「ごちそうさま、おかあさんおいしかったわ」
帰宅後初めての食事。トーラは俺を無視することにしたらしく、一言もしゃべらなくなった。俺もまだ自分から何かする気はないので沈黙を貫き、結果静かな食卓を囲むことになった。
「はいはい、お粗末様」
「テンシン、あんた後始末やっときなさい」
「おれ?」
急にしゃべったと思ったら雑用押し付けてきやがった。いい根性してる。俺に皿洗えってか? 人に自分の皿洗わせて恥ずかしくないのか? いや、裸で向き合うより恥ずかしいこともそうないだろうし今更か。
「何よ、あんたはあたしの下僕なの。これぐらい当然でしょ? じゃ、ニートのあんたと違ってあたしは忙しいから。私の部屋覗いたら殺すからね」
「おい、待て!」
言いたいことだけ言ってトーラは去っていった。わがままな奴。相当甘やかされてきたに違いない。父親は留守がちで母親がこのお人好しでは仕方ないか。テンシンも甘やかすタイプだろうしなぁ。
「テンシン、いいわよ。あの子の分は私に任せなさい」
「いや、いいよ。たまに帰ってきた時ぐらいかあさんには楽してもらいたいし、後片付けとかは全部俺がやっておくよ。かあさんは休んでいてくれ」
「えっ!? まぁ、どうしたの? お手伝いなんかしてもお小遣いはあげないわよ?」
「人の好意は素直に受け取っておくものだと思わない?」
「ふふ、じゃあお言葉に甘えるわね」
一瞬ヒヤリとした。実は好感度を上げておきたいという下心もあったのだ。だがそれ以上に家の中をじっくり調べる時間が欲しいというのも切実な願いだった。この人がいなくなれば俺は一人になれる。それが本当の狙いだ。
食器や台所、冷蔵庫などを調べていると急に階段を降りてくる音が聞こえた。
トントントントン!
音が若い。こんなにスピーディーな降り方かあさんなら絶対しないはず。トーラか。慌てて何事もなかったかのように装うと案の定トーラが現れた。まっすぐこっちへやってきて俺に詰め寄ってくる。
……見られたか?
「テンシン、あんた私の肩揉みしなさい。肩凝ったから」
「……は?」
「さっさと私の部屋に来いって言ってんのよ、このノロマ! 木偶の坊! 役立たず!」
それだけいうと俺の腕を引っ張ってトーラの部屋に連れ込まれた。だがこれはチャンスだ。肩を揉んでいる間あいつは前を見ているから俺の様子がわからない。軽くこいつの部屋を調べられる。……調べる必要があるかは謎だが。
「あんた、なんか企んでない?」
「はぁ?」
「言っとくけど、あたしの胸とか触ったら即首絞めてぶっ殺すからね」
ビビらせるな、そっちかよ。内心の動揺は押し隠し黙って肩を揉み始めた。
「へなちょこテンシンもっと力入れなさい。あんた男のクセに力が弱いのよ」
「入れてるよ」
「ぷっ! まさかこれで全力ぅぅ~? だっさぁ~~。ホントあんたって役立たずよね。肩揉みすら満足にできないわけ? とことんつっかえないやつよねぇ~~」
こいつ……人が親切にしてりゃつけあがりやがって! すでに力は十分入ってる。これ以上力を込めればこいつも痛がるはずだ。
なのにこんなことを言うのは俺をバカにするのが目的なんだ。本当に強くしてほしいわけじゃない。間違いないだろう。だが今までの俺はそれをわかった上でいつもこれ以上力を入れていなかった可能性が高い。この体の本気の握力を知ればこんな発言できるわけがないんだ。
今は我慢するしかないか。
それからもトーラの嫌がらせは続いた。
翌朝は不幸にも休日。トーラも一日中家にいて、朝食では昨日と同じく食器を渡され、俺がくつろいでいるとあれを持ってこいこれを持って来いとせっつかれ、持ってきたら持ってきたで次は肩を揉めマッサージをしろなど雑用を逐一押し付けてくる。特に俺はこの世界のテレビを見たかったので、それを邪魔されたときは結構腹が立った。いきなりチャンネル変えやがったからな、あいつ……。
そして……トーラはとうとうやってはいけない一線を越えてきた。
「あんた何よ、カードいじってまさかデッキ作ってんの?」
「……」
「無視すんな! 生意気ね! あんたザコなんだからそんなことしてもムダでしょ!」
そう言いながら突然俺のデッキをひったくって中身を見始めたトーラ。怒りで咄嗟に力任せにカードを奪い返してしまった。
「俺のデッキに触るな!」
「あっ!? こっ……こいつぅ……!! あんた何すんのよっ!」
「それはこっちのセリフだ。お前……調子に乗り過ぎなんじゃねぇか」
「はぁ? ふざけんじゃないわよ! いいからよこせっ……えっ!?」
もう一度カードを奪いにきたので手首をつかんでトーラを睨みつけた。すると意外にもトーラはあっさりと引き下がってしまった。
どうやら思ったより俺の力が強くてビビったようだ。この程度で驚くということは前の自分はよっぽどこいつを甘やかしていたらしい。俺が一度腐った性根を叩き直した方が良さそうだな。
「俺のデッキを見たいならデュエルしてやるよ。お前がどの程度できるのか試してやる」
「は……はぁ? あっはは、聞き間違いかしらね。あんたが、この私を、試すぅ? それじゃまるであんたが私よりも……」
「上に決まってるだろ。妹なんぞに負けるわけがない」
今確信が持てた。こいつは妹。年は近いが年下で間違いない。
予想通りトーラはそこにはノーリアクション。正解だったようだ。
そしてこの一言で弱弱しかったトーラに覇気が戻った。
「テンシンッ!! あんたっ!! もう許さないわっ!! あんたこれまで何回私に負けたと思ってんの!? 私よりも弱くて情けなくてウソつきのあんたが、私に勝てるわけないでしょ!! あんたは黙って私に従ってなさい!!」
「だったら力づくでとってみるか? これを」
俺のデッキをひったくろうとするもトーラはあえなく失敗。力の差が如実に現れている。
「ぐっ!! あんた……ちょっと力が強くなったぐらいでいきなりアニキ面する気?」
「お前は本当に愚かだな。半年やそこらで急に強くなるわけがないだろう?」
「はぁ? わけわかんないし……。何言ってんの? いいからそれを寄越しなさい!」
何を言ってるかよくわかってるやつの反応だな。トーラが無理やり手を伸ばしてデッキを取ろうとするが俺が押さえつけるとピクリとも動かない。これにはさすがのトーラも力の差を理解したようで、急に態度を一変させた。
「こ、この……暴力男!!」
「勝手に言ってな」
「……いいわ、だったらデュエルよ! デュエルだったら絶対に負けない! あんたのデッキの弱さは私が一番よく知ってる! もしデュエルに負けたら一生私の言うことには逆らわないでもらうわ。あんた、自分が上だとか抜かしたんだからもちろん逃げないわよね」
「当たり前だな。お前じゃ何回やっても俺には勝てない」
「~~~!! 死ねテンシン!! あたしのこと見くびってんじゃないわよ!! アカデミアにちょっと行っただけで強くなったとでも思ってんの!? 勘違いも甚だしいわ!! ボコボコにぶちのめして二度と私に逆らえないようにしてやる!!」
「だったら早く構えろ。すぐ終わらせてやるよ」
「黙れ!! 上から目線でしゃべるな!! 絶対に泣かしてやる!!」
敢えて挑発してみたが、効果は抜群だった。かなり怒っている。トーラが大声で叫んだせいで2階にいた母さんも降りてきた。
「どうしたの!? あなた達またケンカ!?」
「いいや、ちょっとデュエルして遊んでやるだけだよ」
「母さん、こいつが泣いても止めないでね。邪魔したら絶対に許さないから」
「テンシン、大丈夫なの?」
「黙って見てなよ」
俺を認めさせるには結局デュエルして勝つしかない。それも僅差ではダメだ。完全に俺の方が上だと認めさせないと信頼は回復できない。だから今までのような長期戦スタイルは捨てて、短期決戦で一気に決める。さっきもそのためにデッキを改造していた。調整はすでに完了している!
頼むぜ……俺のデッキ! ここで俺の気持ちに応えてくれ!
「「デュエル!!」」
「ドローッッ!!」
「……」
まずはトーラがはじけるように素早くカードを引き、俺は黙って静かにそれを見送った。トーラは先手必勝の先攻、俺は速攻を決意した後攻。互いの視線が交わり絶対に負けないという意志がぶつかり合う。
「先攻は私! ワンターンであんたに絶望を見せてやるわ! ドロー! まずは王立魔法図書館を守備表示で召喚!」
「……まさか」
《王立魔法図書館》
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻 0/守2000
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分または相手が魔法カードを発動する度に、
このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。
(2):このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
エクゾディア……はないとして、おそらくあのデッキか。
「そしてフィールド魔法、魔法都市エンディミオンを発動! 王立魔法図書館にカウンターが1つ乗る」
《魔法都市エンディミオン》
フィールド魔法
(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。
(2):魔力カウンターが置かれているカードが破壊された場合に
そのカードに置かれていた魔力カウンターの数だけ、このカードに魔力カウンターを置く。
(3):1ターンに1度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドの魔力カウンターを取り除く場合、
代わりにこのカードから取り除く事ができる。
(4):このカードが破壊される場合、代わりにこのカードの魔力カウンターを1つ取り除く事ができる。
やはり……トーラのデッキは魔力カウンター。しかもエンディミオン軸ならかなり特化した構築のようだ。今まで見たやつの中では最もテーマ性が高い。当然デッキとしての完成度もかなり高めになると予想できる。
これは本当にこいつを舐めていたかもしれない。かなり手ごわそうだ。
「いきなりフィールドを持ってくるとはラッキーだったな」
「この程度で驚かないでよね。あたしの本気はこっからよ。手札から魔力掌握を発動! 同名カードをデッキから手札に加え、魔力カウンターを魔法都市に乗せる。さらに精神統一を発動し再び同名カードを手札に加える」
《魔力掌握》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):フィールドの魔力カウンターを置く事ができるカード1枚を対象として発動できる。
そのカードに魔力カウンターを1つ置く。
その後、デッキから「魔力掌握」1枚を手札に加える事ができる。
《精神統一》
通常魔法
デッキから「精神統一」を1枚手札に加える。
このカードは1ターンに1枚しか使用できない。
これで魔力カウンターが3つずつ乗った。いきなりハイペースでカウンターを貯めてきたな。これはおそらくエース召喚まで一気にいくつもりだ。
「王立図書館の効果で魔力カウンターを3つ取り除きカードを1枚ドローする! ふふ、いいカードを引いたわ。さらに手札から天使の施しを発動! カードを3枚引いて2枚捨てる! 来たわね……アハハハッ!」
おそらく初期手札にはこれ以上展開するカードはなかったのだろう。今のドローで天使の施しを引いたのはトーラにとってかなり大きい。しかも捨てたカードは位置からして魔力掌握と精神統一の2枚。次の自分のターンに備える必要がない……となるとかなりいいカードを持ってきたのだろうな。
「手札から永続魔法、悪夢の拷問部屋を発動!」
「何!?」
「アハァ~~。あんたバカのクセにこのカード知ってるようね。このカードはね、憎ったらしいあんたをいじめるためだけにわざわざデッキに入れてやったのよ。これであんたをいたぶる準備は整ったわ。……これまでの恨み、全部晴らしてやる!」
「トーラ!!」
かあさんの悲痛な叫びをトーラは撥ねつけた。
「黙って! 約束よ、ジャマはしないでね。手札からマジックブラストを発動!」
「ダメ! そのカードはっ!」
《マジックブラスト》
通常魔法
(1):自分フィールドの魔法使い族モンスターの数×200ダメージを相手に与える。
(2):このカードが墓地に存在する場合、
自分ドローフェイズのドロー前に発動できる。
このターン通常のドローを行う代わりに、このカードを手札に加える。
やはりバーンカードが来た。効果ダメージで徹底的に俺をいたぶるつもりか。だがトーラと向き合うためにはこいつの憎しみを全て受け止めないといけない。甘んじて受けてやる。
「いいんだよ母さん。好きにさせてやれ」
「テンシン……!」
「覚悟はできてるようね。だったら思う存分やらせてもらうわ! 死になさい! マジックブラストの効果で場の魔法使い族の数×200のダメージを与える!」
「ぐっ!?」
LP 4000 → 3800
魔法使い族専用のバーンカード。こっちの世界ではライフポイントが4000なので通常魔法のバーンカードはほとんど規制されている。残っているのは条件が付与されているものがほとんどだ。このマジックブラストもその1枚。
そしてトーラが恐ろしいのはこれを悪夢の拷問部屋と組み合わせたことだ。
《悪夢の拷問部屋》
永続魔法
(1):「悪夢の拷問部屋」以外のカードの効果で相手がダメージを受ける度に発動する。
相手に300ダメージを与える。
「悪夢の拷問部屋の効果発動! 相手に戦闘以外でダメージを与える度に追加で300ポイントのダメージを与える! くらいなさいテンシン!」
「くっ……やってくれたな」
LP 3800 → 3500
「あら? この程度で終わると思ってないわよね? こんなもんじゃないわ! こんな程度で終わらせたりしない! 王立魔法図書館の効果で1枚ドロー」
トーラ 魔法都市(6コ) 図書館(0コ) 悪夢の拷問部屋 手札4枚
「……何を引いた?」
「アハハハハハハハハハハハッッッ!!!」
高らかにトーラが嗤う。その眼には復讐を果たす愉悦のような暗い感情が浮かび上がっていた。
「これであんたは終わりよっ! 見なさい! 魔法都市の6つのカウンターを取り除き、手札から神聖魔導王エンディミオンを特殊召喚!」
「ここでそれを引いたのか……お前、そこまでカードに……」
《神聖魔導王 エンディミオン》
効果モンスター
星7/闇属性/魔法使い族/攻2700/守1700
(1):このカードは自分フィールドの「魔法都市エンディミオン」に置かれている
魔力カウンターを6つ取り除き、手札・墓地から特殊召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動する。
そのカードを手札に加える。
(3):1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
こいつはカードに愛されている。きっとこれからも強くなっていくはずだ。こんなに才能があるのになぜアカデミアにいないのだろう。そう不思議に思うほどズバ抜けて強い。
「ハッ! あんたとは持って生まれたものが違うのよ! あたしはカードに選ばれてる! あんたみたいな落ちこぼれとは絶対に違う! エンディミオンの効果で墓地のマジックブラストを手札に加える! あははは!! テンシン、いくらあんたがバカでもこれがどういうことかぐらいはわかるわよねぇ?」
墓地には天使の施しもあった。ドローできればさらに展開できるはずなのに……ここまで憎しみが深いのか。
「……ダメージを優先するなんて悪趣味だな」
「なんとでもいえば? あんたを痛みつけることが一番大事なの。さぁくらいなさい! 2度目のマジックブラストを発動! 今度は場に2体の魔法使い族がいる。よって400ポイントのダメージよ」
「くっ」
「さらに悪夢の拷問部屋! 300ダメージ!」
「ぐあっ! もう3000を割ったか……」
LP 3500 → 3100 → 2800
残りライフは2800か。あっという間に俺のライフが減っていく!
「まだよ!! さらに手札から強欲な壺を発動! さぁ、あと何枚引けるかしらね」
「何!? まだドローカードがあったのか!? なぜ先に使わない!?」
「……ウフッ! その顔が見たかったからよ! ハァァ~~たまんなぁい……ドロー!!」
「……終わりか?」
「…………」
長い沈黙。首筋にイヤな汗が伝う。
さっきのあと何枚、というのはおそらくマジックブラストのことだろう。あの口調ならデッキには3枚入っていそうだ。だとすれば残りは2枚。今のドローで両方引いた可能性は一応あるにはある。が、あの様子だと……
「……そう、そうなのね。今日あんたは死ぬしかないようね。じゃないとおかしいもんね」
確認するように呟くトーラ。いったい何を、何をドローしたんだっ!
「まさか、本当に残り2枚を引いたのか?」
「うふ、うふふ、あはははははははははははっ!!! あんたはどうにも終わってるみたいねぇ!! 手札から2枚目のマジックブラストを発動ォ!!」
「なんて引きだ……! くっそ! どうしようもない……」
マジックブラストと悪夢の拷問部屋のコンボで俺のライフを容赦なく削り取っていく。効果ダメージだけでここまでライフを減らされるとは!
LP 2800 → 2400 →2100
「おっと、先に王立魔法図書館の効果を使っておきましょうか。カウンターは3つまでしかたまらないからね。さらに1枚ドロー……フフ」
なんだ今の表情。さらに強力なカードを引いたのか?
「さらに3枚目のマジックブラストを発動! さぁて、これでライフはあといくつ残ったのかしら?」
「……」
LP 2100 → 1700 → 1400
「さっきまでの威勢はどうしたの? ウフッ! だっさぁ~! あんたってホントダメ人間よね、テンシン? 男のクセにみっともないったらありゃしない! こんなのが兄弟だなんてサイテー! ありえないわ! 二度とアニキ面しないでね?」
「……」
「なんも言い返せなくなったらダンマリってわけ? あんたには恥ってもんはないの? あたしだったら耐えられなぁーい。ま、いいわ。そろそろ仕上げにしましょうか。もう後は何もしなくても私の勝ちは揺るがないでしょうけど……そんな生ぬるいことはしない。あんただけは徹底的に叩き潰す! 手札からディメンション・マジックを発動! 王立魔法図書館を生贄に手札から氷の女王を特殊召喚!! これがあたしのデッキで最強のカードよ!!」
《氷の女王》
効果モンスター
星8/水属性/魔法使い族/攻2900/守2100
このカードは墓地からの特殊召喚はできない。
自分フィールド上に表側表示で存在する
このカードが破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地の魔法使い族モンスターが3体以上の場合、
自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。
トーラ 手札1枚
魔法都市エンディミオン(5コ) 神聖魔導王エンディミオン 氷の女王 悪夢の拷問部屋
恐ろしい盤面だな。俺のライフポイントをバーンカード規制環境のこの世界にありながら半分以下まで減らし、さらに最上級モンスターを2体並べた。
しかもエンディミオンは除去能力も兼ね備えている。コストに魔法カードが必要だがトーラはきっちり1枚手札を残している。あれは間違いなくマジックカード。さらにいざとなれば墓地からマジックブラストをサルベージすることもできる。
もろもろ考えると俺は自分のターンが回る前にかなりの苦境に立たされていると言わざるを得ない。こんなに強い奴……初めてだ。十代よりも遥かに強い。
だが、それでも負けるわけにはいかない! 絶対にっ!
「それで、もう気は済んだか?」
「……はぁ? なんて……あんた何言ってんの?」
「ターン終了はまだか聞いてんだよ」
「アハハハッ!! あんたバカ過ぎて状況が理解できないのね?! バカって幸せよね。あんたは次のターン確実に負ける! 無様にねぇ!! どうやっても終わりなのよ!!」
「トーラ、もういいでしょう? もうこれ以上は必要ないわ」
「ダメよ! こいつは今、余計な一言で私の気分を害した! サレンダーも認めない! なんならマジックブラストのダメージだけでいたぶってライフポイントをゼロにしてやろうかしら! フフフ……これで私はターン終了!!」
「トーラ……」
ここまで来るともはや狂気だ。よほど俺が憎いらしい。
だがこのターンを凌ぎ切ったことに大きな意味がある。自分のターンを迎えることができたということは、まだ俺にツキが残っているということだ。
勝負はワンターン! ワンターンあれば十分だ!
もうトーラには攻撃のチャンスを渡さない!
勝負は次のターン、最初の俺のターンで決める!
覚悟しろよ、トーラ!!
まだワンターンしか経過してないという……
さすがソリティア種族
使うのは楽しいけど書くのは大変です