日元第二中学校の敷地内にあるブレイブが見れるエレキドーム。
いつものブレイブは電脳フィールドでするのだが、このエレキドームは配信ができない代わりに野球を見る感じで観客席から試合が見れる。
そのため多くの生徒や関係者が観客席に座っており、今回の対戦カードを見て苦笑いを浮かべていた。
「新入生が凄腕ソルジャーが集まるソウルガードの隊員に勝負を挑むなんてな」
「あの赤髪ってさっきソウルユニットを手にいたやつね」
「それで調子に乗っているんだろ」
半ばあっているのか辛いところ。
雄一郎が手に入れたソウルユニット、紅蓮の翼竜・レッドイフリートはスケール3の強力なカード。
それだけ強いカードが手に入ったなら調子になってしまうのは理解できるが……。
今回の相手はソウルガードの隊員なので一筋縄では行かないはずで、フィールドのプレイヤーエリアに立つ2人は何かを話し始めた。
「いきなりブレイブを挑まれたのはビックリしたが、君みたいな熱血タイプは嫌いじゃないよ」
「それはよかったし、武内さんがどんな戦い方をするか楽しみだぜ」
「今回使うのは支給デッキではなくプライベートデッキだから負けるつもりはない」
「負けたくないのはオレも同じだ!」
互いにニヤッと笑う2人の姿。
どっちもルート・レクイエムバカな雰囲気なので、俺は微妙な笑みを浮かべながらデュラや光と共に2人のブレイブに視線を向けていく。
するとフィールドが電脳フィールドと同じ光に包まれ、素の姿ではあるが2人の手元には半透明のプレートテーブルが浮き出した。
「「レディー、ブレイブ!!」」
赤羽(雄一郎)、ライフ15
VS
武内、ライフ15
・先行は武内
ついに始まった一般中学生の雄一郎VS武内さんのブレイブ。
先行は武内さんみたいでワクワクした顔で手札にある6枚のカードから、1枚のカードをプレートテーブルの上においた。
すると武内さんのフィールドにガッチリとした肉体に大きな斧を持つユニットが現れた。
「そのカードはウォリアーキャラバンのカード!」
「ああ! 俺はサモンしたアックス・ゴリンの効果を発動し、手札のスピア・ハウンドをコール」
「い、いきなり2体のユニットが……」
「まだ終わらないよ! 俺はコールされたスピア・ハウンドの効果を発動してグレード2のボム・ガウルを手札に加えさせてもらう!」
アックス・ゴリン
スケール1、パワー1
スピア・ハウンド
スケール1、パワー2
今度は大きな槍を背中に装備した1メートルほどの大きな犬っぽいユニット。
初手で2体のユニット&手札を揃える武内さんは優秀なソルジャーなのは理解できるし、スピア・ハウンドの効果でアップグレートの準備を進めている。
そのため1ターン目の動きとしては満点に近く、次のターンで雄一郎が思うように動かなければ勢いで押し切られそうな雰囲気。
「やっぱり凄腕のソルジャーは展開方法が違うわね」
「でもまあ、雄一郎も何かしら対策を考えていると思うぞ」
「そうだといいんだけどね!」
コイツらとは散々ブレイブをしてきたから、雄一郎が得意とする展開や癖がわかる。
というか、ショップ大会での上位者ならやってくる事もあるので、落ち着きながら観戦していると武内さんがニヤッと笑う。
「俺は地雷カードをセットしてエンド。さあ、今度は君の番だよ」
「ええ、オレのターン! よし、ファイア・ファングをサモンして効果を発動。手札を1枚捨ててパワー2以下のスピア・ハウンドを破壊する!」
「つっ!? 初手からドラゴンキャラバンの強みを使ってきたね」
「もちろん! さらにソングカード、ドラゴンのメガフォンを発動して手札のコモドドランをコール!」
ファイア・ファング
スケール1、パワー2
コモドドラン
スケール1、パワー1
雄一郎も負けてないな。
ファイア・ファングは見た目はスピア・ハウンドと似ているが、毛皮が茶色ではなく赤色の毛皮で牙も鋭く攻撃的なユニット。
対するコモドドランは30センチくらいのお腹に殻がついた小柄なドラゴンで、パワーは低いから可能性を秘めているユニット。
そのため武内さんは苦笑いを浮かべているので、この後の展開がある程度は思い浮かんでそう。
「見た感じ雄一郎に流れが傾いてきたかしら?」
「そうだといいんだけどな」
「ダンナは気になることがあるのか?」
「まあな」
ここまでは雄一郎が好き勝手やっているが、相手は凄腕のソルジャー。
この程度の出来事は想定しているはずなのと、それ以上に武内さんが余裕そうにしているんだよな。
ただプレイヤーゾーンにいる雄一郎は相手の表情をスルーしているのか、自分のユニットへ嬉しそうに指示を出した。
「地雷カードをセットした後にバトル! まずはファイア・ファングで攻撃」
「その攻撃はアックス・ゴリンでガードするよ」
「パワーはコッチの方が上だから撃破!」
ファイア・ファング、パワー2
VS
アックス・ゴリン、パワー1
何でファイア・ファングの攻撃をガードしたんだ?
攻撃反応系の地雷カードをセットしてない限りはこの攻撃はライフで受けると思っていたが、武内さんはあえてパワーの低いアックス・ゴリンでガードした。
そうなるとライフを温存したいのか、それとも何か対策があるのか……。
「なんでパワーの低いユニットでガードしたんだ?」
「おそらくあの地雷カードが何かあるんだろうな」
「えっ、そうなると武内さんは自分のユニットが破壊されるのを見越していたって事?」
「たぶん……」
あくまで俺の予想だけどな。
ただこの予想は意外と当たるのでドキドキしながら観戦していると、テンションが上がった雄一郎が驚きの行動に出る。
「な、なら、今度はコモドドランで攻撃!」
「へぇ、その攻撃はガードしない!」
「ええ!? なんでコモドドランで攻撃をしたのよ!」
「さ、さあ?」
コモドドランはバトルで破壊された場合に強力な効果を発動できるユニット。
この場合は次のターンに備えて残しておく方がいいはずなのに、雄一郎が敢えて攻撃を仕掛けた。
そのため、タタッとおぼつかない走り方で突進を仕掛け、勢いのある頭突きが武内さんのお腹に直撃する。
「ぐうぅ!?」
「よし、これでエンドだ!」
コモドドラン、パワー1
武内、ライフ15→14
ゴンっと鈍い音がドーム内に響く中。
先制攻撃が成功した雄一郎はガッツポーズをしているが、2ターン目のエンド時に武内さんが頬を引き攣らせながらあるカードを発動した。
「このタイミングで地雷カード、苦労の正体を起動! このターンに破壊された2体のユニットをダウン状態でコールする」
「なっ、それって!?」
「ああ! コールされたスピア・ハウンドの効果でトライ・ランサーをデッキから手札に加える」
「やっぱり罠だったか……」
アックス・ゴリン
スケール1、パワー1
スピア・ハウンド
スケール1、パワー2
今まで雄一郎の後ろで黙っていたイフリートが重苦しくつぶやく。
その表情は落胆と呆れが混じってそうで、今の状況を目にして固まっている雄一郎に失望の視線を向けている。
ただライフが無傷である雄一郎は余裕そうに改めてエンドと叫び、武内さんのターンに入っていくのだった。
ーー
《2ターン目のエンド・ターンプレイヤー、赤羽(雄一郎)》
・名前、赤羽(雄一郎)
・所属、ドラゴンキャラバン
・ソウルモンスター、紅蓮の翼竜・レッドイフリート
・ライフ15、手札2枚
〈フィールド〉
・ファイア・ファング(ダウン状態)
・コモドドラン(ダウン状態)
・地雷カード、1枚
ーー
・名前、武内
・社属、ウォリアーキャラバン
・ライフ14、手札5枚
〈フィールド〉
・アックス・ゴリン(ダウン状態)
・スピア・ハウンド(ダウン状態)