Fate/Dancing night   作:faker00

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ー4日目ーー1ー 常闇と鍛練と 狂う歯車

「うっ…」

 

「これは……」

 

「アーチャーの言った通り。ええ、やる気ね、この感じは。完全にアインツベルンに名前にビビって不十分のくせにピッチ上げてるのがよくわるわ。」

 

 

 校門から一本足を踏み入れた途端に私、士郎、凛の3人は同じように顔をしかめた。

 

 朝の校門は教室に向かう人の波で溢れている。そんな中立ち止まる私達を不思議そうな目で見つめてくる生徒も多いが彼等の感じている空気と私達が感じているそれは全くの別物の筈だ。

 魔力が空気中に満ちている。それもヒトを侵す禍々しいものが。

 士郎は嫌悪感から眉をひそめ凛はいつも通り涼しいコメントなものの目つきが鋭くなっている。

 

 

 

「それで、どうなのよ見たところ。」

 

「うーん……専門じゃないから正確なところまでは分からないけどあと3日……いやもっと短いかも。それもまともな魔術師ならの話だけど。」

 

「私もそんな所だと思うわ。……後半はどういうことよ?」

 

「元々見え見えな結界張るようなやつだしね。それだけだと一流か三流か判断に困るところだったけど今分かったわ。こいつは三流、敵が増えたからってこんな急に動くなんてわざわざ焦ってますって私達に教えてるようなもんじゃない。」

 

「小物すぎて常識はずれなところで暴発しかねないってことね。」

 

 

 

 そうなってくるとむしろ厄介だ。正当な魔術師がマスターならば間違い無く機を窺ってから動く。そうしなければ命取りになるということを知っているから。けど残念ながら今回の相手はそこまで頭がキレるやつじゃない。

 言うなら剥き出しの刃物のようなものだ。

 威力こそ正式な手順を踏んだ魔術という銃に劣るものの危険性は同等、むしろそれ以上。まともにコントロールが利かない分性が悪い。

 

 

「掠り傷云々ってそう言うこと……相変わらずらしいわね。」

 

 

 今更になって彼の意図を完全に理解し1人溜め息をつく。

 確かに合理的、このまま手掛かりもなく追いかけるよりは遥かに可能性は高い。けれどこうなってしまった以上一般生徒を巻き込まないことは不可能に近くなった。

 

 

 

「それでどうするんだ遠坂?」

 

「決まってる。このまま放置しているなんて論外よ。とにかく授業中は普通に過ごしながら怪しいやつがいないか気を配って、釣れればベストだからなるべく単独行動で。」

 

「単独?それじゃあ遠坂とエリヤが危ないじゃないか。」

 

「一番危ないのはあんたでしょこのヘッポコ。ちゃんとそのための保険もかけておくし。そもそも人目につかないところにいかなきゃ問題ないでしょうからほんとにただ保険よ。」

 

「私も同じでいいのかしら?」

 

「ええ、構わないわよ。むしろアインツベルンと名乗った以上一番相手もあなたに接触したいでしょうし。」

 

 

 とりあえずまだ索敵というところか。

 少なくともこれをやっているのは過去の私……イリヤスフィールでないのが分かっただけよしとしよう。

 私が言うのもなんだがイリヤスフィールならこんなあからさまなことはしないし、なにより自分の名前を騙られたら怒り心頭で正面からぶつかってくるはずだから。別に騙っているわけではないけどそこはまあおいておこう。

 

 

「それで授業が終わったら集合して……そこからまた呪刻潰しね。昨日以上に面倒なのは目に見えてるけど出来ることなら発動させたくないし。」

 

「分かったわ。」

 

「それじゃあとりあえず解散、あっ士郎はこっちに来なさい。さっき話した保険かけてあげるから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

「……そうは言っても簡単に見つけられるようなら苦労はしないわよねー」

 

 

 気付けばもう午前の授業も終わり昼休みになっていた。

 その間私に話しかけてきたのはどぎまぎしたような純情全開な一般男子生徒と転入生と仲良くなろうとしている一般女子生徒。要するに普通の人だけだ。魔術の魔の字もありはしない。

 

 

「あ……またお弁当忘れた。」

 

 

 と言うわけで無駄に気を張った分疲れた身体を癒したいのだけど……空腹感と共に鞄を漁るが肝心の物が見当たらない。

 今朝もタイガが騒いだせいで色々とギリギリになってしまったのだけど……

 ダメだ、お腹空きすぎてぶっ倒れそう。

 

 

「あうー……」

 

「あの、エリヤさん?大丈夫ですか?」

 

「あ、桜だー」

 

 

 色々と諦めて机に突っ伏すと心配そうな声が聞こえてくる。

 もう少しも動きたくないと訴える体を必死に……と言っても首だけだけども言うことを聞かせて顔を上げるとそこには桜がいた。そう、いい匂いのする包み紙を持って。

 

 

 

 

 

「お昼も練習なんて熱心なのね桜は。流石は次期部長。」

 

「あはは……私、そんな大したものじゃないんですよ?だから頑張らない……っと!」

 

 

 そう言いながら桜は矢を放つ。桜の手を離れたそれは真っ直ぐに飛んでいき的の中心付近を射抜いた。

 そして私はそれを見ながら作りすぎたという桜のお弁当のお相伴に預かっている。

 

 

「それだけ討てれば十分なんじゃないかしら?私そこそこ矢には詳しいんだ。」

 

「エリヤさん、弓に興味があるんですか?」

 

「昔ちょっとね……あ、桜もお茶飲むでしょ?」

 

「ありがとうございます。」

 

 

 道場の床に座りながら2人まったり正座しながらお茶を飲む。

 むむむ……制服とかエプロン姿だと分かりづらいのだけど桜ってしれっとスタイル最高クラスなのよね。胴着だとよくわかる。

 

 

「……なっなんですか?」

 

 

 小柄な私に対して桜はそこそこ身長も高い、故に同じように正座すると私の視線の先は桜の顔ではなくもっと下、こう……人体にあるまじきでっぱりに向かうのだが……

 

 

「ひゃわっ!?なんで胸に顔うずめてるんですかー!?」

 

 

 ふむ、柔らかさも合格ときたか。ほんとに羨ましいというかなんというか。贅沢言わないから半分くらい寄越せというものだ。

 

 

「もう……ストップですって!」

 

「もー、いいじゃない減るもんじゃあるまいし。」

 

「私の精神がすり減るんです!」

 

 

 顔を真っ赤にした桜に強引に引き離され柔らかな安息の地を追い出される。

 全く、持つ者は持たざる者に少しは恵みを与えろというのに。

 

 抗議の念をこめて桜をみるが桜は今回は私は悪くないですからと言わんばかりにツンとしている。

 そのまま妙な睨み合い?ただの沈黙?の妙な間が数秒続いたが桜は突然なにか遠くの方を見て思案したかと思うと道場の奥へと歩いていき弓を一丁取り出すと私に差し出した。

 

 

 

「ん?これはどういうこと?」

 

「いえ、エリヤさん矢にはそれなりに詳しいと言っていたので良かったら一度見せてもらえないかなと思って。」

 

「矢を……?別に構わないけど。一射でいいかしら。」

 

「そうですね……あまり時間もないのでそれで大丈夫です。」

 

 

 別に一射程度なら時間も大丈夫だし問題ないかな。

 何でこんなことをいきなり頼んできたのかはわからないけど弓は実際のところ結構マイナーだ。身近な人が詳しいと知ればどれだけ射てるのか興味が沸いてもおかしくないし……なにより私も久しぶりにやってみたい。

 

 

 

「よし!それじゃあきまりね。へへっ見てなさいよ桜。度肝抜いてやるんだから。」

 

 

 桜から弓を受け取るとそのまま歩いて的の正面に立つ。

 

 

「うわ……遠いわね。こんなんだったかしら。」

 

 

 久しぶりに見る丸い的は予想以上に遠く見える。はっきり言って当たる気はしない、少なくとも今のところは、だけど。

 

 

「えーと…何だったかしら。矢を放つ時に見るのは的ではなく、ましてや他の光景でもない。矢が放たれ刺さった後のそれ。要するに数瞬先の未来だ……だったかな。」

 

 

 記憶を探る。私に矢を教えてくれた彼曰わく、スタンスやらフォームはそこまで問題ではないらしい。

 

「……ぐっ。」

 

 と言うわけで端から見てみれば私のフォームは我流というかど素人同然、的を射るどころか真っ直ぐ飛ばせるかどうかも怪しいと思われるだろう。けど……そこじゃない。

 どれだけ鮮明なイメージを思い浮かべ……いや自らにとって現実のものとして作り出す。それができれば後はそうなるように身体が動くからそれに身を任せるのみ。

 

 

「ここっ!」

 

 

 目の前に見えている現実の風景と、頭の中の幻想が一致した瞬間に身体を任せる。

 技術?そんなものは知らないし私にはわからない。けどこの一撃は間違いなく狙い通り射抜くだろう。

 だって、そうなることは最初から決まっているのだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……ちょっとずれたなあ……」

 

 

 感触は悪くなかったけどどこかイメージが綻びていたのか、それとも想定自体が甘かったのか。

 的の中心を射抜くべく放った矢は左に数cmずれた位置に刺さっていた。別に悪いとまではいかないけど何だかなあ……

 

 

「どう桜、なかなかのもんでしょ?……桜?」

 

 

 私に矢を渡した張本人である桜に若干のドヤ顔と共に向き直る……が、その桜の様子がどこかおかしい。

 

 

「嘘……今のは先輩の……けど、なんで……」

 

 

 顔面蒼白になりながら聞き取れないような小さい声で何やら早口でぼそぼそと呟いている。

 そしてその瞳は私の方を向いているはずなのに私のことを見てはいなかった。

 

 

「ちょっと!?桜!あなた大丈夫なの!?」

 

「そんなはずないそんなは……ひぇ!?今度は顔が近いですよー!」

 

「さっきまで全く見えてすらいなかったくせによく言うわよ……」

 

 

 ただ事ではないと感じ思いっきり肩を揺さぶると桜の目の焦点が再び合う。

 別に体調がどうこうというわけではなさそうだ……この数十秒の記憶はあるのか定かではないけれど。

 

 

「っで?どーう?弓道部次期主将から見て私の弓は。」

 

「えーと……はい、とってもお上手だと思いますよ!それじゃあ私はお先に失礼します!!」

 

 

 そう言うと桜は脱兎のごとく弓道場を駆け出していってしまった。

 それはもう疾風のごとく。そして私は1人寂しく取り残されたのだ。

 

 

「あれ……私、なんかやっちゃった?」

 

 

 




どうもです!

さてさてこっからどうやって展開していくべきか……

感想、お気に入り、投票お待ちしております!
特に感想あれば是非ともほしいです!作者のモチベの一番の部分でございます(笑)

それではまた!
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