TCG至上主義の世界は魔境です   作:黒霧春也

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9話・主人公ってイベントおこしすぎじゃね?

 ソウルガードは前世の警察組織関連であり、主にルート・レクイエム関係を取り締まる人達。

 事務はともかく実働部隊の隊員達のほとんどが凄腕のソルジャーで、その辺の奴らでは相手にならないレベル。

 そのため子供達が憧れる人気職業の一つに、プロソルジャーと共に入っているのだが……。

 

「話を端的にまとめるとお前はソウルガードの人とブレイブする事になったのか?」

「そうそう! あ、相手の名前は武内さんな」

「何かやらかすと思っていたけど凄腕のソルジャーに勝負を挑むなんてね……」

「でもまあ、面白いじゃねーか!」

 

 校内にある食堂。

 今日の日替わりランチは税込550円のミックスフライ定食。

 しかもご飯は食べ放題なので、俺のの隣に座っているデュラはちょくちょく立ち上がっておかわりをしてくる。

 うん、いつものデュラなので一周回って安心しながら俺はコロッケを食べていく。 

 すると前足でスプーンを持ちながらカツカレーを食べている雄一郎のソウルユニットが、デュラの方を見ながらつぶやいた。

 

「しっかし近場に我以外のソウルユニットがいるとはな」

「そんなに驚くことか?」

「そりゃ仮契約ではなく本契約をしているやつを見たら驚くだろ」

「えっ!? 2人は本契約をしているの!」

「ま、まあな」

 

 あー、そうだけど少し言いにくいんだよな。

 デュラと出会った時から仮契約ではなく本契約でその差を知らなかったし、登録してくれた当時のソウルガードさんは目が点に。

 そのおかげで少し面倒な事になったが、最終的には何とかなったので今の今まで気にしなかった。

 

「和也に追いつけたと思ったのにまだまだだったのかよ……」

「ふん! そりゃコイツらは特別だからな」

「それってドユコト?」

「俺の話もいいけど今は雄一郎が武内さんとブレイブする話に戻さないか?」

「あー、確かにそうだな」

 

 とりあえず今は話をズラしていく。

 というか、俺の話はあんまりしたくないし、このまま流れてくれるとありがたいんだけど。

 内心でヒヤヒヤしながらタルタルソースが乗ったアジフライを食べていると、真剣な表情を浮かべた雄一郎が話し始める。

 

「それで武内さんに勝つ為にはどうすればいい?」

「当たってぶつかって粉々になるのがいいんじゃないかしら?」

「最初の二つは意味が重なってないか?」

「どっちでもいいわ! で、脳筋の雄一郎が無駄に考えても仕方ないんじゃない?」

 

 ズバッと言うなー。

 相手は凄腕のソルジャーで雄一郎は同年代より少し強い程度の腕前。

 何かしらのミラクルでも起きない限りは勝ち目が薄いが、大体食べ終えてお冷を飲んだ俺は胸ポケットからあるカードを取り出す。

 

「さっき当たったこのカードをお前に貸す」

「いつもはスカしているのにこういう時は熱いよな」

「……別にいいだろ」

 

 単純に雄一郎のデッキに相性がいいと思ったんだよ。

 ただ周りから生暖かい目が飛んできたので、俺は頬が熱くなりながらクールダウンするために水を飲む。

 これで少しは気持ちが冷えてので落ち着きつつ、俺が渡したカードを見ていた雄一郎はニヤッと笑う。

 

「こりゃ絶対に勝たないとな」

「お、おう、部の悪い賭けなのは理解しているが期待しているぞ」

「今日はダンナが素直で見ていて気持ちいいぜ」

「こんなに素直な和也は久しぶりねー」

「お前らな……」

 

 こ、コイツら。

 俺はいつだって素直……いや、捻くれていたわ。

 色んな意味で思うところがあるので気持ちが重くなってしまうが、今は俺よりも雄一郎の話。

 そのためニコニコとしている光里はデザートのケーキを食べながら口を開いた。

 

「和也をイジるのはともかく、雄一郎はデッキ調整をしたの?」

「……あ」

「その顔はしてないな」

「こ、こやつ、我の初陣なのに準備を整えておらんのか!?」

 

 まあでもブレイブが始まるのは14時だからまだ時間はあるか。

 昼ごはんは大体食べ終えたし、このまま教室に戻ってデッキ調整をするのが良さそうだな。

 俺達は綺麗になった食器が乗ったトレイを持ち上げた後、返却口に返しながら教室に戻るのだった。

 

 ーー

 

 教室に戻った後。

 雄一郎のソウルカードである紅蓮の翼竜・レッドイフリートのカードは本人も含めて5枚。

 仮契約をした時に手に入るカードも含めてデッキを組み直し、何とか回せる範囲になったが。

 

「前よりも攻撃的なデッキになったわね」

「まあでも雄一郎の性格にはあっているんだろ」

「……わたしもそう思うわ」

 

 どこか言葉を詰まらせている光里。

 その姿はやっぱり痛々しく、あんまり見てられない。

 ただ今の俺がかけられる言葉がないので黙っていると、ニコニコと嬉しそうにしている雄一郎が組み直したデッキを特殊なケースに入れていく。

 

「デッキ調整に付き合ってくれてありがとな」

「それくらいはいいから勝ってよね」

「我らが勝つのは当たり前じゃろう!」

「意気込みはいいけど結果がついてくるかだな」

「そこは我の力とそこにいるバカ次第だ」

 

 素直じゃないイフリートさん。

 何というかツンデレに見えるので俺は微妙に頬を吊り上げていると、隣にいるデュラからクスクスと笑われてしまう。

 なので少し恥ずかしくなりつつ、雄一郎が勝つのを祈りながら日元第二中学校内にある専用ドームに移動していくのだった。

 

 

 

 

 

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