機動戦士ガンダムSEED Free……Dream ―ミカイが見た夢―   作:黒瀬夜明 リベイク

1 / 36
Prologue

室内に設けられた暖炉の炎がパチパチと音を立てる。窓の外は暗く白い雪がちらついていて、時折ピュー!と強い風が吹く。壁に掛けられたカレンダーは2023年の12月を示していた。

「………」

大きな執務机の椅子に座った、前髪で右目が隠れてしまう程長い白い長髪に少し幼さが残る顔をした青い左目の男がペラリ、とページを捲り次のページの文章を読みこんでいく。男の名は「黒野深海(くろのみかい)」この山奥に立つ海軍の鎮守府の提督(本人は海軍提督になった自覚無し)である。今深海が読んでいる本は「機動戦士ガンダムSEED Destiny」の小説だ。

(SEED Freedomをより楽しむ為に始めた読書だが、案外いいものだな)

深海がふとそんなことを思い浮かべる。来年。2024年1月には機動戦士ガンダムSEEDシリーズ続編の劇場版「機動戦士ガンダムSEED Freedom」が公開されるのだ。公開を1ヶ月前に控えた今現在、深海はその劇場版をより楽しむ為にと小説版の「機動戦士ガンダムSEED」と続編である「機動戦士ガンダムSEED Destiny」を読んでいたのだ。

「………」

深海が不意に視線を左に向けた。そこにはガンプラが1つ、ポツンと直立の態勢で立っていた。白、青、赤のトリコロールカラーで彩られた大小二対のV字アンテナ、直線的な両腕、すらりとした両脚、両肩にはマウントラッチを介して装備された赤と黒の主翼があり、そして背中に黒と赤で彩られたバックパック「エールストライカー」を機体と平行になるようにして背負い、その左右にはエールストライカーの大型スラスターを備えている。更にエールストライカーの中央線上にはジェット戦闘機の機首のようなパーツが備わっている。

(ムラサメストライクガンダム…だったか?娘たち(あいつら)もすっかりシードフリーダムに夢中になってるな…まだ公開は1ヶ月先だというのに……)

 

ムラサメストライクガンダム

 

今深海の目の前に置かれたガンプラの名前だ。深海の娘たちがストライクガンダムをベースに、劇場公開前に紹介されているMS「ライジングフリーダムガンダム」の様な可変機構を搭載したストライクガンダムとして製作したガンプラだ。娘たちの話によれば、変形することで大気圏にも突入できるらしいが、専用のストライカーパック「ムラサメストライカー」を装備しなければ大気圏突入も大気圏内単独飛行も出来ないらしい。ついでに武装は現在制作中とのことだ。深海はそんなことを考えながら視線を壁掛け時計の方へと向けた、時刻は23時31分。もうそろそろ就寝時間だが、もう少し読み進めるか。と深海は内心で呟く。深海本人も少し瞼が重く感じていたが続きも気になるし、と続きを読み始めた。のだが………

(……ムリだぁ……睡魔に……負け…ぇ……)

「………Zzz」

ほんの数分で睡魔に敗北し、子供の様な寝息を立て机に突っ伏して眠りについてしまったのだった。

 

 

(……ん?これはぁ……)

不意に深海の意識だけが目を覚ました。目の前は真っ暗だが、自分の手足の感覚はぼんやりとだが伝わってくる。そして深海はこの状況を理解した。

(ああ、たぶん夢を見てるんだな俺は…)

夢を見るのもかなり久しぶりな気がするな。と感じていた時、不意に声が聞こえてきた。

「……い……きろよ……」

(ん?誰かの声…か?知ってるような気がする声だな)

深海の耳に届いた声は深海の知っている様な声だった。すると今度は、突然自分の肩を揺すられるような感覚が深海に伝わってきた。

「おい、起きろよ!今はコンディションイエローなんだぞ!」

さっきと同じ声が、今度はより鮮明になって聞こえてくる。

(コンディションイエロー?なんで警戒態勢なんだよ………コンディションイエロー!?)

その瞬間、深海は目を開いた。さっきまでぼんやりだった全身の感覚が一気にハッキリした物へと変わった瞬間、深海はその視線の先にいる人物を見て内心で驚愕していた。その人物が深海に続けて語り掛けてくる。

「たくっ、コンディションイエロー中に寝ちゃうなんて、危機感が足りてないじゃないですか?」

シン・アスカだと!?

 

シン・アスカ

 

キリッとした顔立ちと黒い髪、そして自身を見下ろしてくる深紅の瞳。見間違えようもなかった。「機動戦士ガンダムSEED Destiny」に登場するガンダムパイロットの1人だ。

(シン・アスカ……俺はシードデスティニーの夢を見ているのか!?)

だが深海が思った言葉はすぐに否定されることになった。

「ちょっとシン。仮にも年上の人なんだから、言葉遣いに気を付けなさいよ」

「ホント、口の悪さはアカデミーの頃から変わらないわね!」

シン・アスカの背後、そこには2人の女性が椅子に腰かけていた。アホ毛がある赤い髪の女性と、ピンク色をしたツインテールのような髪の女性だ。

「だ、だって本当の事だろ!?」

(ルナマリア・ホークに……確かあいつは…シードフリーダムで追加されたアグネス・ギーベンラートだったか?……てことは…)

その時深海は確信した。

 

俺は、シードフリーダムの夢を見ている!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。