遊戯王ZEXAL~シャークインゼロ~   作:立花総司

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第9話 鮫と次元移動

時が流れるのも早いものだ。凌牙とトロンのデュエルから早数日が経過、つまり大会のほうも既に数日経過しているということだ

 

 

そんな中、凌牙は自室にて大会出場記録と次のステップに続く資料を見ていた

 

 

「…遊矢、柚子と言った面々は勝ち進んでいるか」

 

 

イイ感じに進めている中、その中に一部「出場禁止(危険対象者)」の注意喚起の印が刻まれている者も少なからずあった

その中には、遊勝塾に所属していた「紫雲院素良」がリスト入りしていた。彼の正体は融合次元のスパイということだった。

大会中彼を拘束するつもりだったが、あと一歩のところで融合次元に逃げられてしまったのが悔やまれる。

 

 

「あまりに胡散臭い態度していたから、奴には注意していたが…案の定当たりだったからな」

 

 

過ぎたことを言っても仕方ないこと。次の資料にも目を通す

だがその資料先こそ、実はこの大会で疑問に思っていた人物の一人が明かされたのである。その名を「黒咲隼」。突如としてLDS所属決闘者として名を広め、先の対戦相手の素良を完膚なきまでに叩き潰した腕前を持つ

だが凌牙が目を向けたのはそこではない。それは自分でも知らないテーマ『RR』という鳥獣族デッキを操り・・・『RUM』をも使ったことである。

 

 

「…RRはともかく、あんなRUMなんか聞いたことがねえ。しかもだ、速攻魔法RUMも希少価値の高すぎるカードだ。ありねえことだ」

 

 

RUMはエクシーズモンスターのランクを上げるカード。ただランクアップするだけならまだしも、テーマ内での進化は初耳であった。

さらに、RUMも今の所「通常魔法/速攻魔法」しかなく、自身が知る速攻魔法はたった1枚だけ。それなのに黒咲は先のデュエルで2度も速攻魔法を使った。

恐らくであるが、凌牙は先のLDSを襲撃した犯人が黒咲である可能性が高いと見た。そしてエクシーズ次元の住人の可能性もあると見た。だが、何のために零児が危険を冒してまで黒咲をLDSに入れたのか

 

 

「…次元へ至るためにエクシーズ次元の力を借りるってところか。アイツ、俺にも黙ってそんなことしてたのか」

 

 

凌牙への負担を減らすためか、はたまた別の思惑があるのか…零児の考えてることを、凌牙も逐一全て伝わっているわけではない。

いずれにせよ、凌牙は黒咲と会わなければならない…が、流石に大会期間中に顔を合わすのもあれだと思い、時が来るまで待つ道を選んだのであった。

 

 

「それと、明日は予定を変更してバトルロイヤルルールに切り替える…って零児も言ってたな」

 

 

丁度少し前、零児が凌牙の元を訪れて明日の大会ルールをバトルロイヤルルールに切り替えると話した。16名と参加している決闘者の数を減らす…と単純に言うも、その真実は融合次元における侵攻に備えて早めの対策を取るということだった。

現に素良が融合次元に戻された以上、いずれにせよ敵の侵攻が近い可能性が高いということ。そして敵がこのスタンダート次元に攻撃してくるための選抜試験と言っても過言ではない

 

 

「…はあ」

 

 

溜息つきながら、凌牙は資料を乱暴にテーブルへと置いた。その脳裏には、数日前の事を思い返していた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊馬達が行方不明だと!?どういうことなんだV!!!」

 

凌牙があまりに信じられない発言をしたVの胸倉を掴んだ。だがすぐにVが冷静に答える

 

「…すまない、本当は私たちもあまりの出来事に信じられないことだ。丁度複製ナンバーズの捜索中、突然と行方を暗ました。私たちもすぐに捜索したが、見つからなかった」

「可能な範囲、それに普段なら行かないエリアも全部調べ上げた。何なら、アストラルにもこのことは伝えて捜索の手伝いをしてもらった…けど、見つからなかった」

 

VとⅢの言葉に、凌牙は冷静さを取り戻しVを解放する

 

「…悪かった、急に取り乱して」

「いや、言葉をしっかりと伝えてなかった我々にも責任はある。改めて、行方不明者は…遊馬・小鳥・ミザエル・ドルベ…そして君の妹の璃緒、5名だ」

 

凌牙は改めて思い知る。理由はどうであれ、遊馬達が何者かの手によって捕まってしまったということは確実。妹の璃緒すら捕らわれの身になった以上、凌牙自身かならず自身の手で取り返さなければならない

だが、現時点でどの次元に捕らわれているのか、そこまで定かではない

 

「だからこそ、複製ナンバーズに予め緊急用のシグナルを発する特殊なプログラムを施して反応そのものを探ることもできたのだが…磁場が乱れて思うように見つからないのも事実」

「危険だけど、その次元に行かない限りシグナルを特定しなければならない。多分、赤馬零児は既に多次元に渡れるような準備もしているはず」

「ああ。なんでも最近そういうような話題もしてたからな…」

 

零児からもある程度の情報を手にしている凌牙は、今後の事のわかる範囲で情報共有している。

 

「…そういうことだ。凌牙、改めて君に頼みたいことは各次元に飛び散ったと思われる複製ナンバーズと遊馬達の捜索。できる限り私たちも裏でサポートは行うつもりだ。頼まれてくれるか?」

「当たり前だろ。こんな役目俺ぐらいしか務められないのも確かだ」

 

話は決まった。凌牙は今後の事を踏まえながら考えていると、Vから一つの物を渡される。小型チップのようなものだが

 

「ならば最後に、これを。これをDゲイザーにつけることで通信会話を行うことができる。これは他からの電波などを受けずに会話ができる。何かあればこれですぐ連絡してほしい」

「分かったっ」

 

受けとりながらそれをDゲイザーにつけつつ、凌牙はふと一つ呟いた

 

「そういえばお前ら、トロンの付き人で来たみたいだが…何かあったのか?」

 

そういうと、Ⅲが代表して答えた

 

「彼はある程度ごまかしていると思うけど…ナンバーズについて父様から尋ねたいことがあるらしい」

「ナンバーズを!?零児…あいつまさかナンバーズを作り出そうとしてるのか?だが、それはできないはずじゃ」

「うん、V兄様達が施した『アレ』を取り入れない限り複製ナンバーズを作り上げることはできない。勿論、父様もこのことは他言無用にしているから大丈夫だけど…それに、ナンバーズの本質を知らされてないなら、猶更」

 

まさか秘密裏でナンバーズを生み出そうとしていたとは、流石な凌牙でも読めなかった。隠れて色々と手を加えていたのか…と考えてしまった

ここ最近の親友の考えていることがよくわからなくなっていた凌牙は、まさに混乱気味でもある

 

「ともあれ、父様が赤馬零児との会談後我々はすぐにハートランドシティに戻る。何かあれば必ず連絡してほしい」

「分かってる。俺は…必ず全てを取り戻して見せる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そんなことがあって早数日。この大会、無事で次のステップに進むと思えねえが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凌牙の嫌な予感は的中した。

翌日・・・バトルロイヤルモードでのデュエル中、恐れていた融合次元からの侵略者からの攻撃。

それに伴い大会参加者たちにも襲い掛かり、敗北した決闘者はカードの中に封じ込められることも判明

遊矢達は何とか融合次元からの侵略者を最終的に追い返すことに成功するも、柚子が行方不明になってしまう。やがて柚子に似た少女『セレナ』の発言で恐らく多次元に連れていかれてしまった可能性があるという。

真実を告げに来た、口がやや足りない零児の発言に強い怒りを感じた遊矢が零児と怒りの感情のままデュエルに突入。

零児は何かと遊矢を試そうと挑発じみたデュエルを行い、最終的いつものエンタメ精神が欠けた遊矢が敗北した。

 

 

 

そんなデュエル風景を、凌牙はモニター室で眺めていた

 

 

「…」

 

じっと画面を見つめる凌牙。何を考えているか分からないが、このような強引な方法は確実に圧政じみた行為に見えてしまう。

もしこんな方法を、あの遊馬達が見たら真っ先に否定するだろう。だが、凌牙はそれが言えない

やがて零児がモニター室に入って来た。凌牙のほうに近づいてくる

 

「零児・・・」

「凌牙、無理を圧してしまったことを申し訳ないと思ってる。だが、最早形振り構わず動かなければ赤馬零王の手に完全に落ちてしまう。これしか…方法がないことも」

「…分かってる。お前が無理してでもやりたいことはわかる。けどよ、ちっとは俺もに告げてくれ。そうすりゃ少しは楽になる」

 

今、このモニター室には自分たちしかいない。零児は入ってきたときいつもと違い少し弱気な様子で告げたことも。彼自身無理して実行していた

親しい人にしか見せない、本当の顔を見せたのだ

 

「ああ。それと…トロン氏とナンバーズの件、黙っていたことも改めてこの場で謝罪させてほしい」

「よしてくれ。お前が色々と手を加えていたんだ。だが、ナンバーズはそう簡単には作れないってことも一応告げておくぜ?」

 

そういいつつ、少し楽な表情を見せた零児は次のプランに入る。

 

「今から全市民に対して融合次元…アカデミア・ランサーズについても全て話す。凌牙、サポートも頼む」

「ああ、任せろ」

 

そういうと、画面を会場内に切り替え事の顛末全てを語る。

 

舞網チャンピオンシップの中止。融合次元からの侵略者とカード化にされる人たちのこと。

生き残った参加者たちはランサーズとして次元との戦いに参加することも。

そして大会画面が零児達のいるところへと映る

 

「世界は今、この時をもって一変した。もう昨日までの平穏した平和は、過去のもへと変わった。今や戦いを生きる時代に生きていることを認識せよ。全世界のレオデュエルスクール・LDSは本日より、ランス・ディフェンス・ソルジャーズとして、防衛の最前線に立つ。そして、ここにいる赤馬零児と私の友人たる神代凌牙もまた、勇者とするランサーズ達と共に打って出る!」

 

演説を始める零児に腕組みしながら視線を見つめる凌牙。既に会場内のコールは最高潮を達していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、全ての準備を整えた一行は顔合わせのためLDS内の一室に集まった。遊矢達は全員揃い最後に零児と凌牙も来る。

このランサーズのメンバーは

 

赤馬零児(総指揮官)

神代凌牙(副指揮官)

榊遊矢(リーダー)

セレナ

権現坂昇

黒咲隼

沢渡シンゴ

デニス・マックフィールド

月影

赤馬零羅

 

 

以上10名となる。

ちなみに、デニスとはLDSのロードウェイ校からの留学生でエクシーズ使い。遊矢の父である遊勝をリスペクトしている。勿論凌牙の事も尊敬している…のだが、かなり怪しい人物で注意が必要

月影は風魔忍者のデュエリスト。忍者と言うことで情報収集が得意なこともあり、抜擢された。零羅の護衛も担当している

 

 

さて、いよいよ本格的に融合次元に乗り込む…だったが、予定を変更して最初に『シンクロ次元』に行くことになった。

まずは戦力強化と融合次元とのつながりを確認する必要があったのだ。そして問題がなければ同盟関係を結ぶ必要もあった。

 

無論黒咲は強く反論するも、遊矢に説得されてしぶしぶ了承した模様。

更に調査したなかで柚子がシンクロ次元にいることも確認が取れている。ならば真っ先にそこから攻略した方が一番だということになる。

 

そしていよいよ次元移動が近づく。移動の準備は次元移動装置で移動することになる。エクシーズ次元のデュエルディスクから参考に作られたという。

 

 

いざ移動…と思われた矢先、隼が凌牙に話しかける

 

 

「待て、移動する前に一つ聞かせろ。神代凌牙、お前は何者だ?」

「はあ、何者だ?何分からねえことを」

「俺の故郷ではお前のような戦い方をよく知っている。だが、故郷の決闘者でなければ卓越したエクシーズ使いにして真っ先にこの中で一番の力を持つ貴様の素性を最終的ろくに調べることができなかった」

「そりゃどうも。生憎と俺は一度デュエル界から追放されている。復帰するのも偉く時間かかったからな」

 

その言葉に、遊矢は数日前の塾長の言葉を思い返していた

 

 

『凌牙君は、かつてデュエル大会にて相手のデッキを盗み見たということをしでかし、表舞台から完全に姿を消していた。だが、それまでの彼がそのような不正行為をすると言う情報が一切なかったんだ』

 

「(凌牙さん、あれほど強いのに表舞台から追放されていた…誰にも知られずに忘れ去られていた。あの日見た凌牙さんの背中は、空しい感じがした)」

 

そう考えていた遊矢が表を上げた時には、もう凌牙と隼の話は済んだとばかりな様子をしていた。何か通じ合ったのか?

 

 

一行はその後、特殊なカードをスロットに入れとうとう次元移動を果たしたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンクロ次元、シティの中でも特に指折りの上級階級と呼べるトップス。そこに一人の少女が学校帰りに歩いていた

 

「はあ…今日は少し調子が狂ってたわね。まあ、私でもああいうことしちゃうことあるけど」

 

その少女はなかなかのスタイルの持ち主でもあり、頭にドリルを付けている少々変わった形ではあるがこれでも成績はとてもいい方である。

と言え今日は少々珍しく失敗ばかりが続いていた様子。そんな中帰宅中の道を歩きながら呟いていた

 

「今日はカードの調整だけでも…あら?」

 

そんな中、近場の公園に目が向くとそこに倒れている青年の姿を見つける。彼女はすぐにかけより倒れている青年に声をかける

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

ゆさゆさと揺らすも反応はしない。だが息をしている辺り死んでないことが伺える。ひとまず少女は何とか肩を貸しながら自宅のほうに歩んでいく

 

「今日に限ってパパとママはいないし、しかもこの人身分証明とかなさそうだし…ああもう、とにかく家に行って何とかしないと」

 

 

 

この出会いが、青年…神代凌牙とその不思議な少女との運命の出会いであった

 

 

 

 

 

スタンダート次元 完

 

 

次回 シンクロ次元




と言うことで、無事に第1部完結までもってこれました
本家の方から度々修正を加えていましたが、指摘を受けたりして実はやべえミスを何度と繰り返していたので、本当感謝しかありません

一先ず第2部の投稿に関しては、pixiv様の方で第2部完結するまで2部以降の小説投稿は一切しません。その代わりですがキャラ紹介・用語説明・番外編の投稿は行いたいと思います

では皆様、第2部の投稿はだいぶ先になりますが、気になる方はあちら側でお会いしましょう
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