入学式が行われた次の日
今日は在校生の始業式があるので授業は午前で終わるが、今日はクラスメイト達の気が立っていた。
それもそのはず、今日は入学祝いで学校側から開封前の
ちなみに俺もその1人なので配られてきたボックスを受け取り、浅山先生の許可が出たタイミングでボックスを開けていく。
「どんなカードが出るか楽しみだな」
「そうだけど授業中だからカードになってなくてもいいのか?」
「さっき担任に聞いたらルート・レクイエムの授業なら出てきてもOKらしいぜ」
「マジか……」
授業中はカードになって静かにしているデュラだが、許可をもらえた時はこうやって外に出てきている。
というか嬉しそうに抱きついてくるので少し恥ずかしいが、運良く中央の一番後ろの席なのでまだ邪魔にならないのはありがたい。
ただクラスメイトからの羨む視線がグサグサ刺さるので、微妙な気持ちでデュラと共にパックを開けていく。
すると6ボックスに1枚の割合で入っている
「ダンナが当てたのはドラゴンキャラバンのソングカードだよな」
「カード名はドラゴンの呼び声で効果は自分の手札又はフィールドのユニット1体をデッキに戻してスケール3以下のユニットをコールと書いているな」
「書いてある効果はかなり強くないか?」
「ドラゴンキャラバンの専用カードではあるけどクソ強い」
というか、大当たりじゃね?
このカードが使えるのはターン3以降らしいが、それでもクソ強いカードなのは変わりない。
そのためショップで高く売れそうだと感じていると、いきなりクラス内が光り輝き始めた。
「赤羽君が開けたパックから光りだしました!」
「こ、このタイミングでイベントが来るのかよ!?」
「ほんとダンナといるのは面白いぜ」
俺は胃が痛いけどな。
ピカピカと光るカードは持ち主である赤羽を連れ去るかのように校庭に連れて行く。
その時に本人の困惑した表情を目にするが、人が少ない校庭に現れたのは赤い鱗にギョロリとした目を持つコンビニくらいの大きさを持つ翼竜。
どう見てもドラゴンだから、クラスメイト達は目を点にしながら窓から校庭の方に視線を向ける。
「我を呼び出したのは赤髪のお前か?」
「え、あ、た、確かにお前のカードを手にしたのはオレだが?」
「ほう……。我を呼んだ主がこんな貧弱そうだとはな」
「貧弱だと!?」
「まあいい、元の世界では暇だったからちょうどよくはある」
老衰した言葉遣いをする割に若々しい男性の声。
赤い鱗を持つドラゴンはへたり込んでいる雄一郎に喋りかけており、その姿は捕食者と食べられるやつみたいになっている。
なのでクラスメイトの一部は目を逸らしているが、雄一郎はニヤッと笑みを浮かべながら立ち上がった。
「よ、よくわからないがお前がオレのソウルユニットなんだな!」
「まだ仮契約で主とは認めたつもりはないぞ!」
「ヤッホイ! これで和也に追いつけたぜ!」
「コヤツ、我の話を聞け!」
たぶん本人はテンションが上がりすぎて聞いてないと思うぞ。
最初は偉そうに出てきた割にすでに雄一郎にペースを持ってかれている赤いドラゴンさん。
このままだと収集がつかないので俺も校庭に向かうか悩んでいると、エアバイクと呼ばれる空を飛ぶバイクが3機ほど降り立つ。
彼らはソウルガードと呼ばれるルート・レクイエム関係の管理をしている人達で、警察の白バイデカが装備しているヘルメットを外しながら頬を引き攣られている雄一郎に近づいた。
「こちらソウルガードの武内ですが、このソウルユニットは君が呼び出したのですか?」
「え、あ、オレが呼び出しました」
「そうですか……。では確認を取りたいのでお二人のお名前をお聞きしてもいいですか?」
「も、もちろん」
タイミング的にここからメインのストーリーが始まりそうだな……。
今の状況に何とか反応できている雄一郎は顔をフンッと背けている赤いドラゴンと共に状況確認を進めていく。
その結果、雄一郎が呼び出したドラゴンの名前や所属キャラバンが判明したので、俺は口を開けつつできる限りの情報を集めていく。
「名前は紅蓮の翼竜・レッドイフリートで所属はドラゴンキャラバンなのですね」
「そうだとも! で、なぜ我がSD化しなければいけないんだ?」
「人間界の規定で人へ威圧感をもたらす姿はブレイブ時以外は基本的にNGなんですよ」
「おおう、人間界は肩身が狭いな……」
さっきまでコンビニくらい大きかったレッドイフリートが大型犬くらいの大きさに変化。
そのままブタクサ文句を言っていたが、簡易確認が終わったのか雄一郎の受け答えを担当していた男性職員さんとは別に、学校内に入っていた金髪の女性職員さんが口を開く。
「学校の許可が取れましたので中に入りましょう」
「ははっ、それは助かる」
すでに目立っている気もするが……。
やり取りを担当していた男性職員さんは頭を書いた後、女性職員さんから許可証を受け取り3人+αは後者の中に入っていく。
その時にパイクを駐輪場に移動させていた茶髪の男性職員さんは、置いてかれないように足早に3人+αを追いかけていくのだった。
「なあダンナ、あのドラゴンはめっちゃ強そうだよな」
「おそらく……。ただそうなると雄一郎がその力を使いこなせるかが心配だが」
「あのドラゴンの態度もあるけど雄一郎も調子に乗りそうね」
「光里もそう思うんだな……」
まだわからないが嫌な予感がする。
というか、光里がいつのまにか俺の隣に移動してきたので驚いていると、彼女は呆れたように頷く。
「ほんと和也はポンコツよね」
「俺がポンコツなのは認めるがお前らも脳筋だろ」
「それは……まあ、ここで言い合っても仕方ないしこれからどうするの?」
「ソウルガードの事情聴取が終わった雄一郎を迎えに行くのがいいんじゃないかな」
「やっぱりソレが一番よね」
どこか悲痛な表情になっている光里。
その理由は何となくわかるけど、俺が言える範囲じゃないので口をつぐんでいると担任の浅山先生が手をパンパンと叩き注目を集めていた。
「ほらほら、授業に戻るわよ」
この一言で自分の席に戻るクラスメイト達。
俺もデュラと共に自分の席に戻って当てたカードを確認していく。
ただその時に左隣に座っている光里の姿をチラッと見たが、悔しそうに腕を震わせているのだった。