機動戦士ガンダムSEED Free……Dream ―ミカイが見た夢― 作:黒瀬夜明 リベイク
〈シン、アグネス、ヒルダさんは敵モビルスーツの無力化を!こちらはミケールの指揮所に向かう〉
〈了解!〉
シンたちの声が返ってくると、イモータルジャスティスとギャンシュトロームがミレニアムから飛び立つ。次いでライジングフリーダムが左舷カタパルトにリフトアップされる。
〈ミカイさんはこちらの援護をお願いします!〉
「了解だ!」
そのままライジングフリーダムはカタパルトから飛び立ち、同時に右舷カタパルトにムラサメストライクがリフトアップされた。
〈ストライク発進、どうぞ!〉
「ミカイ・クロノ。ストライク、出るッ!」
カタパルトが一気に前進し、ムラサメストライクがカタパルトから撃ち出された。少し進んだ所でイモータルジャスティス、次いでライジングフリーダムが飛行形態へ変形した。深海も彼らに倣い、ムラサメストライクを変形させライジングフリーダムに追随していく。途中で合流したアークエンジェル艦載機のムラサメ改と合流しミケールが潜んでいるとされるエルドアの岩山にある砦跡へと向かって行く。
〈シキシマ隊はジャスティス、ギャンの援護。マホロバ隊は俺に続け!〉
通信機からムウの声が聞こえてくる。ムラサメ改が地上に展開する自走リニア榴弾砲や、対モビルスーツミサイル搭載トラック「ブルドック」に向かって大型ミサイル「70式空対空誘導弾」と小型ミサイル「68式空対空誘導弾」を発射して一掃し、それにライジングフリーダムとムラサメストライクが追随する。2機が黒い爆煙を晴らしながら飛ぶ。
(流石にあの車両はああして無力化するしかないよな)
そう思いながらライジングフリーダムの後を追う深海のムラサメストライク。そして岩肌が剥き出しとなっている峡谷に差し掛かると、地上から105ダガーがビームライフルを撃ちかけてくる。ライジングフリーダムは咄嗟にモビルスーツ形態に変形すると「フラッシュエッジG-3シールドブーメラン」を射出し、左手に「ヴェルシーナビームサーベル」を抜き放ち、高速で峡谷の間を飛び105ダガーとの距離を詰め、一刀の元に105ダガー2機の頭部を斬り裂き、フラッシュエッジG-3シールドブーメランで3機目を無力化し、ビームライフルの2連射で更に1機の105ダガーを無力化する。
(流石の速さだな)
ムラサメストライクを飛行形態に変形させたまま追随する深海は、キラの圧倒的な戦闘力に感心していたが、こちらに向かってくるジェットストライカーを装備した2機の105ダガーに気づくとすぐさまムラサメストライクをモビルスーツ形態へ横回転させながら変形させると、ビームライフルを撃ちかける。1発目は105ダガーの頭部に直撃し、続けて放った2発目がビームラフルを持つ右腕の手首に命中した。深海はすぐに照準を2機目に変えて、先程と同じように頭部とビームライフルを握っている右手を撃ち抜く。そしてスラスタースロットルを開いた深海は「フラッシュエッジG-3シールドブーメラン」の先端部のみにビーム刃を展開させ、すれ違いざまに左にいる105ダガーの右主翼と右側の105ダガーの左主翼を一薙ぎで切断させた。揚力を失った2機の105ダガーは真っ逆さまに地上へと落ちていく。
「悪く思うなよ」
そして、ライジングフリーダムがシールドブーメランを回収した直後、一条の閃光がライジングフリーダム目掛けて走った。ライジングフリーダムは咄嗟にジャンプしてそれを回避したが、その閃光は戦場から離れた町へと向かって飛んでいきやがて大爆発を起こした。
「っ!デストロイ!」
ズシィン!と重く大地を踏み締める音と共に、左前腕部と背部の円形リフター、胸部右側のスーパースキュラを失ったデストロイガンダムが姿を現したのだ。ライジングフリーダムの元に到着した3機のムラサメ改だったが、キラが咄嗟に、下がれ!と警告した。しかしデストロイから放たれた無数の光条がムラサメ改1機の翼を穿った。翼を失ったムラサメ改はそのまま落下していくが、ライジングフリーダムは空中を泳ぐようにそれを回避する。デストロイのビームは深海の元にも飛来したが、ビームとビームの間隔が広かったことが幸いし、深海は被弾をま逃れた。
(この程度ッ!)
〈まだあんなもんを!〉
不意にシンの怒りを露わにした声が聞こえてきた。シンがデストロイガンダムに対して複雑な感情を抱いている事を知っている深海は―――
「怒りに呑まれるなよ、シン」
とひとりごちた。すると、モニターの遠方。エルドア地区の市街地方面に多数の爆発光が閃いた。
〈ああっ!〉
唐突にシュラの驚いた声が通信機越しに聞こえてきた。その声を聞いた瞬間、深海は町の中で何が起こったのか大体の予想を立てることが出来た。
(市街地で避難民を装った人間爆弾か…ブルーコスモスの奴らめッ)
深海は怒りを覚えながらもすぐに前方へと向き直りデストロイへと向かって行った。すると別方向からシンの駆るイモータルジャスティスが2機のギャンシュトロームを従えてライジングフリーダムの元へと駆け付けた。
〈こんのぉー!!〉
シンの叫び声と共に、イモータルジャスティスが「フラッシュエッジ4シールドブーメラン」を射出し、続けて右手の「ヴィーセルナーゲル ビームブーメラン」を大きく振りかぶって投擲した。それに続くようにライジングフリーダムも「フラッシュエッジG-3シールドブーメラン」を射出する。高速で飛来した「フラッシュエッジ4シールドブーメラン」がデストロイの右腕のビームシールドに突っ込む、発生装置を破壊する。そこへ「ヴィーセルナーゲルビームブーメラン」が向かってくると、瞬く間に前腕部中程を両断し、追撃とばかりに「フラッシュエッジG-3シールドブーメラン」がデストロイの頭部を斬り落とす。そして隙だらけとなったデストロイにライジングフリーダムとイモータルジャスティスが高速で肉薄しそれぞれ「ヴェルシーナビームサーベル」と「ヴィーセルナーゲルビームブーメラン」をデストロイの胴体目掛けて激しく突き立てた。パイロットを失ったのか、デストロイはその場に崩れ落ち、黒煙を上げて沈黙した。
〈先を急ぎましょう!〉
キラの言葉が聞こえてきた時にはライジングフリーダムもイモータルジャスティスもデストロイの元から離脱しており、砦跡を目指して進撃している。深海も遅れる訳にはいかないと、再度ムラサメストライクを飛行形態に変形させて後を追いかけた。だがその時、聞きたくは無かった声が聞こえてきた。
〈……やむを得ん。エルドア地区に限り、救助活動を許可する!〉
今まで聞いた事のない野太い男性の声だ。戦略情報室に詰めているであろうユーラシア連邦高官の声であることはすぐにわかったが、深海はすぐに警戒心を強め、キラ達コンパスのメンバーだけに通信チャンネルを合わせて呼び掛けた。
「ブラックナイツが動くぞ!」
〈っ!?〉
キラ達からの返答は無かったが、ブリーフィングルームで話をしたキラとシンは気を引き締めている様子だった。深海は後方を警戒しながら更に前進を続ける。ブラックナイツたちがいつ後ろから撃ってくるかもわからなかったからだ。だが、しばらくは何も起こることは無かった。しかし―――
「ッ!!」
唐突に背筋が凍り付くような鋭く冷たい殺気が深海の体を貫いて行った
だが、深海はすぐにそれが自分へ向けられているものではない事を悟った。殺気は、持続的に感じる殺意を纏う気。と深海は思っており、それが自身に付き纏うのを深海はこれまでの人生で何度も経験している。故にどんなに小さな殺気でも感じ取ってしまう程敏感な体質になっているのだ。
(な、何だったんだ今のは?)
だが流石の深海も少し驚きを隠せなかった。周囲をグルリと一弁した深海だったが、おかしなことは見当たらない。深海の思考がそこまで巡った所で、異変は起こった。
「ん?」
目の前を進行していたライジングフリーダムが飛行形態からモビルスーツ形態に変形すると急制動を掛けたのだ。その奥には砦跡を目指すイモータルジャスティスやギャンシュトローム、ムラサメ改の姿が見えた。なぜこんな所で止まる。と深海は思い、ムラサメストライクをモビルスーツ形態に戻し、ライジングフリーダムの元へ駆け寄った。
「キラ、大丈夫か?」
深海が声を掛けたが返事は無い。いつものキラなら、何かすぐに返事をしてくるがそれが無い。深海は嫌な予感を感じた、その瞬間だった。
ミケール?
キラのその一言が深海の耳に入ったのと同時に、ライジングフリーダムは先程とは全く見当違いの方向へ向かって行ったのだった。
「キラッ!」
深海が呼びかけたが返事はやはり返ってこなかった。
続く