トランスボーダー〜秘封憑依華〜   作:リトルラ

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プロローグ

 日の出はとっくに過ぎた午前六時二十五分。いつも通りの朝がやってきた。

 アラームの鳴る五分前には目を覚まし、鳴り響く瞬間にスイッチを押して不快な音が鳴る事を未然に防ぐ。

 その数秒、寝ぼけ眼のままぎしりと波のようにうねるポケットコイル式のベッドから起き上がる。

 

 良かった。今日の天気は晴れのようだ。

 部屋の窓からは日光が差し込み、通勤であろう車の駆動音が聞こえていた。

 特段不快ではない。

 雑踏の聞こえない、爽やかな空気を感じることのできる今の時間帯が、私を夢から現実へと引き戻してくれる重要なファクターとなってくれているからだ。

 

 足先が冷えないように靴下を履き、洗面所へと向かう。

 歯を磨き、顔を洗う……もはや身体が覚えたルーティン。

 数年住んだ部屋の間取りは完璧に把握しており、頭が動いていなくてもオートメーションで行きたいところへ行くことができるようになってしまった。

 朝ごはんはいつもその後に召し上がる。

 あ、パンだけでもトースターに入れておけば良かったな、と毎朝洗面台に着いた頃に思い出す。二度手間は御免なので、そのまま洗顔するのだけど。

 その際、すい──と黒い横髪が水の流れる蛇口へと吸い寄せられていたので、優しく耳にかけた。

 

 ……黒い髪?

 蛇口のレバーを下げて、無遠慮に流れてくる水をせき止める。

 そして顔から滴る雫はそのままに、ふと自分の髪を弄りだす。

 幾ら捻っても片結びをしても、形状記憶のようにあるべき姿へと戻ってしまった。

 わたし、マエリベリー・ハーンは金髪だ。勿論染髪によるものではない、自前のブロンドヘアーである。

 加えて、わたしの髪はくせっ毛が酷い。伸ばしていた時期もあったが、手入れが面倒だった為、最近はショートのボブが落ち着いている。

 さぁ。今のを踏まえて、わたしのヘアースタイルで横髪を耳にかけるという行為は本来できない行動のはずなのだ。

 タオルで水に濡れた顔を拭き、真実を真正面に設置された鏡で判断する。

 

 

 ────な……な、ななななな

 

「なによ、コレ───────!!!!」

 

 

 目を見開き、半覚醒だったらわたしの意識が完全に覚醒する。

 そして、この日わたしは生まれて初めて隣の部屋から壁を鳴らされてしまった。

 でもそれは仕方のない事だと、今の私なら思うかもしれない。

 何故ならわたしの髪は鮮やかなブロンドからシックな黒髪に。

 それだけでは留まらず顔、輪郭までもが丸々挿げ替えられ、メリー(私)という原型がまるっきり無くなっていたのだから。




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拙作ですが、何卒よろしくお願いします。
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