気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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1章ラスト


因果応報 退学デュエル

 その後は特に何事もなく制裁デュエル当日を迎えた。先にデュエルした十代ペアは大筋通り迷宮兄弟に勝利した。結局勝つんだな。ワンチャン俺のせいで負けるかなとか思ったのに。

 

「さぁ、次は俺の番だ。誰が相手になるんだ?」

「シニョールの相手はこのわたくし、クロノス・デ・メディチが引き受けるのーネ!」

「あんたが? 誰か呼んでくるんじゃないのか」

「ノンノンノン! シニョールの相手など、わたくしで十分ですーノ! 世界の広さをわたくしが教えてあげるーノです!」

 

 ははぁ、読めたぞ? こいつ、十代にはタイタンやら迷宮兄弟やらをぶつけたのは自分では勝てないからか。落ちこぼれだと見下してはいても実力は認めているようだな。さすがに多少は強いだけあって十代の技量を理解することはできるらしい。

 

 対して俺は実績もないし自分で勝てるとふんで直接倒そうと思ったわけだな。入学試験で十代を潰そうとしたように。弱い奴だけ相手する辺りいかにも小物だ。

 

「はっはっは! とんだ腰抜けだな、クロノス先生?」

「なんですーと?! わたしが腰抜け!?」

「だってそうだろ? 自分が勝てない十代には他の奴に相手をさせて、自分でも勝てそうな相手だけ直接自分で相手をする」

「な、何を言ってるのかわからないのーネ!」

「とぼけるなよ。俺は知ってるんだぜ? タイタン……偽のラブレター」

「ギクギク!!」

 

 ちょうどいい。もとはといえばこいつが元凶なところもある。もう生徒からは搾取できないんだから、こいつから搾り取るしかないよなぁ?

 

 俺はリング上でじりじりとクロノスへ詰め寄った。クロノスは後ろへ逃れようとするがリングから降りるわけにはいかない。あっさり追い詰められた。

 

「そうだな……あんたが俺に勝てたら、都合の悪いことは黙っておいてやるよ。ただし、俺が勝ったら少しお願いをさせてもらおうか。どうだ先生?」

 

 小声で条件を突きつけると意外とあっさりと通ってしまった。

 

「よくわからないけど、かまわないのーネ! 第一! シニョールがこのわたしに勝つなどと、笑止千万ナノーネ!」

 

 顔がひきつってるぞ? 空元気ってやつだな。

 

「まいど。じゃあ始めるとするか。丁度いい機会だ。あんたには俺の踏み台になってもらうぜ?」

「減らず口は今のうちなのーネ!」

「「デュエル!!」」

 

 ラッキー。こいつの戦い方もバッチリ把握できている。俺に負けはない。

 

「わたしの先攻、ドロー! よく見ておくノーネ! 手札からァ! トロイホースを召カーン! さらに二重召喚を発動! このターンもう一度召喚権を得るノーネ! トロイホースを生贄に捧げ、アンティークギアゴーレムを召喚! ターンエンドナノーネ!」

「いきなり出たか。飛ばすねぇ」

 

 

《トロイホース》

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1600/守1200

地属性モンスターを生け贄召喚する場合、

このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

 

 

《古代の機械巨人》

効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻3000/守3000

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、

その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

 

 ギャラリーがざわめく。もう終わった、などという声もちらほら耳に入る。アホらしい。むしろ一ターン目にこんなモンスターを出したところで的にしかならない。

 

 とはいえ現状俺にあのモンスターを倒す手段はない。あるのはラヴァ・ゴーレムのカードのみ。……召喚には下準備が必要だ。

 

「俺のターン、ドロー! ゴブリン暗殺部隊を召喚し、バトル! こいつは相手に直接攻撃ができる!」

「ディーノ!」

「そして次のターン終了時まで守備表示となる。カードを一枚セットしてターンエンド」

 

 クロノス LP4000→2700

 

「こざかしいマネをするノーネ! バット! このターンでシニョールは終わりでスーノ!」

「ほう。やってもらおうじゃねぇか」

「どうやらアンティークモンスターの効果をご存じないようナノーネ。ならーば! 私は手札からアンティークギアソルジャーを召カーン! バトルナノーネ!」

 

 

《古代の機械兵士》

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1300/守1300

このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

 もちろん知ってるさ。バトルが始まってからではもう助からない。初見殺しの共通効果。「古代(アンティーク)の(・)機械(ギア)」はバトル中にマジック・トラップが使えない。だから先に発動しておく!

 

「バトルフェイズに入った瞬間、トラップ発動! 和睦の使者! これでこのターンは俺の身は安全ってわけだ。残念だったな。あんたのアンティークシリーズの効果は織り込み済み。簡単に攻撃は通さない」

「ぐぬぬ!! こしゃくなマネーを! ターンエンドナノーネ!」

 

 

《和睦の使者》

通常罠

このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、

自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

 

 クロノス 手札3枚 古代巨人 古代兵士 LP2700

 

 テンシン 手札4枚 ゴブリン暗殺部隊  LP4000

 

 

 もし和睦がなければギアゴーレムの貫通ダメージ3000とソルジャーのダイレクト1300で俺のライフはなくなっていた。攻撃時にトラップが使えないからフリーチェーンのカードがなければあっというまに詰みかねない恐ろしさがある。

 

 だが……これであのモンスターを倒す準備は整った。

 

「あんた、確かに腕はいいが少々相手をなめすぎる傾向があるな。大方俺が効果も知らない落ちこぼれだと侮っていたんだろうが、守備力ゼロのモンスターを出したのはあんたに2体目のモンスターを出させるためだったのさ」

「2体目を出させる? そんなことになんの意味があるノーネ!」

「お勉強が足りないなぁ。じゃ、あんたに教えてやるよ。世の中には相手のモンスターを生贄にして召喚できるモンスターがいるってことを!」

「まさーか……!」

 

 俺は大衆の前でラヴァ・ゴーレムを使ったことがある。クロノスもそろそろ思い出したはずだ。

 

「ドロー! あんたの2体のアンティークモンスターを生贄に、ラヴァ・ゴーレム召喚!」

「まさかそのカードを目にすることになるとーは! 第一、こんなに使いにくいモンスターは珍しいノーネ!」

 

 辛口の評価だな。やっぱりこの世界ではそれが共通認識なのだろうか。

 

「使いにくいなんてとんでもない! こんなに強いカードは中々ないと思うけどなぁ。俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

 俺が褒めるとソリッドヴィジョンも嬉しそうに見える。かわいいやつめ。

 

「私のターン、ドロー!」 

「まずは1000ポイントライフを削ってもらおうか」

 

 ラヴァ・ゴーレムの効果が発動しライフが削られる。 LP2700 → 1700

 

「アチチチ! アチチチ! めっちゃ熱いノーネ! ふぅー、カードを1枚セットし、大嵐を発動すルーノ!」

「……こっちの罠をはがしつつ生贄召喚に繋げるか。ならこっちもトラップを使わせてもらおう! 強制脱出装置発動! ラヴァ・ゴーレムを俺の手札に戻す!」

 

 大嵐で魔法・罠が全て破壊されるのに先にカードをセットしたのは破壊されることに意味があるからだと推測できる。そして俺の伏せ2枚のうち片方はフリーチェーンの強制脱出装置なので大嵐に合わせて発動することができた。

 

「またしてもタイミングを選ばないトラップカード! シニョールはそのようなトラップカードを好んで使うようでスーノ」

「使い勝手がいいんでね。さぁ、邪神トークンが出るんだろう!」

「よくわかっているノーネ! 儀式魔法を知らなかったとは思えない利口さでスーノ。破壊されたカードは黄金の邪神像! 邪神トークンが1体出ますーノ! 私は邪神トークンをいけにえ―ニ! アンティークギアビーストを召喚すルーノ。そしてバトル! 暗殺部隊を攻撃! これでターンエンドナノーネ!」

 

 暗殺部隊が破壊される。さすがに大嵐をくらっている以上仕方ない。

 

 

《黄金の邪神像》

通常罠

セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、

自分フィールド上に「邪神トークン」(悪魔族・闇・星4・攻/守1000)1体を

特殊召喚する。

 

 

《古代の機械獣》

効果モンスター

星6/地属性/機械族/攻2000/守2000

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):このカードが戦闘で破壊した相手モンスターの効果は無効化される。

 

 

 クロノス 手札1枚 古代の機械獣 LP1700

 

 テンシン 手札3枚        LP4000

 

 ラヴァ・ゴーレムは今使えないから上級モンスターがフィールドに出ている分俺が不利か。後はこのターンのドロー次第。

 

「ドロー、強欲な壺発動! さらに2枚ドロー! ん~~……」

「どうやらいいカードは引けなかったようナノーネ!」

「なーんてな。ここからだぜ、俺のデュエルの真骨頂! マジック発動、浅すぎた墓穴」

「それは互いの墓地からモンスターを……狙いはワタクシーの場にモンスターをそろえることナノーネ!?」

「そういうこと。ゴーレムは召喚制限があるが、ソルジャーは出せるはず。セットしな」

「この状況で再び召喚条件をそろえるとは……思ったよりやるノーネ!」

「気づくのが遅いな。勝つ可能性が僅かでもあるとしたら、最初から全力で戦うことが最低条件だった。俺は暗殺部隊をセットし、再びあんたのフィールドにラヴァ・ゴーレムを召喚! カードを2枚伏せてターン終了」

 

 クロノス 手札1枚 ラヴァゴーレム       LP1700

 

 テンシン 手札1枚 ゴブリン暗殺部隊 伏せ2枚 LP4000

 

 

 ラヴァ・ゴーレムは特殊召喚したターンに通常召喚ができなくなるが、墓穴でモンスターをセットすれば壁も用意できる。一石二鳥だ。

 

 次のターン、クロノスは残り700までライフが減る。ここでラヴァ・ゴーレムをなんとかするか俺のライフを削り切らないと即負けだ。

 

 伏せカードがあり、モンスターもいる状況ではワンキルは難しい。おそらく生贄召喚でラヴァの除去を狙うはず。場に2体そろったら要注意だ。

 

 というのもさっき邪神像を使ったとき俺が強制脱出装置を使わなければラヴァゴーレムがいたままだった。あの動きはラヴァゴーレムと邪神像を生贄にして最上級モンスターをだそうとしていたようにも見えた。だから上級モンスターではなく最上級モンスターを警戒すべきだ。

 

「私のターン、ドロー」

「また1000ポイント削ってもらうぜ」

「たいしたことないノーネ! 手札から死者蘇生を発動! 墓地のアンティークギアソルジャーを特殊召喚しまスーノ!」

 

 来た! この状況、あいつの最後の手札はほぼ古代の機械巨人で間違いない。逆にそれ以外なら俺の勝利はほぼ確実。なら古代の機械巨人の召喚だけは絶対に阻止しなくてはいけない!

 

「その瞬間、トラップカード発動!」

「またトラップ!?」

「マインドクラッシュ! 効果は知っているな? 俺の宣言するカードはアンティークギアゴーレム! 手札にあれば捨ててもらおう!」

「なんでスート! アンティークギアゴーレムは……確かにあるノーネ」

 

 どよめく会場。俺がモンスターを当てたことに皆驚いている。ここまであからさまだと予想は難しくないはずだけど。一度邪神像でそぶりはあったのだから。

 

 その上仮に外してもラヴァ・ゴーレムの効果で勝利できる。俺はあくまで負け筋を潰しただけ。ノーリスクだ。

 

 

 クロノス 手札0枚 ラヴァゴーレム 古代の機械兵士

 

 

 既にクロノスは詰んでいる。ラヴァゴーレムを処分できなくなった時点で負けだ。

 

「さぁ、これで裸の王様だな? もう何もできまいよ」

「それでも! 教師として、最後まで諦めるわけにはいかないのーネ!」

「ほう……やってみろよ?」

「言われなくても! 攻撃あるのみでスーノ! まずはアンティークギアソルジャーで攻撃! ゴブリンを蹴散らすノーネ」

「そいつの攻撃中は何もできない。どうぞ」

「次はラヴァ・ゴーレムでダイレクトアタック! 自分のモンスターに攻撃されるとは、ドロップアウトボーイらしいでスーノ!!」

 

 残念だったな。最後まで足掻くのは結構だが世の中には知らない方が幸せなこともある。

 

「トラップ発動! ドレインシールド!」

「アンティークには意味をなさないトラップカード、それをここで使ってくるとは……これも計算のうち!? ノンノン、ありえないノーネ!」

 

 ざわざわと周りも騒がしくなってきた。完璧なカード捌きで全てを使い切って勝利を手にした。俺のデュエルにケチをつけるバカな生徒はもういないはず。クロノスはがっくりと膝をついてハンカチを嚙んでいる。終わったな。

 

「さて、万策尽きたか? これで勝負あったな。あとは俺のターンが来て、ドローし、ターンを終えるだけ。ドロー! さぁ、どうぞ?」

「次のターン、確実にわたくしのライフはゼロにナルーノ。この状況を打開できるカードはデッキにないノーネ。シニョールテンシン、今回は勝ちを譲ってあげるーノ。……認めたくないけーど」

「サレンダーか。それもいいだろう。俺は勝てればそれでいい」

 

 決着。これで俺は無罪放免。

 

 十代のようにはしゃぐことはしなかったので追加の課題を出されることもなかった。敗北に肩を落とすクロノスがデュエル場をあとにしようとするが、そこに追い打ちをかけるように詰め寄った。

 

「約束、忘れてないよな? 負けるなんて思ってなくて忘れちまったか?」

「ギクッと!? なんのことナノーネ?」

「十代に退学デュエルなんぞさせておいて、黒幕があんただとバレたらそれこそ退職ものじゃないのか? ここを去りたくないなら俺のお願いを聞いてもらおうか」

「なぜそれを……な、何が望みなのーネ! あんまり無理難題はやめてほしいノーネ」

 

 退職したらどうなるか想像したのだろうな。顔面蒼白だ。

 

「心配しなさんな。この前十代を倒すために万丈目にカードを渡しただろう? だったら俺にもちょこっとカードを分けてほしくてな。もし俺がほしいカードをくれるなら、十代をコテンパンに倒してやってもいいぜ。ちょうど月1テストは同じレッドで対戦しやすいし」

「カード……! いいでしょう! そのかわーり! 必ず十代を倒すノーネ!(この2人が戦えば、どっちが勝ってもメシウマナノーネ! ペペロンチーノ!)」

 

 俺と十代が戦えば仮に俺が負けても悪くないって思ってそうだな。ま、実際はすでに十代は倒してしまっているんだが、今言う必要はないだろう。

 




最後にデッキ大幅強化イベント
そして2章開幕へ
この辺から前作の経験上めっちゃ好き嫌いが出るかと思います。
細かい反省点は全部直してるものの、根本的なところはやっぱり
安易に直しちゃダメだと思うんですよね。
モチベに関わりますし。
ここまで読ませてしまった後なので、途中まで面白くて読んだのに
イヤになったという人には申し訳ないですが。
自分は全要素ドストライクなんですけどね(当たり前)
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