気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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気づいたらデュエルアカデミア編
世界の目覚め


―――熱い―――

 

“また……も…メみた……”

 

―――苦しい―――

 

“でも……で…なたが………して…ってわ……た”

 

―――守れなかった―――

 

“最……であの……こと考………のね。必……が殺……あげ…”

 

―――どうしてこんな―――

 

“また…………で会い………う。さよなら、……シン”

 

―――せめて、もう一度……ト…ラ…―――

 

 意識が消えていき無が訪れる。

 

 あぁ、俺は死んで……

 

 

 

 

 

 

「おきるノーネ! ヨワタリ テンシーン!」

「んあぁ?」

 

 脳内まで響き渡るような大音量。至近距離で誰かが叫んでいる。なぜ? 誰?

 

 意識が覚醒する。自分は眠っていたのか? 横を見ればそこにはそびえ立つおかまっぽい変人。見覚えがない。そもそもここはどこ? しかし考えるヒマはなかった。

 

「シニョールヨワターリ! 授業中に居眠りとは、どういうことナノーネ!」

 

 “ワハハハ” “クスクス”

 

 周りからは笑い声が聞こえる。子供ばかりだ。それに授業中という言葉……学校?

 

「ナンナノーネ、その“なんだおまえは?”とでもいいたげな目は?! 自分の状況も理解できなくなるほどグッスリおネンネするなんーテ! これだから落ちこぼれになるーノデス!」

「はぁ……」

 

 寝ぼけた脳ミソではしゃべり方が変過ぎて聞き取りがしんどい。この人外国語の教師なのか?

 

「ではもう一度言ってあげますーノ! 儀式魔法について説明するノーネ!」

「はぁ? 儀式? 魔法? あんた宗教にでもはまってんの?」

 

 周りからドッと笑い声。しかしそれは変人を笑ったのではなく、俺自身に向けられたものだとすぐに思い知らされる。

 

「なんとナンート! 儀式魔法をご存じないノーネ! とんだドロップアウトボーイですーノ! よくそれで我が校に入学できたノーネ!」

 

 やはりここは学校か。だが儀式魔法なんて聞いたことも……いや、1つだけあるがそれは学校で問われるものとしてはありえない。ん? そういえばこいつの顔……

 

「では仕方ないノーネ。シニョーラ天上院! 代わりに答えるノーネ!」

「はい。儀式魔法は儀式モンスターを儀式召喚する際に用いるマジックカードで、モンスターごとに専用の儀式魔法が存在します」

「完璧ナノーネ! さすがオベリスクブルー、オシリスレッドとは全然違いますーノ!」

 

 やっぱりだ! 予想が確信に変わる。一言で今の状況を説明するなら、こうだ。

 

 ……俺は気づいたらデュエルアカデミアにいた!

 

 ◇

 

 現状確認しよう。これが俺の見ているバカげた夢の中なら問題ないが、事は俺の予想を遥かに超えていた。つまり、これはどうやら現実である、という結論に到達せざるを得なかった。頬はまだヒリヒリと痛む。

 

 あの変人は実技担当のクロノス教諭で間違いない。さっき俺の代わりに答えたのは天上院明日香。クロノスは相当なイロモノでインパクトはあるが、先に予想外の可能性に思い立ったのは明日香を見てからだった。世の中わからないもんだな。

 

 場所はデュエルアカデミアで間違いない。そう、遊戯王GXの世界だ。前の方の席では遊城十代がわめいているし、舎弟の奴もいる。自分が知っている通りだ。

 

 そして俺達は一年生、それも入学したてのようだった。「よく入学できたノーネ」なんて発言は1年の最初の頃にしか聞けないセリフだろうし。

 

 時と場所はわかった。残すは俺自身が何者か、だ。

 

 とりあえず以前の俺とは明らかに別人なのは間違いない。絶対に別人だと言う確信がある。

 

 理由は単純……髪、長過ぎ! 現在進行形で視界が塞がれている。まさかペガサスの親戚?!……まぁ黒髪だから違うんだろうけど。

 

 この前髪、邪魔過ぎることこの上ないがいきなりバッサリいくのは怖い。急に容姿を変えると悪目立ちするかもしれない。それを中身の変化と関連付けられる可能性がある。しばらくは我慢するのが無難だろう。

 

 さて、自分が知らない“誰かさん”の中に入ってるのはわかったが、誰に入ってるのかがわからない。そして元の主の意識みたいなものがない。千年パズルの住人みたく憑依してる……というわけでもない、のか? 精神が入れ替わったとかだろうか。

 

 別人の体になってることについては深く考えることはやめた。ここってそういうのはなんでもアリの世界だし気にするだけムダだ。

 

 しかし記憶には元の宿主に関することは一切残っておらず、自分のことしかわからない。残念ではあるが闇遊戯が自分のことすらわからなかったのに比べると恵まれているのかもしれない。例えばこの先の出来事を知っているのはとても大きなアドバンテージだ。

 

 自分に関する情報は結局ほとんどわからず仕舞い。授業中ずっと持ち物を漁ってようやく手に入れた収穫はこの体の名前だけ。それは筆箱に記されていた。

 

  世渡 天真

 

「ヨワタリテンシン……おそらく本当の意味は世渡“転身”……世を渡って身を転じる、か。これ以上ない程的確な状況説明だな」

 

 たまげたねぇ。この状況、人から聞いただけならホラ話だと笑い飛ばすが、俺の目の前には否定しようがない現実が横たわっている。百聞は一見に如かずって奴だな。

 

 やはり最初に思った通り俺は誰かの体に精神だけ移されているようだ。

 

 ならばこれからどうする? もう一度寝て起きたら元に戻るのか? それはあまりに楽観的。俺はここで生きていくしかない。この状況から逃げられないなら俺はこの世界で最善を尽くすしかない。

 

 もし自分が元の世界に戻れるとしたらどうすればいい? 12次元を渡る時か? それとも三幻魔を従えた時……? 

 

 いずれにせよまずは力だ! 力なき者に選ぶ権利はない。今後の身の振り方をどうするにせよまずは力がなければ話にならない。俺はなんとしてでも強くなる!

 

 決意を固めると同時にこれまでの半生の思い出が蘇って来る。二度と取り戻せない時間、大事な人達の顔……。俺は大切なモノもこれまでに積み上げてきたモノも全て無になってしまったんだ……。

 

 と、そこまで考えておかしなことに気づく。失ったモノたちへの未練が……ない。不思議とこれまでの半生にそこまで価値を感じない気がした。でもこれまでの人生はたしかに自分にとってかけがいのないもので、そして大切な人達がたくさんいて……

 

「あれ? 俺が失ったものって何だっけ?」

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 終了のベルが鳴る。そうだ、時間は待っちゃくれない。くよくよしても仕方がない。今は目の前の現実を生き抜くことに集中しよう。それが自分のするべきことだ。

 

 ぞろぞろと生徒が立ち上がり席を立とうとする。自分もさっさと教室を出ようと腰を上げるがクロノスがそれを制止した。

 

「おっと、まだ席を立つのは早いデスーノ! レッドの諸君には、追加レポートナノーネ!」

「はぁ!? なんでだよ!」

「横暴だ! 理由を言えー!」

 

 周りから声が上がる。心なしかイヤな予感が……。

 

「理由は単純、そこのドロップアウトボーイが勉強不足ナノーで、連帯責任デスーノ! では、これで授業は終わり、ナノーネ! ノーネノーネ!」

 

 高笑いしながらクロノスは去っていき、行き場を失ったレッド達の非難は俺に集中した。

 

 それからは酷かった。

 

 なんと全員でよってかたって俺をイジメにきたのだ。しかも言葉でなくいきなり直接的な手を下す連中までいたことには驚かされた。薄々感じていたが今の俺のヒエラルキーはほぼ最下層と言って良さそうだ。状況はすこぶる悪い。

 

 だが黙ってやられる道理はない。ここでボコボコにしてどっちが上か格付けしてやる。

 

「俺にケンカを売るとは上等……ぐはぁ!?」

 

 いつもなら何人束になっても負けはしない。しかし今日は違った。どうにも体が思うように動かず、あっさりと拳をもらってしまう。しかも体力がなさすぎて簡単に膝をついてしまった。

 

 よく考えればそれもそのはず、この体はいつもの俺とは違う。知らない人間のものだ。

 

 戸惑う間に色んな物や言葉を投げつけられてボロボロの状態になってしまった。こんな奴らに後れをとるなど不覚にも程がある。悔しさから唇に血がにじむ。非難する連中の輪には見覚えのある奴……丸藤翔の姿もあった。丸藤翔は手こそ出していないにせよあんなザコにまで見下されるとは耐え難い屈辱だ。

 

 不運にもこの休みが昼休みだったようで糾弾は止まない。実際儀式魔法を知らないのは相当な失態だったのは間違いないが、状況が突拍子もなさすぎたことも事実。理不尽としか言いようがない。

 

「てめぇ、おれは今日大事な用があったのに、どうしてくれんだよ!」

「しるかよ、てめぇの都合なんか」

「俺の分もお前がやれ!」

「言うこと聞けッス!」

 

 ほとんどの生徒がいなくなった後も3人の生徒がしつこく俺にまとわりついてくる。豚っ鼻の大男とちっこい子分が2人。いい加減我慢の限界なのでこっちも売り言葉に買い言葉で返した。

 

「俺はなーんもわからないからあんたのレポートがどうなるか知らねぇけど、それで構わないならやっといてやろうか?」

 

 あえて挑発的に言うと一番デカイ奴がキレた。

 

「チッ! クソ! だったら迷惑料だ! カードを寄越せ!」

「ふざけるな! 誰がお前なんかに……ん? そういえば……俺のカード、どこに……」

 

 とっさにカードを守ろうとするが肝心のカードがどこにあるかわからない。一瞬頭が真っ白になる俺より速くレッド達の親玉、俺をイジメる大男が素早くカードをみつけて中身を検めた。

 

……なぜこいつが場所を知っている?!

 

 こいつ、これが初めてじゃないっ!

 

 その事実に思い至り怒りがこみあげるが、カードは戻らない。こうなれば意地でも取り返す覚悟で詰め寄ると両サイドから両手を押さえられ、そのまま押し倒された。

 

「この、離せ!」

「おいおい、前よりさらにカードが弱くなってるじゃねぇか。また他の奴にも負けたのか。あっというまに弱くなるなぁ、おめぇはよぉ。こんなゴミ束、返してやるぜ」

 

 しめた! 何と言われようが返してもらえればもうけもの。しかしそこで悲劇は起きた。

 

 バラバラバラ!

 

 投げ捨てられるデッキ、散乱するカード、そして……

 

「ゴミはゴミ箱にってか?」

 

 カードが俺のプライドと共に汚い足で踏みにじられ、ゴミ箱に捨てられた。目の前が真っ赤に染まる。

 

「てんめぇ!」

 

 その瞬間、頭の中を憤怒が埋め尽くした。魂が……怒りに震えている!

 

「おっと、暴れるな! なんだ、今まではおどおどしてたくせに今日は威勢がいいな。面白れぇ。だったら今度はデュエルでボコボコにしてやるよ。とはいえデッキを取っちまうとアンティデュエルが先公にバレちまうからなぁ。今日は負けた時は痛みを伴う方法で償ってもらうってのはどうだ?」

 

 こいつ、俺がビビって言い返せねぇと思ってやがる。ここまでの仕打ち、そして俺の知らないこの体の主が今まで受けた屈辱も全て、この男に償わせてやる! 痛みを味わうのはお前だ!

 

 嘲笑にさらされながらゴミ箱からカードを拾い上げ、デッキを組み上げた。俺にはこのカードしかないんだ。幸い汚れてはいるが折れてはない。どんだけ頑丈なカードなんだ。今はそれに救われた。

 

 3人組の親玉の方に向き直り、堂々と俺は宣言した。

 

「受けてやる! 俺が勝ってお前のカードを逆に奪ってやる! お前は俺の踏み台だ!」

「ほう、どうやらお前は居眠りしすぎて今まで何回負けたか忘れたらしいな。アカデミアに入る前から何連敗だ? ストレス発散には丁度いいカモだぜ」

 

 取り巻き二人とそのボスのジャイアントオークみたいな奴、締めて三人がニタニタといやらしい笑みを浮かべる。強者の愉悦とでもいうのか。俺はお前らのサンドバッグじゃねぇ。ここでこの負の連鎖を断ち切る! カードを拾う際にチラッとデッキを見た感じでは相当弱いのは間違いない。だが、絶対に活路はある! こいつを倒してみせる!

 

「さっさとデュエルだ! 覚悟しろ!」

「いいぜ、こいよ。お前の墓場まで案内してやる」

 

 どこか人気のない所へ行くつもりか? これは少しマズイな……こいつらもし負けたら暴力でなんとかする気だ。今のヘロヘロの俺じゃ3人相手は厳しい。

 

 さっきレッドのガキ共相手に後れを取ったのはこの体が空腹でヘロヘロだったからだ。力を籠めることもできやしない。だから負けた。

 

 敵のテリトリーへ無策では行けない。ここは仕方ない。恥を忍んで栄養補給だ。

 

「ちょっと待ちな! その前にメシを食わせろ! 昼休みは長い。それぐらいの時間はあるだろ」

「メシだぁ? ケッ! バカみてぇなやつだな! いいぜ、食えよ! ただ、食い過ぎには気ぃつけろよ? またぶちまけられちゃかなわねぇ……ククク」

「……!」

 

 ギリギリと歯ぎしりが止まらない。まさか……この体が空腹状態だったのはそういう理由なのか? 吐き出すものがあっちゃ困るからってわけかよ?!

 

 急いで弁当をかっこんだ後、連れられたのは森の中。隠れて違法なデュエルをするにはうってつけの場所だ。

 

 辺りに視線を向けると赤いものが目に入った。あれは……木に赤い染み? まさかこれって俺の血か……!! どうやら、俺の怒りはまだ足りなかったらしい。どこまで俺の神経を逆撫ですれば気が済むんだ!!

 

 デュエルディスクを構え、デッキをセットする。この世界での最初のデュエルだ。俺の魂をかけて、必ず勝つ! この醜悪なオークのような大男を絶対に倒してみせる!

 

「先攻はもらった! ドロー!」

「しまっ!?」

 

 ここじゃ先攻は宣言した方のものなのか! くそっ……迂闊だった。ここはGXの時代。先攻ドローが許される以上先攻有利は絶対。かなり大きなハンデだ。

 

「いきなりきたか。なら速攻で終わらせてやるとしよう。ブラッド・ヴォルスを召喚だ。ターンエンド!」

 

 

《ブラッド・ヴォルス》

通常モンスター

星4/闇属性/獣戦士族/攻1900/守1200

悪行の限りを尽くし、それを喜びとしている魔獣人。

手にした斧は常に血塗られている。

 

 

 はぁ? 効果もない低級モンスターを出しただけで勝ったつもりか? クロノスじゃないが、さすが落ちこぼれレッドってところか。しかも油断しているのか伏せカードもない。

 

 ここだ! ここで畳みかける!

 

「俺のターン! ドロー! なっ!?」

 

 なんじゃこりゃ!? 弱い、弱すぎる! 己の手札を見て愕然とした。これならブラッド・ヴォルスだけで勝ち誇るのも無理ないぞ!? 勝てるヴィジョンが全く見えない!!

 

「どうした? どうせ何を引いても勝てやしねぇよ」

 

 クソ! なめやがって! 俺の最初の手札は「リトル・ウィンガード」「秒殺の暗殺者」「アメーバ」「ルイーズ」「城壁」の5枚。最後の望みをかけて引いてきたのが「TM-1ランチャースパイダー」……こいつどうやって生贄召喚するんだよ! しかも召喚できたとしても弱い! 邪魔だ!

 

 

《TM-1ランチャースパイダー》

通常モンスター

星7/炎属性/機械族/攻2200/守2500

ロケットランチャーを乱射して、相手を爆殺する機械グモ。

 

 

 なんだこのクソデッキ! 構築もへったくれもねぇな!

 

 そもそもモンスター多過ぎなんだよバカヤロー!!

 

 たまたま偏ったのか? それともどこ引いてもこんな感じなのか? それすら不明。まずはデッキの構成がわからないことには勝ち筋もわからない。どうする?

 

 落ち着け、冷静に考えろ……カードの選択は慎重に行うんだ。

 

 とりあえずトラップを使えば1ターンは凌げそうではある。だが相手の出方も不明で、凌いで奇跡的に生贄が用意できたとして、ランチャースパイダーに全てを託した結果あっさり上級モンスターにやられたりすればその時点で負け。今はまだ勝負をかける場面じゃない。

 

 それに相手が速攻をしかける可能性は低そうだ。勿論リトル・ウィンガードを出したいのは山々なれど……ここは我慢。リトル・ウィンガードは現状の最高打点でもある。大事にしたい。

 

「モンスターをセット、リバースカードを一枚セットしターンエンド」

「散々悩んで結局守りに入るとは、お前らしいへっぴり腰デュエルだなぁ」

「チッ……」

 

 ニタニタと気持ち悪い笑い方しやがって……こいつ絶対モテねぇな。

 

 せいぜい笑ってろ……最後に笑うのはこの俺だ。どんなにみっともなかろうが俺は最善手を打ち続け、勝利をもぎ取る。絶対にっ!

 

「ドロー! きたぜぇ! こいつがでれば俺の勝ちだ! ブラッド・ヴォルスを生贄にデーモンの召喚を場に出す!」

「出た! 上級モンスターで攻撃力2500! 決まったな!」

「テンシン相手に容赦ねぇッス!」

 

 

《デーモンの召喚》

通常モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200

闇の力を使い、人の心を惑わすデーモン。

悪魔族ではかなり強力な力を誇る。

 

 

 取り巻きどもが持て囃すが俺は内心自分の選択にホッとしていた。ウィンガードを温存して正解だった。出せば無駄遣い。だが現状倒せる手段はない。苦しい展開であることは変わりない。

 

「デーモンで攻撃」

「クッ」

 

 ソリットヴィジョンが浮かび上がり、モンスターが戦闘を行う。伏せていたのはルイーズ。破壊され墓地へ送られる。

 

「ターンエンド!」

 

 ここで何か引けないと次のターンにモンスターが並んでデーモンのダイレクトをくらう可能性が高い。何か、何か来い! ここで絶対に来い! いや、絶対に引いてみせる!!

 

「ドロー! ……来た!」

「あぁ?」

 

 そのマヌケ面、このカードで凍りつかせてやるよ! そもそもジャイアントオークなんざ横に寝かせてしまえば守備力ゼロ! 所詮はザコモンスター! てめえの弱点はハナっからわかってんだよ!

 

「マジックカード発動! 『攻撃』封じ! これでお前のデーモンを守備表示に変更する!」

 

 

《『攻撃』封じ》

通常魔法

相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して表側守備表示にする。

 

 

 さて、デーモン退治とシャレこもうか?

 

「何!? しまった! デーモンの守備力は1200!」

「げっ! マズイッスよ! デーモンは守備力が低いのが弱点ッス!」

 

 慌ててもどうにもできまい。伏せカードがないってのはそういうことだ。

 

 どうだ! 見たかジャイアントオーク! いくら攻撃力が高かろうがなぁ、お前なんて守備表示なら怖くねぇんだよ! セコンド・ゴブリンひっつけて出直して来い!

 

「リトル・ウィンガードを召喚しバトル! デーモンへ攻撃!」

 

 

《リトル・ウィンガード》

効果モンスター

星4/風属性/戦士族/攻1400/守1800

このカードは自分のエンドフェイズに1度だけ表示形式を変更する事ができる。

 

 

 さぁ、デーモンちゃんよぉ? オネンネの時間だぜ? 墓場で眠りなっ!

 

 ザシュッ!!

 

 リトル・ウィンガードが跳躍し敵に斬りかかった。強力な悪魔族であるデーモンを剣で斬り殺す。まるで魔王を退治する勇者のように。

 

「そんな、デーモンが!」

「アニキのデーモンをテンシンごときが倒すなんて……」

 

 おいおい、デーモンを倒すことすらできなかったのか、以前の俺は? それはそれで弱すぎる。いじめられていたのも納得だな。世渡天真としては納得しちゃいけないが。

 

「エンドフェイズ、リトル・ウィンガードの効果で自身を守備表示に変更しターンエンド!」

 

テンシン  手札3枚(アメーバ、秒殺、TM1) リトル・ウィンガード 伏せ1(城壁)

巨大オーク 手札5枚

 

 さぁこれでデュエルのテンポを取って流れを手繰り寄せた。こっからだぜ、俺の反撃は!

 

「俺のターン、ドロー! デーモンを倒したこと、後悔させてやる! テメェは絶対に俺のデーモンで八つ裂きにしてやるからな! 覚悟しろよテンシン!」

 

 なんだって? こいつ、倒したデーモンを復活させる手段があるとでも? まさかあのカードか!?

 

「死者蘇生を発動! 墓地からデーモンの召喚を呼び戻す!」

「チッ! 案の定そいつを手札に持ってやがったか!」

 

 

《死者蘇生》

通常魔法

(1):自分か相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

 

 遊戯王の原点にして最強、死者蘇生! ここで来るか……。

 

 眠れる悪魔が最悪な形で目覚めてしまった。

 

 何度も簡単に倒せる相手ではない。それにこのターン、間違いなくヤツの場にモンスターが並ぶはず。

 

 最初の山場がやって来た!

 




ややこしいけどジャイアントオークさんはキングゴブリン回とは関係なし。
取り巻きの口調もちょっとややこしいけどロイド使いとは関係ないのです。
カードは大事なのだけ説明載せますよ。
週1で更新できればいいなぁ(願望)

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