輝く星と夢がない少年 作:多音
高校の入学式。それは人生で一度だけの大イベントなのです。そんな大イベントはやたら派手なwelcome看板に向かえられた。
「流石東京!こんな立派な看板で向かえられるんすね!」
「これは立派というより派手な気がしますのですよ」
東京の学校全てがこんな派手な筈が無いと僕は思う。多分あそこで囲まれてる昨日あった先輩2人がやったのだと思うのです。
「まぁ何はともあれ校門を潜りましょうです」
「そうっすね」
僕ときな子はクラス発表の紙を見るために校舎に向かって行く。
「オニナッツ〜……!!あなたの心のオニサプリ♪ 鬼塚夏美ですの~!今日は!ぬわ~んとっ!私……ついに高校入学をガチ決めましたの!プライベート大・公・開〜!」
「涼君これは何をやってるんすか?」
「動画撮影って奴じゃないのです?最近の高校生はSNSって言うのにいろいろ投稿するみたいですし」
なんか学校に自撮り棒を持ってる新入生が居るのですがこれは良いのだろうか?まぁ僕が気にする事でもないですか。
「ん?何か?」
「はっ……自撮り棒持ってるって事はもしや……エルチューバーっすか!?」
「まぁ世間的にはそうなるんですの」
インカメラに映ってる僕ときな子にオニナッツが気づいたようなのです。きな子はオニナッツにエルチューバーであるか聞いた。
「芸能人っすね!ザ・都会って感じっす!」
「確かエルチューバーは動画配信でお金が貰えるのですよね?」
「んー、まぁ?ともあれ!チャンネル登録よろしくですの!今の動画は明日公開!毎週日曜はライブ配信実施中。投げ銭追い銭プレゼント、なんでも結構ですの!では〜!」
僕ときな子に名刺を渡して去って行くオニナッツ。
「行っちゃったっす……CEO……?」
「この学校初の男子生徒の僕を使えば登録者数が爆上がりしそうなのですが……」
「それが無くても涼君が出るだけで凄い事になりそうっす」
「僕の人気も爆上がりって奴なのです。暇つぶしに知名度上げるのも楽しいかもなのです」
「だ、ダメっすよ!?涼君はいろんな人から好かれるっすからライバルが増えちゃうっす……」
後半に何を言ったか分からないけども、なんかきな子的には僕が人気になるのは困るらしい。
「まぁ早く教室に行きましょうです」
「わ、分かったっす」
教室に着くと僕は囲まれて質問攻めである。
「この学校初の男子生徒なんじゃない!」
「先輩が言うには僕がこの学校初みたいなのです」
「もう先輩と知り合いが出来るなんて凄い!どこの学校から来たの?」
初めて会った人達でもここまで囲まれてしまうものなのですね。女子って凄いのです。
「僕は隣にいる幼馴染のきな子と同じ北海道の人が少ない所から東京に来たのです」
「北海道から来たんだ!」
「僕もきな子も東京に来たの初めてなので何かあったら助けてくれると嬉しいのです」
僕がそう言うと興味を持ってくれてた人達は「任せて!」って言っていたのです。ちょっとグイグイ来てびっくりしましたですが良い人達みたいで良かったのです。
「いきなり囲まれてびっくりしちゃったっす……」
「まぁ、この学校に男子が居る事に興味があったのでしょうね」
女子しか居ないと思ったら1人だけ男子なんか居たらそりゃ注目を浴びてしまうのも仕方ないのです。
──────
僕は自販機を探し回ってたら音楽科の方まで歩き回っていた。僕の方向音痴もここまで来ると笑えてきますのです。
「ん、あれは?」
昨日会った銀色の髪の先輩とカチューシャを付けた先輩だ。音楽科でなんか覗き見しててなんか怪しいのですよ……。
「どう?」
「全員すみれよりレベル高いデス。そもそも音楽科なのデスよ?」
「音楽科が上とは限らないでしょ。なんたって私はショービジネス……」
「グソクムシ」
「言うなぁ〜!!」
なんか喧嘩してるのですが……。もう音楽科の生徒もLiellaだとか言ってますのでもう隠れてるのも無意味なのです。
「何してるです?先輩方」
「ギャラ!?」
「哎呀!?」
僕が後ろから声を掛けた為か大声を出して2人仲良くオーバーなリアクションをして抱き合う先輩2人。
「Liellaの2人が抱き合ってる!」
「流石クゥすみ尊い……」
「それに今話題の学校初の男子生徒もいる!」
はい、こうなりますのです。まぁ僕が後ろから声を掛けたせいでLiellaファンにはご褒美の光景が完成したのです。
「ちょっと後ろから声掛けないでよ!びっくりするじゃない!」
「ごめんなさいなのです」
「またファンに囲まれちゃうじゃないの」
「あぁそれならもう」
「ま、まずいデス!音楽科の生徒が集まって来てマス!」
そう、銀色の髪の先輩の言う通り続々と集まり始めてる。
「逃げるわよ!」
「置いてくなデスすみれ〜!あ、あなたはマネージャー候補なので一緒に来るデス」
「えっ?」
なんか銀色の先輩に引っ張られて連行されて行く事になったのですが……。僕はきな子と別行動した事を悔いてしまうのでした。
「あ!可可ちゃんとすみれちゃんが帰って来た!それと君は昨日の……」
「どうも坂本涼と言うのです」
銀色の先輩に連れられて来た僕に反応したお団子先輩が声を掛けて来ましたですし昨日の先輩全員居るので礼儀として名前を名乗る僕。本当に礼儀がある奴は昨日のうちに名乗るとかいうツッコミはスルーするのです。
「あ、私は嵐千砂都だよ!」
「葉月恋と申します」
「唐可可デス……」
「平安名すみれよ……」
僕が名前を名乗ったら先輩達も名乗ってくれた。今まで髪の特徴で覚えていたので名前を知れて良かったのです。可可先輩とすみれ先輩は息切れしながら名乗っていた。
「来てくれたって事は涼君はLiellaのマネージャーになってくれるの?」
「いや、ここにいる可可先輩に引っ張って連れて来られましたのです」
「可可さん!無理に連れて来てはダメじゃないですか」
「うぅ……申し訳ないデス。昨日話をしたマネージャー候補だったので他の部に取られる前にと強引に連れて来てしまったのデス」
「ごめんね無理に連れて来ちゃって」
「それは大丈夫なのですけど、全員が賛成してますのですね僕のマネージャー勧誘は」
かのん先輩1人の意見だと思ったら全員賛成してるという予想外の状況にびっくりしてるのです。
「はい。他の出場校はマネージャーがいるグループが多かった印象だったのでLiellaにもマネージャーが必要かなと思ってたのです」
「マネージャーが必要なのは分かりましたですがなんで女子生徒じゃなくて僕なのです?」
「昨日きな子ちゃんや涼君と話をしてみて新入生と頑張りたいって思ったんだ。だからそう思うきっかけになった2人にはLiellaに入って欲しいなって思ったの」
先輩達に新入生と頑張りたいと思わせたのが僕ときな子だったという事ですか。先輩達の気持ちは伝わったし興味は昨日の会話で僕もあったので入っても良いのだがまずは話さなきゃならない事がある。
「別に入る事は構いませんのですが……」
「え!?本当に!」
「2つ程条件と言いますか言っておかなければならない事がありますのですよ」
「条件ですか?」
「あんたお金とか要求するんじゃないでしょうね?」
「それは去年のすみれデス」
「うるさい!」
「大丈夫お金とかではありませんですよ」
やっぱりこの性格の事や幼馴染のきな子と一緒にやりたい事を言っておかなければならないと思う。
「涼君の条件聞かせてくれる?」
「はい。1つ目はまぁ条件として出さなくてもやってくれると思いますですがきな子とも一緒にやりたいのです。幼馴染で一緒に北海道に来たのもありますですから」
「うん!きな子ちゃんを勧誘したい気持ちは私達も一緒だから大丈夫だよ」
「2つ目は条件と言いますか僕の失敗した話を聞いて欲しいのです。僕には夢がありませんですし1つの事に夢中になった事もありませんのです」
僕がそう答えると先輩達がえっ?て感じになってる。まぁいきなり自分に夢が無いとか関係ない事言い出したのですから当然の反応か。
「えっとそれはどういう事?」
「簡単に言いますですと僕は飲み込みが人よりも早いらしく1度でもみればコツを掴み我流で相手を超えはじめるのです。そうなるともう僕に追いつける者も競い合える者もいなくなる。それが辛かったのです」
僕がそう言うと5人は複雑そうな表情をする。まぁ当たり前かそんな話普通会って2日目の先輩達にするような話ではない。
「なので僕はクラスや学校での平均くらいをキープする他の人をバカにしてるとも取れる日々を過ごしてました。いろんな事に手を出してすぐ飽きてそんな事を繰り返せば周りにはきな子以外誰も居なくなりましたのです」
「それは自業自得なんじゃないの?」
すみれ先輩が僕に思った事を言ってくれる。
「確かにそうなのです」
「そりゃ誰であっても手を抜かれてるの分かって嬉しくはならないわよ!マネージャー業も手を抜くかもしれないから許してくださいって言う訳?それなら」
すみれ先輩の言葉は正しいしそう思われても仕方ない。でも、
「それは違います!過去の失敗は許されない事だと思っているしもうあんな事を繰り返したくもない」
「涼君は私達にその話をしてどうしたいの?」
千砂都先輩は真剣な表情で僕に聞く。
「次に何かを始める時は過去の失敗も全て話して本気でやると決めていた。その言葉を聞いても信用されないと思いますから、先輩達に認めて貰えるようにLiellaのマネージャーとして迎え入れて貰えるように努力するつもりなのできな子が入った時にはマネージャーにして欲しいです!」
「一緒にLiellaとして努力するって言ってマシたし、可可はリョーをいつでも仲間として歓迎しマスよ?」
「私もです」
「私もだよ!」
「うん!いつでも待ってるよ」
先輩達4人からは了承を得た。少し怒らせてしまったすみれ先輩はというと。
「過去の話を黙っておけば私にも怒られずにすぐ歓迎されてたのにバカな後輩ね涼は」
「それはなんか隠してるみたいですし、話しておけばもう途中で放棄するという退路は消えますですから」
「入ってくるの楽しみにしてるわよ」
「なのです!」
「なによその返事」
「先輩の驚き方よりはマシなのですよ」
「なんですって〜!?」
こうして先輩達に過去を話すのは終わった。僕を受け入れてくれたLiellaなら夢が見つかるかもしれない。もし見つからなかったとしても今回は最後まで全力でやる事を僕は決めた。後はきな子を迎え入れるだけだ。
きな子の方はというと
「優勝候補〜!?涼君ときな子そんな凄い人達に誘われたんすか!?早く涼君を探して伝えなくては!」
涼が説得するのがほんの少し大変になっていたのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
過去の話をするのにきな子加入以降じゃなかったのは涼は自分の事を先輩達5人に伝えなきゃならないのにきな子の力を借りるのも違うと思っていたからです。