機動戦士ガンダムSEED Free……Dream ―ミカイが見た夢―   作:黒瀬夜明 リベイク

13 / 36
PHASE-12 裏側

ファウンデーションの港周辺を歩き、深海はラクスのいた東屋にキラを送り届けた深海は、その後は2人の邪魔をする奴が現れないように見張っていたが結局そう言った奴は現れなかった。

そして翌日の昼過ぎごろ、ミケール大佐の逮捕作戦が発動され、ミレニアムのブリーフィングルームでブリーフィングが始まった。エルドア地区に存在する砦跡を占拠しているブルーコスモス戦闘員には投降を呼びかけ、人命の損失は最小限に抑える。前線の指揮はマリュー・ラミアス艦長の乗艦、アークエンジェルが行うこととなった。更には、軍事境界線を越えた場合は直ちに侵略行為とみなして攻撃する。と、ユーラシア連邦からの警告もあった。そして―――

(ファウンデーションは一般市民の避難誘導を優先し、敵の封じ込め。か…どこまで奴らがそれに従うか…気を付ける必要がありそうだな)

ブリーフィングを聞きながら深海はそんな事を考えていた。事ここにいたり、深海はファウンデーションの事を完全に敵対組織と認識していた。理由は言わずもがな、ブラックナイツたちの行動と殺気、そして唐突にラクスの事を自分の物にしようとしたオルフェだ。これがブラックナイツたちだけなら、深海の警戒心はそれなりに上がらなかっただろうが、国の宰相ともあろうオルフェの行動が、全てを決定づけたのだ。そしてブリーフィングが終わると、ミレニアムのパイロットたちはそれぞれに立ち上り部屋を出ていこうとした。深海も立ち上ると、目の前にキラとシンの姿があった。その脇にはルナマリアがいるが、彼女は今回の作戦ではミレニアムで留守番だ。そしてアグネスは既にその場にはいなかった。深海は3人の元へ歩いていく。そんな深海の姿を見つけたキラが声を掛けてきた。

「ミカイさん、どうかしました?」

「ああ、少しお前たちに伝えておきたいことがあってな」

「え?何かあったんすか?」

深海の言葉にシンも食いついてきた。丁度いいな。と思い、深海は語り出した。

「ブラックナイツの奴らなんだがな…」

 

奴らは何かおかしい

 

「え?」

「元々ファウンデーションは怪しい国だが、昨日の一日を通して俺はそう感じたんだ。ハッキリ言うが、もしかしたら奴らはミケール逮捕の作戦を利用して、何か別の事をしようとしているのかもしれん」

「それって、昨日ヘリポートに向かうまでに言ってたことですよね?いくらなんでも、考え過ぎじゃありませんか?」

ルナマリアが小さく反論を述べた。確かに昨日、深海はシンとルナマリアに「初対面の奴は基本信用しない」と告げた。故にルナマリアは、その話の続きだと思ったのだろう。深海はそう考え、そして自分の考えを口に出した。

「それもあるが、昨日初めて対面した筈のキラに向かって「君はクライン総裁に相応しくない」なんて、普通言うだろうか?」

「あっ!」「ええ!?」「嘘!?」

キラが思い出したように声をあげ、キラが上げたその声にシンは咄嗟にキラの方を振り向いた。ルナマリアだけは深海の方を見ていたが、その顔は驚きの表情で満たされていた。

「初対面の相手に向かって、そんな事は普通言わない。(一部例外はあるだろうが…)ましてや、これから同じ目標を達成するために協力する相手なら尚更だ。相手に対する自らの評価を下げてまでそんな事をする。という事は、裏に何かあると考えられないか?」

「………」

キラが押し黙る中、シンが口を開いた。

「その、何かっていうのは何なんですか?」

もっともな質問が深海に返ってきた。深海は少しだけ思案を巡らせてから口を開いた。

「確証は持てないが…今回、クライン総裁はファウンデーションの戦略情報室に詰めている。そして俺たちは実働部隊としてエルドア地区に向かう。ルナマリアはイシュタリア*1にミレニアムと共に残るが、クライン総裁とは一緒じゃない。つまり、クライン総裁は今、無防備な状態だ。数人の兵士を使えば、容易に拉致が出来る」

「そんな!」

深海の考えを聞いたシンが声をあげる。とても驚いているようだったが、唐突にルナマリアが尋ねてきた。

「でも、そんな事をしてどうするって言うんです?そんな無理矢理、隊長と引き離してもクライン総裁が首を縦に振るとは思えないわ」

「ああ、俺もそう思っている。………これは更に確証が持てない話だが―――」

「え?」

 

奴らは世界に対して、宣戦布告するのが目的かもしれん

 

「っ!?」

深海が放った言葉に、その場にいた3人が声にならない声をあげた。世界に対する宣戦布告。こんな言葉を聞けば誰でもこうなるだろう。ましてや、かつての大戦を終結させたキラや、当事者になりかけたシンからすれば怒りを露わにしてもおかしくはない。だが、当の深海もこの仮説は現実世界で見た「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」から予測した仮説でしかなかった。ヒロインを誘拐した後、地球に対して宣戦布告。かなり大雑把になるが「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」で戦いが起きたのはこういった経緯があったからだ。勿論この話は別の世界での話だ。このガンダムSEEDの世界でそのようなことが起こるとは限らない。深海はそれを承知の上で、先程の仮説を述べたのだ。

「でも、クライン総裁を連れ去って世界に宣戦布告するって言ったって、どうやってやるんですか!あの国、まだ国の規模からしたら小さい国なんですよ!?」

「だが仮に、例え嘘だとしてもクライン総裁……「ラクス・クライン」がその行為を支持している。と、あの宰相が宣言すればどうだ?クライン総裁の持つ影響力は凄まじい物だ、下手をすればプラントの民衆が呼応し、それに押された評議会、もしくは一部の急進派が地球に対して戦端が開いてしまう可能性はありえない話じゃない。「自分たちの行動は、ラクス・クラインも支持しているのだ!」とな」

「そんなことって!」「………」

キラの表情が曇った。その理由を知る深海も、少し心が痛くなった。ラクス・クラインの替え玉としてギルバート・デュランダル前議長に担ぎ上げられた「ミーア・キャンベル」という少女。その少女が行った事は、二次大戦においてプラントのコーディネイターたちに大きな影響を与えた。「ラクス・クライン」が語ることで、プラントのコーディネイターたちは団結する。この力を悪用されれば、また地球とプラント間で戦争が起こりかねない。深海は「機動戦士ガンダムSEED Destiny」の事を思い出し、そう予想したのだった。

「先にも言ったが、これは確証が得られていない話だ。俺の考え過ぎかもしれない。という事もあるが……ともかく、ファウンデーション…ブラックナイツの動きには警戒しておくべきだろうな」

「…わかりました。シンとルナマリアも、それでいいかな?」

「り、了解!」「はい!」

〈モビルスーツ出撃15分前、各パイロットは搭乗機にて待機してください〉

深海の言葉に、ある程度納得ができたのだろう。キラはそう言って、シンとルナマリアに尋ねた。2人、特にシンは未だに混乱しているようだったが、深海の話を受け入れてくれたようだった。そして艦内アナウンスが流れ、深海たち4人はそれぞれの搭乗機に乗り込むべく格納庫を目指した。

 

続く

 

*1
ファウンデーション首都

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。