそんな事どうでも良くなってきているのです。
────ー
その後も原宿の道・犬の銅像・なんか高いビルと歩き回るが一向に目的地が分からない。なんか観光してるみたいに聞こえるかもしれないが僕達は真剣なのである。きな子なんか『ここは……。ここは……。ここは一体どこっすか〜!!!!!!!』と大声で叫んで居たくらいだ。
「きな子……。日陰がある建物があるから一回ここで休むのです」
「分かったっす……」
なんか良い感じに日陰がある神社を見つけたので体力回復とお賽銭でも入れる事に僕はした。きな子が賽銭入れるかは知らないのです。
「はぁ……!くたびれたー!」
「同意するのです……」
「な、なんとしても家に辿り着かねば」
「原宿広すぎるのですよ……」
2人して神社でへばると言う罰当たりみたいにも見えるがお賽銭入れるから見逃して欲しい。
「はぁ……。涼君」
「なんなのです?」
「素敵な神社っすねー」
「確かに」
──────
「「はぁ……」」
休憩も終わりまた終わりなき住居探しに歩いていた。
「もしかして」
「ん?なんかあったです?」
きな子が急に立ち止まり一人事言い出した。ついにおかしくなったのかと感じつつきな子に続きを促す。
「間違いない!きな子達が通う高校っす!」
「でかしたのですきな子!」
なんと奇跡的に僕たちが明日から通う高校に辿り着いたのである。もう住居は近くという事なのです。
「素敵な高校っすねー」
きな子は感動してるが僕は後ろの赤髪のお団子頭がぶつぶつ言ってて怖すぎるのです。
「ふ、ふふふ……しゅ、しゅごーい!あの屋上にLiellaがLiellaがぁぁ……!」
なんなのですかこの人は……。きな子と同じ制服を来ているからこの学校の生徒という事なのですよね。
「Liella?」
「ハッ……! ぬぁに見てんだッ!?」
「ひぃっ!? す、すまないっす!!」
「ふん!!」
睨みながら怒ってる去って行く赤髪の子。ようやく分かった彼女は何かを推してるオタクという奴だ。この学校にはオタクが出来るような活動でもあるのだろうか。
「きな子なんかしちゃったっすかね?」
「あまり気にしない方が良いのです」
堂々としてるオタクじゃなくて隠れて推したいオタクな筈なのでこういうのは見ないふり知らないふりがいい気がするのです。
「屋上の方で声が聞こえないっすか?」
「なんかの掛け声みたいだし部活だと思うのです」
「勝手に入って大丈夫っすかね〜?」
「んー?明日からここの生徒なので大丈夫な筈なのです」
正直言って部活終わるまで待って送って貰った方が家に着く気がするのです。
「このままだとまずいっすし入るしかないっす!」
きな子と僕は校内に入り屋上ヘと目指すのだった。
──────
「じゃあここからフォーメーションの確認するよ?」
屋上への階段を上りきるかという所でフォーメーションという言葉が聞こえた。
「フォーメーション?運動部なんすかね?」
「屋上でやる運動部でフォーメーション……ダンス?」
「おぉ!!ダンスっすか!!」
「まだ決まった訳ではないのですけどね」
「いや涼君の勘が外れた事なんか10年以上一緒にいるのに見たことないんすからダンスっす!」
なんか謎の信頼をされているのですが。入り口で覗くと本当にダンスをしていた。
「ほら!やっぱりダンスだったっす!それにしてもキラキラしてるっすね」
「確かになんかただのダンスではないような気がするのです」
きな子は踊っている恐らく先輩の姿を見て感動しているようで前のめりに観察している。そうなるとどうなるかそれは……。
「はにゃぁっ!」
ドアが開きますのです。僕は一応後ろの壁に寄りかかっておく。幼馴染を見捨てる気も起きませんですしね。
「しまった……」
「貴方は?あ、もしかして新入生!?」
「あ、えっ、え~っと……はい……」
『わぁあ〜!!』
きな子の返事にみんな顔を輝かせている。
「後輩!?後輩デスよね!?かわいいデスぅ〜!!」
「ちょっ……待ちなさいよ!なんであんたが先に話掛けてるのよ!?」
「まずは生徒会長の私が……!」
「はわわわ……」
きな子は壁の方に後退りしながらびびっている。まぁ金髪の先輩、留学生っぽい先輩大和撫子の雰囲気の先輩の圧は凄いものである。
「もしかして、スクールアイドル部に入部希望?」
「えっ? スクールアイドル……?」
スクールアイドル……。アイドル……。オタク……。Liella?。
「だって新入生でしょう?スクールアイドル部はれっきとした部活だよ!」
「は、はぁ……」
なんか先輩達が興奮して入部希望だと思われてるなこれは。きな子は僕の方に助けを求めるような視線を送るが僕にはどうする事も出来ない。
「ありがとうございます……ありがとうございますっ……!」
「ずっとこの日を待ってたよ……!」
「えっ……え?」
「一緒にヒカリを追い求めマショウ……!」
「まったくもうっ……素直じゃない子ね……!」
「あ、あのー……」
次から次へと感謝してくるのできな子は困惑している。
「ようこそ! 『Liella!』へ!!」
「ちっ、違う……! 違うっすよぉっ!!涼君も観てないで助けて欲しいっす〜!!」
『涼君?』
「ど、どうもなのです」
『この学校初の男子生徒!?』
「えっ初……?まぁそれは置いといてこんな所に居た説明しますのでどこか話せる場所ありますか?」
なんかとんでもない発言が飛び出た気がするが現象を伝える方が僕達には重要なのでそちらを優先する事にしたのです。
──────
「道に迷った?」
「はい……」
「その通りなのです」
今僕達は対面に座る3人にこの学校に入ってしまった原因を包み隠さず話している。
「ごめんね。勝手に勘違いして……」
「いえっ、そんな……」
「謝る事ではありませんのです」
勘違いした事を謝られたが先輩に謝られるような事ではないのです。
「もしかして、東京初めて?」
「えっ!? んなわけねぇっす! 東京は庭! 庭っすよ! 散々検索したっすし! あ~ヒルズ族っすよねっ? ヒルズ族。ヒルズ族……」
「もうヒルス族は辞めるのです……。恥ずかしながら今日初めて東京に来ましたのです」
きな子はまたヒルス族とか言って目を白黒させて誤魔化しておかしくなってるので自分が代わりに答える。
「なんでヒルス族なんて言葉が出てきたのよ?この子からは……」
「多分東京への偏った知識でヒルス族しか覚えてないのかと思うのです」
「そんな訳ないっすよ〜!?」
まぁ、きな子は真面目なのですが抜けてる所がありますですからね。
「どうやら、送ってあげた方が良さそうだね」
「私が行くよ。2人とも住所は分かる?」
「はい……」
「ありがとうございます」
──────
「わぁぁぁ……改めて見ても、綺麗っすねぇ……」
「入学を祝ってるみたいなのです」
先輩が制服に着替え終えた後、校舎から出てすぐに桜の木が列を成す敷地の道を3人で歩いてた。北海道はこの時期まだ桜が咲いていないので入学式に桜が咲くなんて産まれて初めての経験なのです。
「どこから来たの?」
「きな子達の地元は北海道の何にもない所で……家を出る時はまだ雪で真っ白でした!」
「そうなんだ!でもそれも素敵!」
きな子が北海道について語ると真っ白な景色で入学式を迎える事を先輩は素敵だというが自分達は慣れすぎてあまり素敵だと感じて来なかった。やっぱり経験した事ないと憧れちゃうのですね。
「名前きな子ちゃんって言うの?」
「はい!桜小路きな子と申します!都会に憧れてやってきました!涼君も先輩に挨拶するっすよ」
「坂本涼なのです」
「私、かのん。澁谷かのんって言います」
自分達の自己紹介の後にかのん先輩からも自己紹介して貰った。
「よろしくお願いします!かのん先輩」
「え!?……かのん……先輩!?」
「何かあったのです?」
なんかきな子が先輩の名前を読んだら素っ頓狂な声を出すかのん先輩。なんか同時に吹いた風で髪が揺れて面白く感じてしまったのです。
「はい!先輩っ!」
「そっか~。私、先輩かぁ〜!」
「かのん先輩どうしたのです?」
「えぇ!?涼君も読んでくれるのぉ〜!」
なんか自分も先輩と読んだら余計にニコニコしだしてクネクネとした動きも加わるかのん先輩。
「そっかぁ~!!え~先輩?え~っ私がぁ〜〜?」
「はい!先輩ですっ!」
「あのっ……!もう1回……」
「はい?」
「2人でもう1回……呼んでくれる?」
かのん先輩は後輩に過保護な先輩になりそうだ。初めてあった僕達にこんなにデレデレしてるのですから。まぁ要望通り呼びますですけど。
『かのん先輩!』
「くぅ〜……!なんかむず痒いけど、良いよこの響き!さぁ行こう!先輩の家も案内しちゃうぞ〜!」
先程までは頼りになる先輩だったのだが、ここに来てハイテンションになってる。
「変わった先輩っすね」
「初めての後輩でテンション上がってるのですよね多分……」
高校で初めての後輩にハイテンションのかのん先輩に戸惑いながらも後を着いて行く僕ときな子だった。
キャラ紹介
坂本涼
黒髪の短髪で可愛い系の男子。飲み込みが非常に高くそれ故に何に対しても真剣になれない。地図を読んだりするのはどんなに頑張っても無理だが一度通った場所は完璧に覚えてられる。